戦局の悪化というのは、ソビエトが日本に参戦したことです。満州の北部から押し寄せます。昭和20年5月位では、政府や軍の関係者は既にソ満国境付近から撤退を開始していました。無防備状態となっていたので、ソビエトの進軍は破竹の勢いだったといわれます。当時、歴史小説家の司馬遼太郎氏も戦車隊で満州に駐留していました。
開拓民は完全に置き去りにされます。実のところ、満州帝国は日本人の安全について 開拓民、公務員、軍人の順序で避難することにしていたとあります。ですが実際には開拓民ら一般人は取り残されて見捨てられることになります。「棄民」となったのです。国策によって、開拓という労働に駆り出された人々の悲劇の始まりです。