幼稚園の帰り道、みみはこちらを見ずに言った。
「みみちゃんね、毎日、Tu es chinoise,君は中国人って言われているの。」
アジア人は中国人だと思っていることが多いのだろう。
私はその時、”在仏日本人のための情報誌OVNI"のホームページの相談コーナーのことを思い出した。
棒を持ったフランス人の子供に、「中国人!」と言われながら追いかけまわされた日本人の子供の話。
私の心に不安がよぎった。
どの子が言うのかもチェックした。
その後、先生に話もした。
先生は、
「まだ、みんな子供なのです。中国人なの?と思って言っているだけです。」
「・・・。」
「先生、地球は大きくて、色々な国があって、みみは日本という国で生まれたということを、日本がどんな国かということを説明してもらえませんか?」ということをなんとか伝えたら先生は簡単にそんな話はしてくれたようだった。
そんな頃、、、それはまた幼稚園の帰り道だった・・・。
私達の前方から3人の17,8歳くらいの男が歩いてきた。
そして、そのうちのひとりがみみの前に立ち、みみの顏の前まで中腰になり、大声で叫んだ。
「Chinoise~中国人!!!!!!!!」
その通りに響き渡る大声だった。
みみの表情はこちらからは見えなかった。
私は凍りついて、、そして、大声で笑う3人を振り返り、睨みつけた。
・・・私は・・・今でも、この事件が無ければもっとここで楽に暮らせたのかもと思うことがある。
このときの光景を、この時から何度思い出しただろう・・。
そして、思い出している時の私はその中でこの男たちに殴りかかっている。
”おまえたちなんかに、、、何も知らないくせに・・・!!”
だけど、このことがあった日、私は夫にこの出来事を話さなかった。
夫は夫で、会社でもがいている感だった。
会社でたった一人の日本人として働いているのだ。
私は察して何も言わなかった。
しかし、その数日後、幼稚園での出来事に、私は限界を感じてしまったのだ・・。
それは、誰かから誕生日招待状をもらった女の子の言葉だった。
言葉ができない・・みみはまだ誕生日招待状をもらったことがなかった。
招待状は、廊下にあるそれぞれの靴箱に入れられるので、誰が招待されて、されなかったか一目瞭然。
・・その日、招待状を自分の靴箱に見つけたその子は私の目の前にいるみみに言ったのだ。
「どうしてあなたは招待されないか分かる??」
「ううん。」
彼女は言葉を区切りながら大きな声で答えた。
「パ!ス!ク!テュ!エ!ジャ!ポ!ネ~ズ!!!」
(つまり、あんたは日本人だからよ!)
この時、私は爆発してしまった。
廊下に数名いた父兄は・・・何も言わない。
その子のパパだって、すぐ近くにいたのだ!!
どういうつもり・・・!?!!!!!!!
もうダメだ。
こんな所、、、私だってみみだって、来たくて来たのではないのだ!!
その夜、私は夫の前で大泣きをした。
もう、ダメだ。日本に帰りたい。ロンドンでもいい。
ロンドンに戻りたい・・・。
無理なことだった・・・。
でも、、、もうダメだと思った。
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