ウェリントンにGeological Nuclear Science (GNS)という研究所がある.
このGNSの研究者と留学中の研究の一部を共同で進める予定にしており,一度打合せに行く必要があった.
クライストチャーチ - ウェリントン間は飛行機での移動が一般的だけれど,現地で移動手段が無いと不便なので,ちょっと大変だが車で行くことにした.
クライストチャーチからウェリントンへ向かうには,まず南島の北端にあるピクトンという町まで行き,そこからフェリーに乗らなければならない.
クライストチャーチからピクトンまでは400 kmほどのドライブだ.
出発の朝,フェリーの出航時刻に合わせるため,夜明け前の5時頃にはクライストチャーチを離れた.走り始めてから1時間ほどで東の空が薄明るくなってきた.天気は期待した通り快晴になりそうだ.カンタベリー平原を抜けた国道1号は,丘陵地帯に入り,道は少しだけ険しくなっていく.日の出とともに視界が開けたので車を停め,写真を撮った.
クライストチャーチを出発してから約3時間,カイコウラというホウェールウオッチングで有名な町に着いた.
ここまでほぼ休まず走ったのでここで1時間ほど休憩を取る.
まだ朝8時なので人影はまばら.海上には朝靄が漂い美しい.
持参した朝食を食べ,海岸を少し散歩した.
今回は時間がないけれど,次はゆっくり来てみたい.
カイコウラから先,国道1号はしばらく海岸沿いを走っていく.
右手には無人の砂浜が続き,左手には崖が迫っている.津波が来たら完全に逃げられない地形だ.
時々通過する集落の前には,スクールバスを待つ子供達と親が集まっていた.
町からは随分離れている.一体,何処まで通っているんだろう?
11時頃,出発から約6時間でピクトンに着いた.
フェリーの時間には充分余裕があったので,町を少し散策した.
ピクトンは予想より小さな町だった.
ただ,港にはクルージング会社が並び,個人用ヨットが多数停泊している.
町の不動産屋には,ビックリするような価格の別荘の広告が幾つも掲示してある.
ウェリントンとフェリーで結ばれていることもあり,どうやらお金持ち向けのリゾート基地のようだ.
ピクトンとウェリントンを結ぶフェリーは,BluebridgeとInterislanderの二つある.
乗船価格(165ドル;車込み)は同じだし,ウェブでみる限り特に両者に違いはなさそうだ.今回は出航時間の都合からBluebrigeを使うことにした.予約は簡単で,ネットで日程と車のサイズを入力するだけだ.あとは予約番号を持って乗船場へ向かう.
無事にフェリーに乗り,車を所定の位置に停めてから客室デッキへ上がる.
落ち着き場所を探してうろうろしたが,船内に広いスペースは無く,数人がけの座席が並んでいるのみ.窓際に座っても,障害物があってあまり景色が良くない.しかも,もの凄い大音量でアニメ映画を上映していて,ゆっくり本を読むのも辛い.
仕方無いので,ちょっと寒いのを我慢して,屋上デッキで過ごすことにした.
デッキでは,やはり船室から追い出されてきたニュージーランド人と話をした.
彼は医師で,長期休暇には日本でスノーボードをしたりして過ごしているらしい.
日本人女性と結婚の予定らしく,なぜか僕らは日本の年金制度などについて話しながらウェリントンまで過ごしたが,最後には体が芯まで冷えてしまった.
下の写真は,クック海峡に出る直前に対岸を撮ったもの.
緑豊かな風景だが,驚いたことに植生のほとんどは外来種らしい.医師の彼が言うには,ニュージーランドでは国立公園を除くと自然の改変は著しく,全体的に見ると日本の方が森が豊かだと感じるそうだ.
夕闇の中,フェリーはスムーズにウェリントン港に到着した.
GNSはウェリントンから少し離れたLower huttという町にある.
医師の彼に別れを告げて船を降りる.
フェリー降り場からの少し道を間違えたけれど,30分ほどで無事にホテルに到着した.
クライストチャーチからウェリントンまで,約13時間の旅だった.
*******
ちなみにウェリントンからの帰りはInterislandarを使った.
結論からいうと,Interislandarの方が,Bluebridgeに比べて速いうえに,圧倒的にキレイで快適だった.客室デッキからの景色も抜群だ.
う〜ん,Bluebridgeのニーズはどこにあるんだろう?
海外赴任時に必要な予防接種や健康診断が可能な全国のクリニックを紹介しております。