「機関車先生」は、瀬戸内海の小さな島に臨時教員としてやって来た青年の物語です。島は母が生まれ育ち、出征して死んだ父の島です。この教員、吉岡誠吾はしゃべることができません。子どもたちからは「口を"きかん"」「機関車先生」というあだ名で呼ばれます。
「機関車先生」は、島のあちこちで起こった出来事に巻き込まれます。7人の小学生と島人たちとの触れ合いをとおして、両親が生きてきた島がなんだったかを考えます。
「機関車は弱虫じゃ」と涙を流す男の子に、聾唖の吉岡は言葉をかけてやれないのです。ですが小学生たちとの心の通いに言葉はいりません。剣道大会にでた吉岡に子どもも大人も応援します。大人と子どもの優しさ、青年の強さが描かれる作品です。伊集院静作で映画化されました。