戦争は多くの人の命を奪い、人を悲しませました。太平洋戦争で家族、親戚で不幸がなかった人はないはずです。日本だけで200万人以上の戦闘員、非戦闘員が亡くなりました。
作家壺井栄は、瀬戸内海の島、小豆島の小学校の子どもたちを描いています。担任は大石先生です。彼女のクラスは12名。のどかな島で皆成長します。
やがて暗い世相が訪れます。不況、飢饉、満州事変、上海事変と続く戦争に島も家族もほんろうされます。教師も戦時教育を強いられます。戦争に疑問を抱く大石先生は教え子たちの卒業とともに教師を去ります。
12人の生徒たちはそれぞれの運命を歩みます。戦地へ赴く教え子には「名誉の戦死などない。必ず生きて戻るように」と諭します。
戦争が終わりました。大石先生も船乗りの夫、息子を戦地で亡くします。かつての教え子の呼びかけで、大石先生と同窓会が開かれます。12名の消息がわかります。そこで皆波乱の人生を余儀なくされたことを知ります。戦場で負傷し失明した教え子が、昔12名で撮った写真を指差して「これは誰、こちらは、、、」といって恩師に説明するのです。