さて、いろんな事件が起こるサビヌキ家です。
再会劇の前に 忘れられない‘迷子事件‘について
書いておこうと思います。
それは NYに到着した翌日のことでした。
私達は 時差ボケの解消をかねて ショッピングセンターにでかけました。
アメリカのショッピングセンターは
いくつもの店舗が 横へ横へと 並んでいます。
高さは せいぜい３階建てぐらいですが
その広がりようといったら 果てしない。
一日 歩き回っても 結局 反対側の端まで
たどり着けなかったということがままあるぐらい 広大なのです。
さて そんなショッピングセンターで 娘は 大はしゃぎです。
買いたい服や雑貨が たくさんあり
あっちの店 こっちの店と 走り回っていました。
一方の息子は ショッピングと聞いただけで どよ～ん。
将来、カノジョのシッピングに付き合えない男になったらどうするっ！と
母に叱咤されながら（←大切な教育） ７歳男児は ダラダラと
女子の買い物に つき合っておりました。
でも やっぱり つまらないものは つまらない。
息子は 持参したオモチャで遊びながら ジグザグに歩いたり
お菓子食べたい～と愚痴ってみたり
座り込んだかと思ったら 側転したりと
まぁ やる気ゼロモードで ちんたら歩いておりました。
「 シャンと歩きなさい。
もうすぐしたら スナック買って 休憩するからっ！」
息子を 食べ物で釣り、次の店に向かいます。
「ほら、あそこの シャンプーと石鹸のお店に行くからねっ！」
そこは 娘も私も 大好きなお店。
日本では なかなか気に入る香りの
シャンプーやボディソープが売っていないので
ここはひとつ まとめ買いじゃ！と気合が入ります。
日本は なぜか 衛生用品でも 食べ物の香りが好きですよね。
ピーチとか ストロベリーとか、レモンとか・・・。
アメリカにも 食べ物系の香りはありますが（バニラやシナモンが人気）
私は ラベンダーやローズマリーなど
本物のハーブエキスを使った アロマたっぷりの香りが大好きなんです。
そして アメリカの製品は その期待を裏切らない ものすごいハーブ臭。
これが いいんですよね。
単品よりも いろいろな香りをブレンドしてあると さらに深みがでます。
自分の好きな香りを求めて
いちいち 容器のフタを開けては 匂いをチェック。
へぇ これとこれの香りをブレンドすると こんな香りになるんだ・・・。
フタを開けるたびに 新鮮な驚きがあり 楽しいです。
「わぁ ママ、これ いい香り～」
「う～ん、こっちの方が ママは 好きかも～」
娘も５年生ともなると おしゃれ心が芽生え
それなりに 一緒にショッピングを楽しめます。
すると 店員さんが 近寄ってきました。
「 そちらの商品は この夏 発売したばかりなんですよ。
さわやかな香りでしょ～。
今 その商品を含めて こちらの棚のものを３点買っていただくと
１点 おまけします 」
アメリカでよくある特売手法、BUY３ GET１ FREE って 奴ですね。
時々 BUY１０ GET２ FREE みたいな
いくらなんでも そんなにいらんわい！って 場合や
婦人物のシャツで まったく同じ形だけど 色、柄ちがいを並べ
BUY２ GET１ FREE なんかもあり
だれが 同じ形のシャツを ３枚同時にほしいねん！というような
あんまり 買う気が起こらない 逆効果キャンペーンもあるのですが
今回は まさに 我々 大量まとめ買いの予定です。
石鹸やシャンプーなら腐るわけではないし お土産にも最適。
願ってもない 数量セールです。
でも たくさんといっても ３の倍数でないといけないし
たまに セール適用外の商品もあるので その点を確かめつつ
娘と二人 犬の親子のように 店内をクンクン嗅ぎまわっていました。
しばらく悩んで やっと買う物を決め レジに向かおうとすると
娘が 両腕にあふれんばかりの商品を抱えて やってきました。
「ねぇ ちょっと
なんで小学生のアンタが こんなにたくさん必要なわけ？」
文句をいいながら 娘の分を少し減らし
さぁ お会計！！と思った その時です。
背後に 大きな影が忍び寄るのを感じました。
”Excuse me, ma’am ”
振り返ると そこには 身長２メートル、幅およそ１メートルの巨人、
アブドーラ・ザ・ブッチャー、いや、黒人の警察官が
立っているではありませんか！
わたし 何か 悪い事した？？？？
ショッピング中の私が なぜ 警官に呼び止められるのか
意味がわかりません。 その上 相手はブッチャーです。
すっかり 彼の迫力に気圧され 茫然としていると、
ブッチャーの方から 要件を切り出してくれました。
「この子は あなたの息子さんですか？」
みると ブッチャーの 大きなお腹の陰には
泣きベソをかいた 我が息子がいるではありませんか！
「・・・・なんで アンタが この人といるわけ？」
息子がいなかったことすら 気づいていなかった 私・・・。
よくよく聞くと ブッチャーの説明は こうでした。
「シャンプーと石鹸のお店に行こう」と進みだした私たち。
店は まさに 目と鼻の先でした。
ところが 気乗りがしない息子は
ケンケンパをしたり ジグザグに歩いたり。
そして ふと 顔をあげると
一瞬のうちに 私たちの姿が 消えていたそうです。
（そりゃ そうだ。目の前の店に 入ったんだもん）
「あぁ そうか。ママは あの店って言ってたな」と
息子が入ったお店は なんと ランジェリー店。
間違えて 石鹸の店の隣にあった
女性用下着の専門店に 迷い込んでしまったのです。
「あれ？ この店、石鹸も シャンプーもないっ！」
ブラジャーとパンティーの間をぬって 私たちを探し回った挙句
息子は 店を飛び出し 泣きながら 廊下を走り出しました。
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