気が付けばもうすっかり12月ですね。一年があっという間に終わりそうです。ついこないだまで、パリでオリンピックやってたような気がするのですが、気のせいでしょうか???
このブログのアクセスについてGoogle Analyticsを見ていたところ、「アメリカ 手取り」等でこのブログに来てくれる方が増えているようです。
最近、アメリカへの転職流行ってますか・・・?それとも、日本の「年収の壁」議論が盛り上がり、日米の比較をされる方が増えているのでしょうか・・・?
ここ最近、すっかり日本の事に疎くなってしまいました・・・。
M1決勝進出者も知らない芸人さんが多い・・・。トムブラウンがんばれ!
以前、駐在員のグロスアップについて記事を書いた際に、アメリカでの手取りについて言及させていただきました。なぜかこのブログ記事が多く読まれているようです。
せっかくなので今回はより詳しく、日本とアメリカでの手取り額の計算について書いてみたいと思います。
日米での手取り額計算比較 日本での手取り計算まず日本ではどうなのかを見ていきたいと思います。
日本の給与計算では、以下のような控除項目が給与から控除されます。
所得税所得税は収入に応じて税率が異なる「累進税率制度」が適用されます。
課税される所得金額税率控除額1,000円から1,949,000円まで5%0円1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円40,000,000円45%4,796,000(国税庁HPより)
税率は5%から最高45%までとなっています。
45%はなかなか高いですね・・・。税率だけで考えると住民税併せると55%になるので、日本はかなり高税率な国となります。
課税所得が7,000,000円の場合、計算は下記の通りとなります。
7,000,000 * 0.23 – 636,000 = 974,000
給与の場合は、月次の給与から所得税が源泉徴収されます。
住民税住民税はお住いの自治体から、賦課される税金です。税率は原則10%になりますが、自治体によって僅かな差があります。
住民税の納付は、翌年の6月から12等分された税額が給与から控除されます。
(例:2024年の所得に対して、2025年の6月から住民税の控除が開始されます。)
社会保険料社会保険料には以下の保険料が含まれています。
健康保険 介護保険 厚生年金 雇用保険改めて控除項目を見てみると多いですね・・・。
手取り額試算それでは、ここで手取り額を計算してみたいと思います。
例1:年収600万円(月50万円)・年齢35歳・独身の場合
給与:6,000,000円
所得税:190,620円
住民税:291,700円
社会保険料:1,037,112円
控除額合計:1,519,432円
手取り:4,480,568円
例2:年収1,000万円(月約83万円)・年齢50歳・既婚の場合(配偶者に所得無し)
給与:10,000,000円
所得税:755,846円
住民税:596,400円
社会保険料:1,350,384円
控除額合計:2,702,630円
手取り:7,297,370円
(注)健康保険はお勤め先の加入されている健康保険組合によって料率が異なります。従って、こちらの試算も勤務先によって異なる可能性がありますのでご留意ください。
計算をしていくとわかるのですが、給与所得控除の上限が低いので、給与が上がるととたんに税額が上がりますね・・・。給与が上がっても、手取りは増えないというのがよくわかります。
アメリカでの手取り計算次にアメリカでの手取り計算を見ていきたいと思います。
アメリカの給与計算では、以下のような控除項目が給与から控除されます。
連邦所得税 (Federal Income Tax)アメリカの所得税も収入に応じて税率が異なる「累進税率制度」が適用されます。また、税率は申告形態によって異なります。
Tax brackets 2025 Single filers(単身者)
Tax rateTaxable income bracketTax owed10%$0 to $11,92510% of taxable income12%$11,926 to $48,475$1,192.50 plus 12% of the amount over $11,92522%$48,476 to $103,350$5,578.50 plus 22% of the amount over $48,47524%$103,351 to $197,300$17,651 plus 24% of the amount over $103,35032%$197,301 to $250,525$40,199 plus 32% of the amount over $197,30035%$250,526 to $626,350$57,231 plus 35% of the amount over $250,52537%$626,3510 or more$188,769.75 plus 37% of the amount over $626,350Tax brackets 2025 Married filing jointly(夫婦合算)
Tax rateTaxable income bracketTax owed10%$0 to $23,85010% of taxable income12%$23,851 to $96,950$2,385 plus 12% of the amount over $23,85022%$96,951 to $206,700$11,157 plus 22% of the amount over $96,95024%$206,701 to $394,600$35,302 plus 24% of the amount over $206,70032%$394,601 to $501,050$80,398 plus 32% of the amount over $394,60035%$501,051 to $751,600$114,462 plus 35% of the amount over $501,05037%$751,601 or more$202,154.50 plus 37% of the amount over $751,600Tax brackets 2025 Married filing separately(夫婦個別)
