今回のマウント・クック旅行では,残念ながら辿りつけなかったけれど,マウント・クック国立公園の目玉の一つはタスマン氷河だ.
タスマン氷河はNZで最大の氷河で,世界でも中緯度域のものとしては最大規模の山岳氷河.
ところが1990年代以降,タスマン氷河は縮小を続けていて,氷河の先端は毎年平均180 mも後退している.そして,近年はこの後退スピードがさらに上昇していることから,タスマン氷河はあと10〜20年で消滅してしまう可能性もある.一方,氷河湖であるタスマン湖は,そもそも40年前には存在すらしなかったのが,タスマン氷河の融解に伴って成長し,現在では長さ7km,幅2km,水深250 mの大きな湖となっている.
下の衛星写真は1990年と,2007年の同時期に撮影されたもの(の解釈図).
右側の大きな氷河と氷河湖がそれぞれ,タスマン氷河とタスマン湖で,黄色の矢印で示したのがタスマン氷河の先端の位置だ.わずが17年の間に随分と後退したことが分かる.
(写真左下が今回行ったMueller氷河で,こちらも同様に後退している)
*after NASA: http://www.nasa.gov/mission_pages/IPY/multimedia/ipyimg_20080128c.html
Mueller湖とMueller氷河の先端.20年前には氷河が目前まで迫っていたらしい.
ニュージーランドのWater and Atmospheric Research (意訳 大気・水域研究所) によると,過去30年間にNZサザンアルプスの総氷河体積の11%が失われたらしい.
氷河の伸張には気温だけでなく降雪量も効いているので,将来予測は難しいけれど,数十年後のマウント・クック国立公園は今と全く違った風景になっているかもしれない.
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