10日(金)天気がなんとか持ちこたえ、テニスができた。3年に一度の「OECD・15歳学習到達度調査」(09年)が発表され、読解力が14位から8位に上がったと文科省もマスコミも大喜びし、大騒ぎしている。こんな滑稽な国は世界で日本くらいだろう。
いや、80年代を通して「日本に学べ」(その中身は低い教育予算で効果を上げる日本)運動の中で成果を上げてきたシンガポール、韓国、上海なども成果が上がったと喜んでいることだろう。そもそもこの学力調査は「到達度調査」で競争の成果を示すものではない。
しかもこの調査はOECDがフィンランドの教育に学ぶために、つまり、教育の地域格差や家庭の経済力による学力格差をなくす方策を見出すために開発されたテストなのである。従ってこのテスト結果は学力の低かった地域、子どもたちへの手当に使われる。
さらに言えば、教育予算をそうした地域に配分することを目的にしているということだ。上海が今回トップに躍り出たのは何の不思議もなく、大量の宿題や暗記を課す詰め込み教育の成果であって、それによって今回参加しなかった農村部が入れば数字は変わる。
新聞は日本の得点下位層の多さを問題点として指摘している。つまり、学力格差が拡大しているということだ。この結果を受けて、文科省が格差解消のために予算配分を考えたり、小人数学級の実現、教師の定数増に動くとはとても思えない。
上海や韓国、シンガポールの動きを見て、やはり日本が目指した方向は正しいのだと国民が思うのは困る。むしろ日本よりはるかに少人数学級で無免許で教壇に立つことはなく、授業時数ははるかに少なく、教師がはるかに自由な国々に注目すべきなのだ。
例えば国語の時数フィンランド週150時間に対し日本211時間(上海256時間)、数学フィンランド172時間に対し日本235時間(上海274)、理科フィンランド194時間に対し日本148時間(上海202)。つまり、週の授業時数に成績は比例していない。
夕方5時前に帰宅し、授業以外の仕事(部活も雑務)もなく、教師の教育の自由が大幅に保障されていながら5位以内にランクされているフィンランド、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、アイルランド、オランダなどの国々にこそ学ぶべきなのだ。
文科相は「施策が一定効果を上げた」とお決まりの談話を発表しているし、お茶の水大耳塚教授(教育社会学)は「成果主義が浸透した結果」などととんでもないコメントをしている。非生産的な多忙感を強いられている現場の教師には迷惑以外の何物でもなかろう。
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