仕事が終わった。
こんな暑い最中、工場の中で更に輪をかけて
蒸し暑く体がグデーッとしている。
この会社で涼しいのはオフィスで働く連中だけ。
暑いから外へ出る。外へ出ればオフィスワーカーが
涼しい顔で働いている。
ムッカー!
とにかく午後7時までこの暑さに耐えなければならん。
ようやく7時になり家路に急ぐ。
車に乗り込み焦らず急いで家に向かう。
駐在時代から夏のヨーロッパ人の運転には気をつける
ように心がけている。
おいらはスピードをワザと落とす。そうすれば勝手に
彼等が追い越しをしてくれる。
あまりエアコンを付けないこの国の人達。
窓全開で車で走る癖があるようだが暑さで感覚が麻痺
しているのはよく分かる。
あっちフラフラこっちフラフラ。
ウィンカー出して右行ってみたり左行ってみたり若しくは
チカッチカッと付けっぱなし。
そんな車と遭遇してしまった今日の帰り道・・・。
車といえば日本の元会社で働いていた時にこんな先輩が
いたなーと帰りの車の中で思い出した。
おいらがRX-7を運転していた時にこの先輩が
「なんで赤なんて買うだー!ダッセーよ。俺だったら
赤なんてゼッテー買わねー!」
おいらの勝手やないけ!お前がローン組んで払ってる
訳やない!お前に色を決めてもらう必要もない!
なにこいとんねん!
そしてその1年後。
ヤツが新車を購入。ミツビシのジーティーオー。
グレートティーチャーオニヅカ、ね・・・。
当時はかなりの高級車。おいらが出費出来る範囲を
超えている品物。
彼は自分でローン組んで払っていると言っていたが
彼のおトンと仲の良い会社の上司に聞いた話では
おトンがほぼ出してたと言うことだった。
そんな彼の車の色は・・・。赤。
「やっぱスポーツカーは赤だよ赤!最初から決めてたし。
他の車の赤より俺の赤が一番かっこいい!」
と彼はいっていた。
キミの赤はどんな赤?
キミちょっと大丈夫?
「俺の車がこの会社の中で一番はえーし!お前の車と
勝負するか?ぜってー負けねー!」
と、おいらを含め多数の人に勝負を希望。
おいら達の答えは
「あのね、そんなの誰もが分かってる事なの。
ノーマル車で勝てる車やないでしょ。排気量も
馬力もおいら達の車と違うんだから。うちらの車では
勝てるわけないて。せやけどね、同じ車で勝負すれば
いい事やと思うんですよ。どう思います?」
彼は「それでもゼッテー負けねー!」
ほー、強気ですね。
そこで彼と同期のおいらの先輩が(約)300メートル
直線コースで勝負をした。
先輩の車はスープラ。よーいドン!
勝負はすぐついた。スープラの勝ち。
あっけなかった・・・。マジであっけなかった。
そんなもんだよね。
そして負けた彼がこういいました。
「今度は高速で勝負だ!ぜってー負けねーし。」
あのね、あんなとこで勝負したら捕まるでしょ。
制限速度もあるし。現実見なあかんで、素人勝負師。
目を覚ましなさい。
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