5月の「ヴェジャ・サンパウロ」誌の特集に、庶民ジーンズブランド、SAWARYの創始者、Miled El Khoury氏の話がありました。興味深かったのでご紹介しますね。
この商売について学んだ彼は、その後、独立。兄弟と共にブライス地区でファッションジーンズ店「サワリー」を創立。国産ジーンズと言えば、Zoomp、エルス、フォーラムといった高級ブランドが市場を独占していた80年代、90年代に、庶民向けのセクシーで流行に乗ったジーンズ(Brega-chique)の需要をつかみ、オープン最初の月から1000本のジーンズを売り上げたそうです。
サワリーの最大のヒット商品は、2008年の「ヒップアップ(levanta-bumbum)」の特殊縫製がほどこされたパンツ。こちらは、すごい人気(6年間でジーンズ250万本を商品化)で、特許を取得したものの、ブライスの他の店がみんなまねをしたそうです。
とはいえ、ヴェージャ誌のインタビューでは、自分たちも海外旅行に行けば、1500ドルのディーゼルのジーンズを買って、全く一緒な商品を自社工場で作ると明かしています。
そして、2012年の新作は、人気のポポズダや広告塔サブリナ・サトーのお尻&太ももを運動も整形もしないで手に入れたい女性のための、お尻にパッドが入ったタイプ。太もも版は、先月の新作だそうです。
そして、すっかり成功を手にした彼は、別のビジネスにも手を伸ばしています。1つが、ダンスクラブ「ディスコ(Disco)」もう1つは、和食レストラン「Tokyo Rose」。ただし、目的は、ネットワークを広げること。違うターゲット層にも、サワリーのジーンズをアピールする機会だととらえているそうです。
ヴェジャ誌がまとめた、毎月50万品売り上げるサワリーの成功の5つの理由を紹介します。
(1)Cクラスへの投資をしたこと
「(ブラジルの)お金持ちは、Iodice(ブラジルのトップブランドの1つ)だって着ないで、海外の高級ブランドを購入する。もう、アッパーミドルクラスだって、マイアミで買ってきた服の方がいいと思っている。私たちのターゲットは、1週間に1本パンツを買ったって買える」とコウリーさん。
(2)国内の需要にフォーカスしたこと
サワリーのヒット商品は、前述のヒップアップジーンズとパッド入りジーンズ。また、セルライト軽減効果のある(とうたう)パンツ、とブラジル人女性の美しいお尻、太ももに憧れる気持ちをとらえています。
(3)顧客のスタイルを知ること
ジーンズにスタッズは「いっぱい付ける!」コブラ柄は「あり!」派手な色は「もちろん!」と即答できるのが強み。顧客は、若くて、体のラインを見せるのが大好きで、流行に敏感な女性です。
(4)ブランドにマッチしたキャンペンガールの起用
初代は、エー・オ・チャンの元ダンサー、カーラ・ペレス。2008年からは、人気パーソナリティのサブリナ・サトーが広告塔をつとめているそうです。彼女の方が、幅広い層の女性にアピールする、とまだしばらくこの線でいく模様です。
ブライス地区の用品工場は、値段が安いことで知られていますが、ブランド名は全く知られることはありませんでした。その壁を乗り越えるため、コウリーさんは、サッカースタジアムでの広告を掲載。
・・・やっぱり、ほら、広告にお金、出さないと!正しい市場&ターゲットリサーチやんないと!成功には近づきにくいということですよ。