「楽しみながら英語のリスニング力を伸ばしたい」という人にオススメなのが、映画を使った学習です。
しかし、学習法がわからずチャレンジできない人や、やってみたけれど挫折した人も多いのではないでしょうか?
私も映画が好きなので学習に取り入れてきましたが、最初のうちはうまくいかず、「映画を使った学習は遠回りなのでは......」と疑ったこともありました。
そんな私がいろいろ試して見つけた効果的な学習法や注意点を、この記事で解説します。
後半ではリスニング学習におすすめの映画も紹介しているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
映画でリスニング力を伸ばす学習法
残念ながら、ただ映画を観ているだけではリスニング力は伸びません。
映画でリスニング力を伸ばすためには、意識的に学習に取り組む必要があります。
次の3つを実践してみてください。
英語字幕で映画を観る
「英語音声+日本語字幕」で映画を観ると、どうしても日本語字幕に頼ってしまいます。
そうすると英語がわからなくても気にならず、聞き流してしまうので、リスニング力が鍛えられません。
なので「英語音声+英語音声」で映画を観ましょう。
映像よりも音声に集中しながら観て、「聞き取れなかった」「意味がわからなかった」というところがあったら、いったん映画を止めて英語字幕を確認します。
ただし、まったく知らない映画を、最初から「英語音声+英語音声」で観るのはおすすめしません。
あまり細かく映像を止めると、ストーリーが進まなくて飽きてしまうからです。
吹き替えまたは「英語音声+日本語字幕」で何度か観たことがあって、内容が頭に入っている映画を選んでください。
映画はディクテーションの素材としても向いています。
つまり「字幕なしで英語を聞き取り、書き取る」という学習法です。
書き取りはノートとペンで行っても、PCに打ち込んでもOK。
私は映画のセリフ専用の「英語で映画ノート」をつくりました。
具体的なやり方は次のとおり。
①聞こえたとおりに英語を書き取る
②英語字幕を表示して答え合わせをする
③わからない単語や文法を調べる
④もう一度再生して確認する
①だけで終わってしまうと、いつまでたっても正しく聞き取れるようになりません。
必ず②と③をセットで行い、「音声」「文字」「意味」が結びつくまで繰り返して聞きましょう。
まねして発音する(シャドーイング)
聞こえた音声を追うように発音するシャドーイングも、リスニング力アップに効果的な学習法です。
ただ聞くだけよりも、「まねしよう」と意識したほうが、発音やイントネーションの細かい部分に気づけるようになります。
集中して音声を聞くことで、どんどん耳が良くなるのです。
シャドーイングは本来スクリプトなしで行うトレーニングですが、難しければ最初は英語字幕を表示しながらでも構いません。
ぜひ俳優になりきって、単語の発音だけでなくリズムやイントネーション、口の動きまでまねしてみてください。
リスニング力はもちろん、スピーキング力も強化されますよ。
映画でリスニング学習するメリット
映画を使ったリスニング学習には次のメリットがあります。
素材が豊富で飽きない英語学習において最も重要なのは「継続」です。
どんなに優れた学習法でも、三日坊主では意味がありません。
その点、映画はとにかく楽しめる教材です。
誰でも数作は「今まで観ておもしろかった映画」があるのではないでしょうか?
最近はNetflixなどのサービスで数えきれないくらいの映画が配信されているので、誰でも数本から数十本は好みの映画を見つけられるはずです。
これを機に今まで観てこなかったジャンルに挑戦してみるのも楽しいかもしれません。
新しい映画もどんどん公開されるので、いつまでも飽きずに続けられますよ。
生きた会話表現を学べる
教科書に載っている例文は、良くも悪くも「整った英語」なので、日常では使わなそうな堅苦しい表現が多いですよね。
一方映画で使われている英語は、教科書や参考書に比べて自然な言い回しになっています。
話し方も現実に近く、早口だったり不明瞭だったり、言い間違えたりつっかえたりすることも。
そのため聞き取りづらい部分もありますが、実際には教科書のように話してくれる人のほうが少ないです。
ネイティブとくだけた会話をしたいと思っている人は、映画で耳を鍛えておくと、実際の場面で役に立ちますよ。
会話のネタになる
私が実感している一番のメリットは、会話のネタが増えるということです。
有名な映画をしっかり観ておくと、初対面の人とでも共通の話題として盛り上がることができます。
『タイタニック』のような名作や『アバター』のように話題になった大作は、相手が日本人でも外国人でも通じることが多く、何度も助けられました。
さらに名セリフを暗記しておくと、相手がその映画を知らない場合でもネタにできて便利です。
たとえば『フォレスト・ガンプ 一期一会』に「Life is like a box of chocolatest.(人生はチョコレートの詰め合わせみたいなもの)」というセリフが出てきます。
これを覚えておいて、「好きな映画にこんなセリフが出てくるんだけど、どういう意味だと思う?」と質問すれば、会話のきっかけになりますよね。