Tax rateTaxable income bracketTax owed10%$0 to $11,92510% of taxable income12%$11,926 to $48,475$1,192.50 plus 12% of the amount over $11,92522%$48,476 to $103,350$5,578.50 plus 22% of the amount over $48,47524%$103,351 to $197,300$17,651 plus 24% of the amount over $103,35032%$197,301 to $250,525$40,199 plus 32% of the amount over $197,30035%$250,526 to $375,800$57,231 plus 35% of the amount over $250,52537%$375,801 or more$101,077.25 plus 37% of the amount over $375,800課税所得が$100,000の場合、計算は下記の通りとなります。
(単身者の場合)
(100,000 – 48,475) * 0.22 + 5,578.50 = 16,914
(夫婦合算の場合)
(100,000 – 96,950) * 0.22 + 11,157 = 11,828
(夫婦個別の場合)
(100,000 – 48,475) * 0.22 + 5,578.50 = 16,914
同じ既婚者でも合算申告と個別申告で税額の差が出るところが興味深いですね。
課税所得が$100,000の場合、合算申告と個別申告で$5,086の差が出てしまいました。
夫婦揃ってアメリカに来ている場合、二人ともSSNがあるので問題ないと思いますが、単身赴任の場合は日本に残っている配偶者にSSNが無いと税額でとても不利になってしまいますね。
(この辺の対策は違う機会にご説明したいと思います。)
州所得税 (State Income Tax)アメリカの州所得税は州によって異なります。テキサス州やワシントン州では州の所得税はありませんが、その他の州では原則州税が発生します。
税率等も州によって異なり、ニューヨーク州やカリフォルニア州は高税率州です。
FICA税(Social Security TaxとMedicare Tax)Social Security Taxは12.4%、Medicare Taxは2.9%となっており、労使折半となります。つまり、従業員が負担するSocial Security Taxは6.2%、Medicare Taxは1.45%となります。
健康保険料健康保険は雇用主が提供するプランに基づきます。健康保険料はお勤め先の会社のプランや、家族構成、お住いのエリアなどによって異なるため、一概にいくらと計算することができません。
あるデータによると、家族で毎月平均$477という情報がありましたので試算ではこちらの金額を使いたいと思います。(単身者は$200として試算してみます。)
手取り額試算それでは、ここで手取り額を計算してみたいと思います。
例1:年収60,000ドル(月5,000ドル)・独身・テキサス州在住
給与:$60,000
連邦所得税:$3,073
州税:$0
FICA税:$4,590
健康保険料:$2,400
控除額合計:$10,063
手取り:$49,937
例2:年収60,000ドル(月5,000ドル)・独身・ニューヨーク市在住
給与:$60,000
連邦所得税:$3,073
州税:$2,563
市税:$1,797
FICA税:$4,590
健康保険料:$2,400
控除額合計:$14,423
手取り:$45,577
同じ収入でも住んでいる州が異なると、大きく手取り額が変わってしまいますね。
例3:年収100,000ドル(月約8,333ドル)・既婚の場合(配偶者に所得無し)・テキサス州在住
給与:$100,000
連邦所得税:$7,236
州税:$0
FICA税:$7,650
健康保険料:$5,724
控除額合計:$20,610
手取り:$79,390
例4:年収100,000ドル(月約8,333ドル)・既婚の場合(配偶者に所得無し)・ニューヨーク市在住
給与:$100,000
連邦所得税:$7,236
州税:$3,970
市税:$2,814
FICA税:$7,650
健康保険料:$5,724
控除額合計:$27,394
手取り:$72,606
アメリカでは401KやHSA等の制度によって、課税所得を合法的に減らすことができます。従って、実際には人によって税額は大きく異なると思います。
まとめ日本でもアメリカでも結構な金額が税金や社会保険料として取られてしまいますね。
アメリカでは州税や市税の影響が大きいので、住む場所によって税負担が変わってきてしまいます。
アメリカへの転職を考えている人は、住むところもよく考えて引っ越しをされることをお勧めします。
(税金だけで考えると治安や学校のレベル等が悪い場合もあるので、これは難しい問題ですね・・・。)
The post アメリカの手取り額について(2025年版) first appeared on 国際人事・駐在員のためのアメリカ税務情報.