すでに他界してしまった方々にもいろいろな思い出があります。私や家族が本当にお世話になった人々です。こうした方々の親切や温情によって、仕事を得、家族が育ち、人生に潤いが出たといえるのです。
ギルボー氏は私の留学を可能にしてくれた国際ロータリークラブの会員です。我が国にも各地にロータリークラブがあります。会員には、経営者、医師、研究者などが目立ちます。社会貢献を旨とする団体ですので、多くの人々に奨学資金をだしてきました。私もそのお陰で渡米し、学位をもらい研究者の端くれになることができした。
氏は中西部ウィスコンシンの州都であるマジソンで私のスポンサーをしてくれました。スポンサーというのは、家族を食事に招いてくれたり、一緒にハイキングに行ったり、農場に案内するなどしてもてなしてくれる方です。ギルボー氏はウィスコンシン大学医学部の研究者でした。家内が乳ガンの疑いが出てきたので助けを求めると、すぐ大学病院の外科医などと連絡をとってくれました。最高の治療を受けることができたのは忘れられないことです。
数年前に南アフリカのケープタウンでの学会に出席している最中、心臓麻痺で急逝されました。その後、同行された奥様からその時の様子を詳しくうかがうことができたのも何かのご縁でした。