ブラジル・ドイツ戦、ひどかったですね。朝から緊張感があった火曜日。試合を多くのブラジル人と見ましたが、その意気消沈ぶりときたら、ひどいものでした。ハーフタイム前に少年は泣き出し、「まだまだ時間はあるさ」とある意味、現実逃避していた青年も「6回目のチャンピオン」を皮肉って「6ゴール!」と歌い、最後はドイツのゴールに拍手を送るやけくそぶり。
ベロリゾンチのスタジアムで観戦していたブラジル人は、「ホラー映画を見ているようだった。子供たちが泣きじゃくり、女性が叫び、男性も頭を抱えて、誰もが信じられない恐ろしい事態を目の当たりにしてしまった」「どれだけ、ここではなく、家でTVを見ていたら良かったと思ったか・・・」とのこと。
ペルーのバーで観戦していた夫も「ペルー人に囲まれて応援されていたのに・・・恥ずかしくて、おかしくなりそうだった」と。
ここ数日で一番多く聞いた単語が「humiliado(恥をかかされた)」「vergonha(恥ずかしい)」で、負けるかもしれないと思っていたけど、ここまでとは・・・と落ち込んでいます。セレソンや監督への怒りではなく、悲しみでとても静かです。
ちなみにドイツ人の夫を持つブラジル人が舅、姑も一緒にドイツ人の中に1人で観戦していたので、様子伺いに電話したところ、ドイツ人夫が電話に出て「うわぁっははっは〜いやいや、悪いね〜」と鼻息荒いこと・・・そして「まあ今晩は家から出ないよー」と言っていました。が、あの晩、ドイツ人に立ち向かえる人はいなかった気もします。
で、昨日のアルゼンチン=オランダ戦。「まずは、(憎き)アルゼンチンを倒してもらって、更には、決勝でドイツを倒してもらおう!」と多くのブラジル人が、オランダに声援を送りました。
スタジアムでは、"Mil gols! Mil gols! Mil gols! Mil gols! Mil gols! Só o Pelé! Só o Pelé! Maradona cheirador!(1000ゴール!1000ゴール!ペレだけさ!マラドーナは(コカインを)吸う奴さ!)"という応援歌?がブラジル人により繰り返し歌われたそうです。
私は、今度はオランダ人と一緒にファミレスで(子連れなもんで)観戦しましたが、アルゼンチン人のテーブルが1つありまして・・・残念な結果で店を出る際、お店の姉さんが、「あのアルゼンチンの人たちにサーブするのイヤよぉ」と我々にぼやいていました。
そう、ホームでのW杯がアルゼンチンの優勝で終わるのは、ブラジル人にとって耐えられないことなのですよ。これだけ投資して、宿敵アルゼンチン人がブラジルでのワールドカップを制覇?!
今のブラジル人の合い言葉は、「ドイツを応援しよう!」です。あんなにオランダ人に敵を討ってもらう気でいましたが、いやいやいや、アルゼンチンを倒せるのは、ドイツしかいないと言うことで。
関連して注目を集めているのが、こちら、ドイツ代表のプロモーションビデオ。
バイーア州サントアンドレでのキャンプで、ドイツの選手がトレーニングに励むだけではなく、ブラジルを満喫している模様を撮っています。このキャンプ、ドイツの投資家が資金を出し、最高の環境に施設を建築。しかも道路まで通したものです。思いがけない恩恵を受けたこの地域の住民は、もちろん彼らを大歓迎。ビデオを見たブラジル人も「すばらしい。尊敬する。」「優勝に値する」とすっかりファンになっています。
ブラジル人スポーツマーケティング関係者は、「これぞすばらしいPR戦略」と絶賛。
フェリパンがプレス団に対して「おまえらくたばれ」的なコメントを発している一方、ドイツは、まずプレスに邪魔されない環境を整えた上で、「ブラジルを愛するフレンドリーで真摯なドイツ人選手」を上手にPR。W杯中盤には、多くのブラジル人が「ブラジルが優勝しなかったらドイツに優勝して欲しい」と言うようになっていました。
キャンプ地一つとっても、気候やロジはもちろん、PRまできちんと考えられたところに、ドイツのすごさがあるようです。
いやあ、週末、どうなるでしょうか。アルゼンチンが優勝したら、恐ろしいことになると、誰もが危惧しています。ああ怖い・・・