1873年に出版されたアルフォンス・ドーデの短編小説集にでてくる話です。
フランス領アルザス地方の学校での話です。少年、フランツは学校に遅刻します。いつも担任のアメル先生は厳しく、生徒は鞭で打たれることがあるのです。その朝、先生はいつもと違って優しく坐るようにとフランツに言います。
フランツは緊張します。教室に元村長など大人たちがいるではありませんか。アメル先生は生徒と大人たちに対して、自分が授業をするのはこれが最後です、と話し始めます。
1871年5月におきたプロイセン王国(今のドイツ)との戦争でフランスが負けたため、アルザス地方ではドイツ語しか教えてはいけないことになったのです。フランス語を教えるアメル先生は辞めることになります。これがフランス語の最後の授業だというのです。
アメル先生はフランス語を学ぶことの大切さを教えます。その時、プロイセン兵のラッパの音が響きます。アメル先生は黙って黒板に"フランス万歳"と書いて「みんな帰えりなさい」と手で合図し「最後の授業」を終えるのです。
「最後の授業」は1953年に教科書から学んだ私の学校の一つです。お陰でヨーロッパや世界史に関心が向くきっかけとなった話です。