ニュージーランドの電気料金が高い理由の一つかもしれないが,この国には原子力発電所がない.電力は主に水力・火力によって賄われている.
ただ,不思議なことにウェリントンには,Institute of Geological and Nuclear Sciences (GNS)という国立の研究所がある.この地質学と核化学という組み合わせは,一般に原子力発電と核廃棄物の地層処分を念頭にしているケースが多い.例えば日本で言えば日本原子力研究開発機構が当てはまるだろう.しかし,原子力発電所がないニュージーランドにこのタイプな研究所があるのはなぜだろうか?
どうやらニュージーランドの電力事情は厳しい局面を迎えているようだ.長年,電力供給の中心であった水力発電だが,既存のダム施設の限界から今以上の供給増には対応できない.その結果,火力発電に対する依存率が年々上昇しているのが現状だ.従って,穿った見方をすれば,ニュージーランドとしては核化学・地質学の基礎研究も進めておき,将来的なエネルギー事情の動向次第で何時でも原子力発電を開始できる足場は作ってあるということかもしれない.何しろ,お隣の“Lucky Country”オーストラリアにはウラン鉱山も多数あり,世界のエネルギー市場がブロック経済化した場合にも,両国の良好な関係を考えれば原料供給に問題は無いだろうから.
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