玄関のドアを開けると、そこには見るからに屈強な男が３人。
どのくらい屈強かというと、背もすごく高いのに、そのことに意識がいかないくらいの目立ちすぎるマッチョ。
３人が３人ともマッチョ、マチョリスト。
その中でリーダー格の男が最もナンバーワンマッチョで、筋肉が隆々と盛り上がった上にはダークなタトゥーが彫り込まれている。
そしてスキンヘッド。何もそこまでお得詰め合わせセットにしなくてもと思わずにいられないフルコースマッチョだ。
男達はまるで筋肉とパワーを見せ付けるかのように超重量の物体を持ち上げてみせた。
あまりの重さに一人のマッチョがよろめくと、すかさずリーダー格の男が「だめだ、もっとゆっくり、あと１センチ上に上げて」「そうだ、そこから３センチ前に出して」と見た目からは想像もつかない細やかな指示を出す。
息切れする男達。
手ごわい重さに、ついにリーダー格の男が舌打ちしながら「ＳＨＩＴ！」と言った。
言えない。
言えるわけがない。
トリプルマッチョが鬼気迫る表情で我が家に入り込もうとしているこんな時に、
「靴はそこで脱いでください」なんて言えるほど私の脳は筋肉で出来てない。
そして無事、バカ重いガラスのダイニングテーブルと椅子６脚が我が家に納入されたのでした。
…うん、あのね。前任者から引き継いだ椅子がね、座ると底が抜けて尻が落ちるというね？何のアトラクションだよ状態になっててね？もうだいぶ長いこと前からオットなんかほぼ空気椅子で食事してたのね？だから買ったの。
ありがとうマッチョ。見た目恐すぎなのにいい人たちっていうの、マッチョのお約束なのかい？
冷蔵庫に貼ってあるフィジーの地図を見て「去年の夏に俺達も行ったんだ」とほがらかに話すリーダーマッチョ。
俺、たち……
マッチョ３人でトラベル…………？
（妄想タイム）
「きっと、そのリーダー格の男こそが女役なんだよ。昼と夜で指図する役を交代するんだよ」
というオットのエロ名言。
いいマッチョはいいホモを作るNE！
