マレーシアのICT分野で投資とビジネス進出を支援しているマレーシア・デジタル・エコノミー公社(通称:MDEC、地図)が新たな支援施策を打ち出している。それがサイバージャヤのビル一棟を丸ごとリノベーションして準備中のビジネスサポートセンターだ。
2020年に向けて最終段階に踏み出すマレーシアICT産業2020年までに先進国入りを目指すマレーシアにとって、労働集約型産業から知識集約型産業へ産業構造を変革させることは国家的な目標となっているが、その中でICT産業分野の成長を担う中核組織がMDECである。もともとマルチメディア開発公社という名称であったが2016年4月にマレーシア・デジタル・エコノミー公社(略称は変わらずMDEC)に改名、2016年5月には新しいChairmanも就任して、2020年の先進国入りに向けて総仕上げとなるフェーズのスタートを切った。
労働集約型産業から知識集約型産業へ従来、近隣諸国から集まる非熟練外国人労働者がマレーシアの農業や建設、製造業やサービス業など労働集約型産業を支えてきた。しかし、先進国入りを目指す今となっては、そのような安い労働力が豊富にあることが知識集約型産業への構造転換を遅らせているという認識がマレーシア政府にはある。マレーシア政府が公表している「11th Malaysia Plan」では、2020年までに非熟練外国人労働者の割合を15%以下に削減する目標を掲げる一方で、高度な技術や知識を有する人材の育成や誘致には積極的に施策を掲げており、ICTを活用した生産性の向上やイノベーションに対する期待も髄所に読み取ることができる。
MDECがICT分野で高度な技術や知識を有する人材の育成や誘致に積極的なのは労働集約型産業から知識集約型産業へ大きく舵をきりたいマレーシア政府の思惑と一致しているからだ。
MDECが開設するビジネスサポートセンターとは冒頭に紹介したビジネスサポートセンターでは、マレーシアに進出するICT企業を手厚くサポートする予定だ。マレーシアに進出を検討されている企業はビジネスサポートセンター内のオフィス(個室)を2名まで3か月間、無償で利用することができる。1台分の無料駐車場があり、共有エリアには会議室やコピー機が備わっている。
3か月間、無料で利用できるレンタルオフィスは鍵がかかる個室になっている。2名~3名で利用するなら十分な広さだ。
こちらは共有で利用できる会議スペース
ひと昔前は不便だったサイバージャヤにもレストランやショッピングセンターが次々オープンしている。近隣のホテルやサービスアパートメントを借りて、ビジネスサポートセンターのレンタルオフィスを拠点として活動すれば、クアラルンプール市内にも車で30分ほどで行くことができ、マレーシア進出に伴う準備をすぐにスタートすることができる。また、この3か月の間、MDECからはMSCステータスの申請、取得に向けた支援も行われる。
7月上旬にビジネスサポートセンターを訪問した際には、まだリノベーション中だったので入居企業はなかったが、これから順次埋まっていくことだろう。MDECの担当者は日本からの進出も大歓迎とのことで、日本語のパンフレットも準備されていた。MDECの担当者にお繋ぎすることもできるのでご関心のある方は当ブログのお問い合わせよりご連絡いただきたい。
Issued by 「マレーシア ソーシャルナビ 2016」