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天職をつかんだ9人の女性
(内容)
現代のアメリカで活躍するスーパーウーマン9人について
その生い立ちや経歴、私生活について簡単にまとめたもの。
取り上げられている9人は・・・・
1. マーサ・スチュワート(カリスマ主婦)
2. ノラ・エフロン(映画監督)
3. ティナ・ブラウン(雑誌編集長)
4. バーバラ・ウォルターズ(キャスター)
5. ジョディ・フォスター(女優)
6. マデレン・オルブライト(元国務長官)
7. オプラ・ウィンフリー(司会者)
8. テリー・マクミラン(作家)
9. ウィノナ・ライダー(女優)
(感想)
99年発行の本なので やや人選に新鮮味が欠けるものの
取り上げられた9人は 現在もアメリカの第一線で活躍する女性たちです。
(マーサとウィノナは その後 逮捕され 一時期表舞台から姿を消していましたが
二人とも 華麗にカムバックを果たしました)
アメリカ人なら誰もが知っている有名人ですから 知っておいて損はないですし、
才能あふれる人々が どんな経緯をたどって頂点に上り詰めたのか 興味がありますね。
この9人は 人種も職業も様々ですし 裕福な家庭出身の人もいれば
貧しい家庭出身の人もいます。しかし 共通していることが いくつかあるようです。
それは まず、彼女たちが たぐいない才能に恵まれただけでなく
自分自身がその才能に 早くから気づいていたという点です。
彼女たちは 自分の得意な事、好きなことを 知っていました。
そして その分野に 情熱をもって 突き進んできました。
自分が何をやりたいか よくわからないという人が多い中で
「自分を知っている」ということは 大きなアドバンテージだったと思います。
やりたいことがはっきりしていると 進むべき道も
おのずと 開けてくるのではないでしょうか。
また 彼女たちは 必ず「回り道」をしています。
マーサは その時々の直観で モデルをしたり 証券業界で働くことを選びました。
彼女のキャリアの中では 本筋から外れる回り道かもしれませんが
いずれの経験も 今のマーサに 存分に生かされていると思います。
ほかの人も 業界を変えるところまで大きな転身はしていなくても
自分の枠組みの中に納まらず いろんな新しいことにチャレンジしています。
この旺盛な好奇心は 「好き」が軸としてはっきりしているからこそ
広げられるものなのかもしれません。
私も常日頃 人生 やって無駄な経験は一つもないと 思っているのですが、
彼女たちもまさに この「回り道体験」を 後のキャリアに存分に生かしているのです。
さらに 女としての転機を乗り越えてきたこと。
女性の人生は 周りの家族や 交際する男性、結婚相手に 往々にして左右されます。
9人の女性たちのプライベートは 必ずしも順風満帆ではないと知り
申し訳ないのですが ちょっとホッとしたのも事実です。
例えば バーバラ・ウォルターズは子供を産む暇がないからと 養女をとりましたが
仕事が忙しすぎて 子供との関係を築くのに失敗。 養女は 10代でバーバラの元を
去ったそうです。 結婚生活も 何度も挫折しています。
マーサはキャリアの絶頂期に 旦那が若い女性とデキてしまい 離婚されます。
もちろん 私生活もキャリアも うまくいっている人もたくさんいますが
なかなか現実は うまくいかないというのも 彼女たちの人生のリアリティあふれる
側面ではないかと。しかし 彼女たちは こうした私生活の荒波にも負けず
よりパワーアップして その後もキャリアを積み重ねているのが 印象的です。
そして 最後に 彼女たちのようなスーパーウーマンを生み出した
アメリカという国があります。
9人の女性たちが頭角を現したとき アメリカという社会は 常に彼女たちを上へ上へ
と引き上げ 彼女たちもそれに答えて 階段をかけ上ってきました。
中学生でパーティーのケータリングのアルバイトをはじめたマーサを
「中学生のくせに」とないがしろにする大人より、「中学生なのにすごいわね」と
言って 応援してくれる人の方が 圧倒的多数だったのです。
ノラ・エフロンは すでに27歳で人気コラムニストとして 引っ張りだこだったし、
雑誌編集者のティナ・ブラウンが「ヴァニティ・フェア」の編集長をまかされたのは
30歳の時でした。 キャスター経験のまったくないバーバラ・ウォルターズが
看板番組のキャスターとして抜擢されたのも 33歳という若さでした。
男女差別はまだアメリカにも残っていますし、人種差別もあります。
でも それでも才能あふれる人を ないがしろにしないのが アメリカだと思います。
経験のない女性に大きな仕事を任せるなど 大変リスキーだと思いますが
彼女ならできるはずだと 見込んでくれる人が 周囲にいたのです。
もちろん 異例の抜擢に やっかみや嫉妬もあったでしょうけれど そんな雑音を
ものともしないトップの決断と そして 才能あふれる新人を サポートしたいと思う人々が 彼女たちの周りにいたということです。 そして 彼女たちはその大きな期待に ちゃんと結果を出して答えました。 決して簡単なことではなかったと思いますけどね。
我々のような凡人には とても及ばない話ですが それでも 本の中で 個人的に印象に残った個所があったので ご紹介したいと思います。
マデレン・オルブライトの下りです。
23歳でマデレンは双子の娘を産みますが 二人とも未熟児で 2か月間病院に入院しなければなりませんでした。 子供の安否を気遣いながらも マデレンには何もできることがありません。この時 マデレンは 「いつまでも ぐじぐじ考えていても仕方がない」と思いきると、子供たちが退院するまでの2か月間、ロシア語の短期集中講座を受講し ロシア語をある程度マスターしたそうです。
それ以降も 夫の転勤で 各地を転々と引っ越していたマデレンは 一つの場所でじっくりキャリアを積むことはできなかったけど さまざまな所で大学に通い、勉強を続けていました。この勉学の日々が 彼女を最終的に ホワイトハウスのブレーンになるまでにしました。11歳でポーランドからやってきた少女は こうしてアメリカ社会の頂点に立ったのです。
わたしも周りや環境のせいにせず 今できることを一生懸命することで
自分磨きをしていきたいなと思った次第です。
オンナの人生 いろいろ。
↓↓↓↓
天職をつかんだ9人の女性
井上 一馬
中央公論新社(99年)
(文庫版)
講談社プラスアルファ文庫
ブログ紹介
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