家事手伝いのお試しも完了し、さて本格的に依頼しよう!と決めたのは良かったのですが、ちょうど周辺でメイドさん解雇でトラブルが起きているケースを聞いたので、
そもそもパナマでは家事手伝いさんを雇うことはどういう感じで、どういうルールや法律があるのか、片っ端から調べました。
< 情報源 >
・ 日本人コミュニティの知り合いの口コミ情報
・ メイドさん/家事手伝いを使い慣れている欧米系の情報サイト、口コミサイト
・ パナマ労働省に掲載してあった労働法。(原文はこちら。一番下にPDFダウンロードあり) 2018年3月時点のPDFを参考にしています。
・ ボーナスについては、ネットに落ちてた原文コピーと、金額の計算方法は口コミ&ネット情報を参照。
※ 私は前職の影響で重度の契約トラブル心配性なだけで、法律マニアではありません。
まずは一般の労働法に書いてあることを少し:
大切な前提
(書面合意していない場合は) 従業員側の言い分が優先される(Articulo 6)
→ 最悪の場合、従業員が嘘っぱちで労働省/裁判所にクレームしたら、雇用主が損するので、基本は書面合意がおすすめ。
年次有給休暇
11ヶ月連続で労働をすれば、年次あたり1ヶ月の有給休暇の権利がある。(Articulo 54)
以下、Articulo 231 は家事手伝いに適用する特殊条項
雇用の成立
・ 契約は口頭でも書面でも可能。(Articulo 231-1)
勤務時間
・ 勤務時間の制限はないが、21:00〜6:00・毎週の休暇・年次の有給休暇は受領すべき。祝日労働を依頼する場合、雇用主は100%の給料の上乗せ (合計で2倍の給料) を支払う。(Articulo 231-2)
→ 他の条項で探しても、家事手伝いの定義としても勤務時間が指定されていないので、家事手伝いさんを週1回頼む場合でも、毎日頼む場合でも、この労働法は適用対象になる。つまり、法律を真っ向から適用させた場合、上記の有給休暇や祝日労働の条件はもちろん、以下の解雇条件や退職金etc..も適用対象になる。と、読めてしまう。
試用期間
・ 最初の2週間は試用期間とし、24時間前に口頭通知をすれば、双方どちらでも理由なしに契約解除をすることが可能。(Articulo 231-3)
契約終了 / 解雇
・ 解雇をする場合は、30日前に伝える必要がある。口頭でも可能。(Articulo 231-3)
・ 解雇時には勤務期間に沿って退職金を支払う必要がある。
2週間〜3ヶ月:1週間分の給与
3ヶ月〜1年:2週間分の給与
1年〜2年:1ヶ月分の給与
2年〜4年:2ヶ月分の給与
以下略
(Articulo 231-4)
→ ただし、この退職金に加えて、有給休暇/ボーナス/祝日労働の未払いがある場合は、合わせて支払う必要がある。このため、勤務日の管理は手帳や領収書でしっかりやりとり&確認するべし。
健康証明
・ 契約前に、雇用主の費用負担で従業員の健康証明を要求することは可能。 (Articulo 231-5)
病気の場合
・ 雇用主が感染性のある病気にかかった場合、従業員は契約破棄をする権利がある。同様に、従業員が感染性のある病気にかかった場合、雇用主にも契約破棄の権利はあるが、この場合、雇用主は最初の3ヶ月間は給与を支払う義務がある (Articulo 231-6)
・ 4週間以上の勤務ができない状況の場合、雇用主は契約解除をすることができる。この場合、1ヶ月勤務分の給与または6ヶ月の猶予を与えなければならない。補償金は、3ヶ月分の給与は超えない。(Articulo 231-7)
→ 文章がよくわからない部分もあるので、病気時の取り扱いは、プロに再確認してください。
その他
・ 従業員は勤務日程に支障がなければ、学校に行く権利がある。(Articulo 231-8)
・ 別途合意がない限り、雇用主は、従業員に給与だけでなく、十分な部屋と食事を与えなければいけない。食事は栄養のあるもので、部屋は衛生的に清潔でなければいけない。(Articulo 231-9)
・ 雇用主は、従業員の葬儀費用を負担する。(Articulo 231-10)
・ 違反している場合、25 または 100 バルボアドルの罰金となる。(Articulo 231-11)
最後に、ボーナスについて。
パナマには "Decimo Tercer Mes (13ヶ月目)" というボーナス制度がある。これは労働法には記載していなくて、政令 decreto de gabinete 221 de 1971 に記載してある。
ボーナス
賞与支給日: 4月15日、8月15日、12月15日
支給金額: 1回4ヶ月分の12分の1 (年間1ヶ月分相当)
計算例:
4月は、12月16日〜4月15日までの給与の12分の1
8月は、4月16日〜8月15日までの給与の12分の1
12月は、8月16日〜12月15日までの給与の12分の1
ってことで、法律を真っ向から適用すると、毎回の料金に加えて、少なくとも ボーナス + 有給休暇 + 退職金、が必要な計算。退職時には未払金の精査も発生する。
これらは日本人的な感覚からすると、ピンとこないものです。私も最初、ええええええ!!!!って思いました。
でも1回深呼吸して、落ち着いて、よーーーーく考えて見ると、ボーナスはアメリカではレストランではチップを払うのと同じような文化的感覚かもしれないし、住み込み/長時間勤務のお手伝いさんが浸透している社会なら、家事手伝いというお仕事に正社員同様の権利&条件が与えられていても不思議ではない。
日本とはだいぶ違うけれども、理不尽ではないんです。
ガチガチの契約書書面で書くのもありですが、我が家はざっくりと揉めそうな部分だけを抜粋して、覚え書き程度の契約書を作成、お手伝いさんとも確認して合意に至りました。
家事手伝いさんごとに、基本料金はもちろん、細かい条件が違っていたりもするので、これは担当の家事手伝いさん & 雇用主の交渉力次第ですが、
ボーナスや退職金の条件 "ありき" でお仕事を依頼して、いざという時に「聞いてないよ!」「これは支払ってくれないと困るよ!」などと揉めるのはお互いに悲しい結果になるので、個人的には、信用あるハッピーな関係にするためにも書面合意をしました。
最後に、この情報はあくまでも2018年3月時点の労働法の翻訳なので、あくまで参考情報としてお願いします。(まぁ、ブログの情報は全てそうですけどねw)
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