ちなみにこのセリフの続きは「You never know what you're gonna get.(食べてみるまで中身がわからない)」です。
映画でリスニング学習するときの3つの注意点
映画を使ったリスニング学習は、適当にやると効果が出ません。
次の3つに気をつけて取り組みましょう。
同じシーンを繰り返し観る
映画のリスニングは、一度きりでは意味がありません。
の最低3回は観てください。
3回でも少なすぎるくらいで、私は1シーン30回くらい観ます。
映像付きでの再生に加え、音声データをスマホに入れて、音声だけで何度も何度も聞きます。
冠詞や接続詞まで全て聞き取れ、セリフを暗記してしまうくらいまで聞き込みましょう。
そうすれば、そのシーンで使われている単語や表現を別の場所で聞いた時も、100%聞き取れるようになりますよ。
毎回全体を観ようとしない
繰り返し観るにあたり、毎回映画全体を観ようとすると、時間がかかりすぎてしまいます。
映画は短くても90分くらいあるので、はじめから最後まで集中力を保つのは難しいですし、いくら好きな映画でも3回連続で観たら飽きますよね。
全体を観るのは、内容を把握するための1回のみで充分。
そのあと繰り返し観るのは1シーンだけにしましょう。
5分前後のシーンなら、スキマ時間にも観やすくておすすめです。
お気に入りのシーンを決めて、完璧にマスターしてから次のシーンまたは別の映画に移るようにしてください。
日常会話が多いジャンルを選ぶ
教材にする映画選びのポイントは、「日常会話が多く使われている」ということ。
現実とかけ離れた設定の映画だと、せっかく単語や表現を覚えても使う機会がありません。
私は学生時代に『パイレーツ・オブ・カリビアン』にハマってセリフを覚えましたが、海賊たちの冒険をベースにしたファンタジーだったので、日常会話に使われる表現がほとんど出てこずあまり役立ちませんでした。
おすすめは現代の学校や職場を舞台にしたラブストーリーや家族ドラマ。
自分の日常に近い設定だと、内容も理解しやすく、使える表現が多いです。
このあと、おすすめの映画も紹介するので、合わせて参考にしてください。
リスニング学習におすすめの映画
私が観てきた映画の中から、リスニング学習におすすめの作品を4つ紹介します。
『トイ・ストーリー』
初心者にはディズニーやピクサーなどのアニメ映画がおすすめ。
子どもでも理解できるシンプルな英語でありながら、ユーモアもあって大人でも勉強になります。
『トイ・ストーリー』は個性豊かなおもちゃたちが登場し、それぞれ違う口調で話すため、幅広い英語を聞くことができます。
『サウンド・オブ・ミュージック』
50年以上前の映画ですが、今でも日常で使える表現がたくさん出てきますし、上品な英語で聞き取りやすいです。
「ドレミの歌」「エーデルワイス」など、学校で習うような名曲が次々に登場するミュージカル映画なので、長編映画が苦手な人でも退屈することはないでしょう。
語りかけるような歌詞の歌が多く、歌の暗記もおすすめできます。
『イエスマン“Yes”は人生のパスワード』
ジム・キャリー主演のコメディドラマで、あらゆることに「イエス」と答えたら人生が変わるというストーリー。観るたびに元気をもらえます。
日常的なシーンがほとんどですし、「The world's a playground.(世界は遊び場)」のような名セリフも出てくるので、英語学習にぴったりです。
『マイ・インターン』
ビジネス英語を学びたい人は、オフィスを舞台にした映画を選びましょう。
『マイ・インターン』はIT企業が舞台で、ネット関連の現代的な表現を知ることができます。
前向きになれるストーリーなので、仕事に行き詰まった時に観るようにしています。
よくある質問
最後によくある質問をまとめました。
映画の音声の聞き流しはリスニングに効果ありますか?映画に限ったことではありませんが、音声に意識を向けずに聞き流しているだけでは、ほとんど効果がありません。
リスニングの効果を高めるためには、
が重要です。
初心者でも映画でリスニング力を伸ばせますか?
もちろんです。ただし自分の英語レベルに合った映画を選ぶようにしましょう。
はじめは子ども向けのアニメ映画や、ジブリのような日本映画の英語版から始めるのがおすすめです。
英語字幕で映画を見る方法を教えてください
動画配信サービスでは、Netflix、Hulu、Disney+に英語字幕を表示する機能があります。
DVDやブルーレイは、英語字幕があるかどうかパッケージに記載されているので確認しましょう。
英語字幕機能があるサービスやDVD・ブルーレイなら、設定画面から字幕表示を選択することができます。
まとめ
自分の好きな映画を観ながら勉強できるなんて最高ですよね。
私は映画をリスニング学習に取り入れるようになってから、英語の勉強がますます楽しくなり、映画も以前より好きになりました。
ぜひこの記事を参考に、映画を選ぶところから始めてみてください。
映画を教材としてうまく活用すれば、大幅なリスニング力アップが期待できますし、ゆくゆくは字幕なしで映画を観ることもできるようになりますよ。