恐らく友達がいなかったら、私はオランダへは行かなかったでしょうね。オランダというと蘭学事始、杉田玄白といった中学時代に暗記した全く中途半端な知識しかありませんでした。それから何十年して、司馬遼太郎の「オランダ紀行」を読みました。私も、あまりにイギリスやアメリカといった国のことを学んで、オランダという国をすっかり忘れてしまったというのは本心です。
オランダは干拓によってできている国です。埋め立てには何百年もかかってきたことから、土地は個人が所有するものではなく、先代から子孫に受け継いでいくものという考えが浸透しています。オランダでは土地は金儲けの手段ではないのです。司馬遼太郎は土地をめぐるバブル経済を憂いていました。
コマース氏を兵庫教育大学にお招きしました。教授会にて彼を紹介するとき、得意のヴァイオリンを持参してもらい、一曲弾いてもらいました。司会していた学長が、「前代未聞です」といっていました。研究のことよりも音楽のことばかりが記憶に残ります。一緒にコンサートをしました。そしてオランダに行ったとき、あちこちを紹介してくれました。フィルメールやゴッホの美術館など忘れることができません。