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恐怖の"緑のオジサン"

 
 
緑のオジサン という人がいる。
 
 
 
この辺だけの  呼び方かもしれないが 小学校の通学路に 黄色い旗を持って立ち、
子供たちの 登下校の安全を 見守ってくださる方々です。
 
 
緑の・・・というのは 交通安全という意味のようです。
 
 
家から学校までは 徒歩10分ぐらいの 道のりですが 
その間にも 2人~3人の緑のオジサンが立っています。 
 
 
自動車から 子供を守ってくださるだけでなく、
「 おはよう 」「 おかえり 」と ひとりひとり 声をかけてくださったり、
喧嘩している子供たちを  注意してくださったり、
また 不審者対策にも 一役  買ってくださっていると思います。
本当に ありがたいことです。
 
 
 
ところが 娘が この緑のオジサンが 怖い と言い出しました。
 
 
 
確かに 学校関係者の中に 子供の安全を 脅かす人が いる場合もあるようです。
 
 
 
まさか・・・と思い よくよく事情を聞くと、
ほかの子供たちには おはようとか あいさつだけなのに 
娘には いつも 個人的に  話しかけてくるそう。
 
 
 
確かに ちょっと変だけど 転入生だと思って 気にかけてくれているのかも しれないし、
それだけで 不審者扱いするのも 悪い気がする。
 
 
 
別に 娘を引き留めてまで  話しかけているわけではないみたいだし、
ロリコンの気がある? というわけでもなさそう。
適当に あいさつを返して 急ぎますんで・・と 立ち去れば? とアドバイスしました。
もし 変なことを話しかけてきたり あまりにも しつこいようだったら
ママや先生に 言いなさい、とも いっておきました。
 
 
 
それから 数日後、
子供たちと歩いていたら 自転車に乗った 見知らぬおじさんが 急ブレーキで止まり
私たちに 話しかけてきました。
 
 
 
「 あの・・・外国から来た人ですよね? 」
 
「 はぁ? 」
 
 
あまりに 唐突な質問に 意味が分からない。
すると 息子が 「 みどりのオジサンだ!! 」と 叫ぶでは ありませんか。
 
 
 
マスクをして いつもの制服を 着ていらっしゃらなかったので わからなかったのですが
いつもの 緑のオジサンだったのです。
 
 
 
それにしても さっきの質問はどういう・・・・?
 
 
 
 
すると オジサンは うれしそうに
 
 
 
「 わたし 趣味で 英語を勉強していまして、
 いつも お嬢さんに 英語を教えてもらっているんですっ!! 」
 
 
 
なんだ そういう事だったのか。
どうやら 私たちが アメリカから帰ってきたことを どこかで知って 
娘に 英語で 話しかけているらしい。
 
 
 
でも 娘は 何で そんなに 嫌がるんだろう。
お年寄りが 一生懸命 英語を勉強しているというんだから 
ちょっとぐらい 相手をして あげてもいいじゃないの?
 
 
 
すると 娘。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「だって 何言っているか 全然 わかんないんだもん。」
 
 
 
 
英語が 話せる娘だが 実は 日本人のカタカナ英語というのを 聞いたことがない。
彼女にとって 英語とは アメリカ人が普通にしゃべる ネイティブの英語。
だから 日本人が話す 日本語訛りの英語や カタカナ英語が 本当にわからない。
 
 
学校でも 英語が大好きな 若い男の先生が 時々 娘に 英語で話しかけてくるらしいが 
かろうじて どうやら英語みたいだと わかる程度で 娘には その先生が 何を言っているか 
皆目 見当が つかないらしい。
 
 
 
どうやら 外人相手だと 緊張するが 子供相手だと いい練習台になると思うらしく
いろんな所で 英語好きな 日本人の大人が 下手な英語で 話しかけてくるそうだ。
 
 
 
 
先日 テレビで デーブスペクターが Helloと 声をかけられると すごく怖いと言っていた。
あれだけ 日本語がしゃべれる人を相手に つたない英語で 話しかけてくる人が まだ いるとか。
お互いに 日本語で話した方が よっぽど会話が 早く進むのに わけのわからない英語を 
一生懸命 意味を推測しながら 聞いてあげないといけないので すごく苦痛だと言っていた。
( つまり 英語としては 発音も文法も すごく間違っているということですね )
 
 
 
やっかいなのは 英語が練習したいといいながら こういう人に限って 
「 わからない 」などと 言おうものなら 怒り出すことである。
 
 
 
私も 日本人のカタカナ英語が 全くわからなくて 思わず聞き返し やっと意味が分かったので 
「あぁ ○○のことね」と言うと すごくムッとされた。 
分かっていたくせに ちょっと 発音が違ったからって 分からないフリをして わざとらしい、というのだ。
 
 
 
いや、ちょっとぐらいの 発音の違いじゃないから 分からなかったのだけど・・・。
 
 
 
しかも 我々のような海外帰国組は ふだん 日本人とは 英語で話さないので 
英語というと アメリカ人の話す英語が 普通になってしまっている。 
カタカナ英語を聞いたり それで 日本人と会話したりという経験は あまりないので
申し訳ないけれど 本当に わからないのだ。
 
 
例えば ベリー ベリーといわれて すっかり berry と思っていたら それが very だと分かった時、 
思わず あぁ very のことを言っていたんだ、と 感心してしまい 
それが 声や 態度に 表れてしまうことが ある。 
純粋に 相手の言おうとしていることが 判明して うれしいだけなのだが 
それが どうやら 日本人のカンに 触るらしい。
 
 
 
やっぱり いくら日本人同士でも ベリーと カタカナで言われると 
どちらのことを言っているのか とっさに判断できない。
それに 本来は berry と very は 発音が 天と地ほど 違うのですよ・・・。
 
 
 
 
娘も 緑のオジサンの 英語がわからない上に 何らかの反応を 求められるから 
すごく困るのだろう。 やっと 娘の苦痛の意味がわかった。
 
 
 
でも 朝は 息子も 一緒に 登校しているはず。
「 君は どうしているわけ? 」と 息子に聞くと
 「 おはようございます 」と 大きな声で 日本語で 返しているとか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「だって まさか英語とは 思わなかったから」
 
 
 
ちなみに 娘は 息子のランドセルの陰に隠れながら 
緑のオジサンの前を できるだけ足早に 過ぎ去るようにしているそうだ。
 
 
かわいそうに。
 
 
オジサンも 本当に 英語が 話せるようになりたいのなら 
まず その英語が 通じるレベルでないことを 理解し、
正しい発音を 娘に教えてもらうところから 英語の勉強を始めてほしい。 
そしたら 本当に 使える英語が しゃべれるようになると思うし 
娘も ここまで 嫌がらないと思うんだけどなぁ。
 
 
 
でも こんな話をブログに書くと 
”また ちょっと英語が話せるからって威張ってる”とか 怒られそう。
 
 
 
これだから 日本人の英語力は伸びないんだと思うんですけどね。
 
 
 
 
 
 
正しい英語を話す方が 肩身が狭い国。
 
 
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