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花見の自由

 
 
 
そろそろ 震災の被害を 直接 受けなかった多くの人が 
節電や災害モードに疲れてきたようで、
これまで自粛していたいろんな行動を 再開したくて うずうずしている。
 
 
 
空席が目立った都内のレストランには 人々が舞い戻ってきているし、
ゴルフ場や結婚式場も 3月分は キャンセルが相次いだが 
4月分のキャンセルの申し入れは ほとんど 入っていなかった。
 
 
 
4月になれば 新年度。
大変な災害だったけど もうすぐ 春。
 
桜の花も咲くことだし 心機一転 気持ちを入れ替えてがんばろう! 
また 日常生活に ペースを戻して行こう! 
お休みしていたお稽古を 再開しよう!
今月のゴルフコンペは 楽しもう!・・・・と、
あくまでも 被災地以外の話ですが、
いろんな人が 各自のペースを取り戻すのに 「桜前線」を 
心のどこかで 目安にしていたのではないだろうか。
 
 
 
 
それが 石原都知事を筆頭に 「花見自粛」のお達しが 
お上から 発せられる事態となってしまった。
都内の公園などでは 大人数での花見を自粛するよう 看板をたてた。
 
 
 
 
 
おいおい。
 
 
 
 
 
被災者の気持ちを おもんばかることと 花見とは まったく 話が別だろう。
花見をするも パーティーを開くも 結婚式をするも、それは 個人の自由。
やりたい人はやればいいし、直接 今回の災害に 関係なくて済んだ人は 
人生の門出を祝うなり 季節を楽しむなり 好きにすればいい。
 
 
 
それを 政府が 国民に「自粛を要請する」とは 何事か?
 
 
 
 
国民も 国民の方で 自分で勝手に決めればいいものを、
(もしくは 仲間内で相談して 決めればいいものを)
いちいち とんでもなく幅広い人々に 
「今度のゴルフコンペは 開催でいいですか?」などと 
電話をかけまくって 聞いている。
ネットの掲示板でも 
「わたしは結婚式を挙げてもいいでしょうか?」というスレッドが 数多く見られた。
 
 
 
 
 
 
好きにしたら いいやん!
 
 
 
 
 
 
確かに 未曾有の大災害だった。
しかし だからといって 被災しなかった人まで まるで喪に服すように 
あらゆる楽しみを自粛し 個人的なお祝い事まで 
取り消さないと いけないのだろうか?
 
 
 
結局 政治家が 自粛を呼びかけることで 
花見の時期が 一番の稼ぎ時の 屋形船はキャンセルが相次いだし 
4月に いろいろと計画立てられていた会合は 次々と 中止されることになった。
 
 
 
これは 経済の損失であり 国民の 復興への意欲を挫くものだと思う。
 
 
 
 
 
もちろん 何人か集まれば必ず 「こんな時期に けしからん!」と 
腹を立てる人間はいる。
被災地の人を思いやる気持ちはすばらしいが それは 遠く離れたところで
被災してもいないのに 暗い顔をして ”被災者ぶる”ことではない。
その気持ちは 義援金や ボランティア活動や 物資の提供に
いかせばいいのであって
自分と同じように 他の人にも 自粛を強要することではない。
 
 
 
被災者の人も したり顔で あの恐怖と悲しみを知りもしない人に 
「被災者の気持ちを考えよう」などといわれても 心の底では 
「あなたに何がわかるんですか?」と 腹立たしく思わないだろうか?
結局 私たちが 津波の真っただ中に飲み込まれた人たちの気持ちなど 
100%理解することは 到底 できないのだから。
 
 
 
もちろん それは 被災者の気持ちを 察する努力を やめるということではないが
それが 「しんみりする」ことでもないのは 確かだ。
 
 
 
 
山口県光市で 妻と幼子を殺された遺族の男性は
事件から何年たっても 悲しい顔をすることを世間に強要されたという。
 
 
新しい車を買うと責められ、笑っていると 楽しそうだ、と批判された。
 
 
遺族であっても 24時間 暗い顔をして 泣いているわけではない。
笑ったり 楽しんだりする瞬間が 一日のうちにあってもいいわけで、
そうやって 少しずつ つらい気持ちを紛らわせてもいいはずなのに 
世間は それを 許さなかった。
 
 
 
今回の震災の自粛要請も 被災者から 季節を楽しむ喜びや 
笑顔を取り戻す元気を 奪わなければいいが・・・。
 
 
 
それにしても どうして 日本人は いつも 
「下」に 標準を 合わせたがるのだろう。
 
 
 
勉強ができない子に合わせるあまり 日本の学校教育は 崩壊した。
 
 
 
これで 経済活動を 被災者の標準に合わせていたら 
日本の経済も 崩壊するだろう。
 
 
 
復興とは 上を向いていくこと。
 
 
 
自分より 恵まれない人の立場を想うことは大切だが
そこに標準を合わせていたのでは 日本全体が沈没してしまう。
 
 
 
むしろ 私たちががんばって 被災地を 
引っぱり上げないと いけないのではないだろうか。
 
 
 
 
被災地にいる方も いない方も 春はもう 目の前まで来ている。
日本が一番美しく彩られるこの時期を 一人ひとりが胸の内で楽しみながら
次なる季節の到来に 心を躍らせよう。
 
 
 
 
 
 
 
サクラ、サク。
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