この記事では、アメリカでの医療費控除について解説します。
医療費控除とは?日米の比較日本でも「医療費控除」がありますので、「医療費控除」という単語を聞いたことがある人は多いかと思います。
日本の場合、一年間に10万円を超える医療費の支出があった場合、確定申告書で所得控除を取ることができます。
(注:美容整形や健康診断・人間ドック等の費用は除く。その他諸条件有。)
実はアメリカでも似た制度がありますが、医療費控除対象は調整後総収入の7.5%超というハードルがあります。
アメリカの医療費控除アメリカの医療費控除ですが、こちらを理解するには先日の寄付金控除と同様に”Standard Deduction”と”Itemized Deduction”の違いを理解する必要があります。
Standard Deduction or Itemized Deduction日本もアメリカも収入全額に対して、税金が計算されるわけではありません。
日本で会社員として給与がある場合、「給与所得控除」という控除があり、一定の計算式に従って控除額が計算されます。
そして、給与から計算された控除額や基礎控除等が引かれて課税所得が計算されます。
アメリカの場合、給与、年金や投資の収入等を併せた金額から”Standard Deduction”又は”Itemized Deduction”の金額を控除することができます。
“Standard Deduction”は申告形態(単身者・夫婦合算等)により金額が決められており、納税者は一定の金額を控除することができます。
(2025年では、夫婦合算は$30,000の控除を取ることができます。金額は毎年インフレ率により調整されます。最新の情報については、IRSの発表をご確認ください。)
一方、”Itemized Deduction”では納税者の支出額によって控除額が決まります。税法により認められた一年間の支出額が”Standard Deduction”を上回る場合、計算されたItemized Deductionの金額を収入から控除することができます。
Itemized Deductionは納税者が実際に支出した医療費、州税・地方税(上限あり)、住宅ローン利息、寄付金等を合算して控除します。
2025年を例に考えると、2025年中の控除可能な医療費や州税、寄付金等の合計が$30,000を超えた場合、Standard DeductionではなくItemized Deductionを適用することになります。
医療費控除を受けるには?上記の通り、アメリカで医療費控除を取るにはItemized Deductionを選択する必要があります。
Itemized Deductionに含めることができる医療費の金額は、「調整後総所得(Adjusted Gross Income / AGI)の7.5%を超えた金額」と定められて要ります。
*「調整後総所得」とは、給与、利子、年金等の金額を合算したものと考えてください。
医療費の対象となる費用は、医師の診察代や処方薬等となります。医療費に該当するかの判断は、IRSのWebsite等からご確認ください。
計算例駐在員のAさんは、アメリカで医療費に$10,000を支出しました。このAさんの一年間の調整後総所得は$100,000だった場合、$100,000の7.5%を超える金額を医療費控除とすることができます。
閾値:調整後総所得 $100,000 * 7.5% = 7,500
控除額:医療費 $10,000 – 7,500 = 2,500
こちらの例では、Aさんは$2,500を医療費控除とすることができます。
ただし、その他控除項目を含めてもItemized Deductionの合計が$30,000に届かなければStandard Deductionを選ぶ方が有利になります。
まとめアメリカにも「医療費控除」の制度はありますが、適用するには非常にハードルが高いものとなっています。
特に駐在員の場合、所得が高くなる傾向がありますので尚更医療費控除を取ることは難しいと思います。
最新の標準控除額や対象医療費はIRSのWebサイト等をご確認ください。
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