12月でも30℃を超える南国マレーシアで迎えるクリスマス シーズン。日本であれば11月頃から街にイルミネーションが増えていき徐々にクリスマスの雰囲気を盛り上げてくれるが、イスラム教徒が約65%、中国系が26%、インド系が7.7%という社会ではクリスマスを祝うという習慣はあまりないだろうと思っていた。
しかし、その予想に反して、この季節になって街にでかけると、驚くほどクリスマス一色に染まっている。つい先月までハロウィーンで盛り上がっていた店舗もすっかりクリスマス モードに模様替え。
更に12月25日に日付が変わった瞬間、「バン!バン!」と街中に花火があがる音が響き渡る。ここまでくると、むしろ日本より盛大なのではないかと思えた。多民族、多宗教、多文化が共生するマレーシアは、それぞれの文化と伝統を尊重しあうという国民性がある。マレーシア国民の懐の深さを改めて実感した。
雪国にあこがれるマレーシア国民
街で見かけるクリスマスのイルミネーションにはサンタクロースや雪だるまがキラキラと光り輝き、飾られている。マレーシア国民にとっては、サンタクロースも雪だるまもあこがれの象徴のような存在かもしれない。なぜなら、ほとんどのマレーシア国民は本物の雪国を体験したことがない。一面の雪景色、木に積もった雪、屋根から下がる氷柱、白い息・・・。近年ではアナと雪の女王(原題:Frozen)がマレーシアでもブームだったこともあり、クリスマスのイルミネーションや映画のスクリーンで見る雪の世界は一度は実際に行ってみたい”夢の国”に見えることだろう。街中に飾られたクリスマスのイルミネーションは雪国のプロモーションを行っているようにも見える。
”雪”や”北海道”は日本が誇れる有望コンテンツ
マレーシアから日本に旅行する観光客を対象とした調査では、富士山や温泉と並んで「日本の自然体験」として雪遊びやウインタースポーツが人気だ。雪国に育った人には何でもないような、雪合戦、雪だるま、かまくら作りなどの雪遊びでもマレーシアの人にとっては人生で初めて体験する遊びとなる。幼少期から南国でクリスマスのイルミネーションを見て育った人が、初めて本物の雪を体験したときの感動はいかほどだろう。
2015年10月からエアアジアがクアラルンプールー札幌間の直行便の運航をスタートさせたこともあり、北海道への旅行はかなり身近になってきている。
年に一度、「雪の世界=夢の国」を連想させるクリスマス シーズンを日本へのインバウンドへのきっかけとして活用しない手はない。円安やビザ緩和の効果もあって日本への外国人旅行者が増加傾向だが、このマレーシアでのクリスマスの盛り上がりをみれば、まだまだ外国人観光客を呼び込める強力なコンテンツが潜んでいるように見えた。
Issued by 「マレーシア ソーシャルナビ 2015」