ビリッ!ビリビリビリッ!
「ハッハッハッハッハ〜」
紙を破りジムは笑いながらその場を立ち去った・・・。
今の会社。おいらの同僚、ジムはイオの事を嫌いらしい。
どの位嫌いかというと’大大大大大嫌い’だそうだ。
元々二人は仲がよかった。思い起こせば10年前の話だが
彼等と歳も近い仲間達が確か7人ぐらいいた。
茶の時間などいつも7人一緒だった。
が、月日が流れ1人、2人と会社を辞めていった。
スキルアップだ。
そして、ジムも会社を辞めその年代で残ったのはイオだけ。
時が経ち他の仕事に嫌気をさしたジムが再入社。
ジムは以前働いていた部署ではなくおいら達が働く部署へ
配属された。その中にはイオもいる。
最初のうちは良かったのだがドンドンと雲行きが
怪しくなってきたのはロッシという男がスーパーバイザー
なのだが彼の仕事が6ヶ月ほど忙しくなるということで
その6ヶ月うちらの部署を見ていられない。
代わりが欲しいという事で6ヶ月間誰にするか・・・。
最初はおいらの名前が浮かんだそうだが、ロッシや他の
マネージャー、従業員から前々から
「お前がマネージャーをしてくれ。」と言われていたが
そんなものに興味がないおいらは毎回断っていた。
それを良く知っているロッシは結局イオに願いを託した。
その願いがどうやら大きな引き金になっていった。
まだ若いイオがそんな大役オファーを断るわけがない。
期間は6ヶ月。信頼を掴めばずっと続けられる仕事だ!
と彼なりに思ったらしい。
「何でも聞いてくれ、俺が何でも解決する。」と言い出した
イオ。もちろん何も解決は出来ない。
彼の尻拭いはおいらが負担していた。
今までは自分がスーパーバイザー達の文句を言っていたイオ。
「あいつらは使えない!怠け者だ!」
いざ自分がなると周囲から同じ文句を言われていたイオ。
特にジムの愚痴はすごかった。
「良い奴だったのに。仕事もしなくなって大ボラも吹くように
なって、下手なマネッジメントして、うちらよりも若い癖
して、まともに動こうともしないで。あいつマジムカつく!」
イオもイオだがジムも裏表がある男だなと思ったのは
気のせいであろうか・・・。
ジムの工具箱を見るとなぜかイオの工具が入っていたり
パブにジムの仲間とイオを連れて行くとジムはイオに
「おい、スーパーバイザーおごれ!」といっては酒を
おごらしていたらしい。
6ヵ月後、イオはスーパーバイザーの仕事をGet出来ずに
元の仕事に戻った。もちろん周囲の猛反対もあり評価が
あまりよろしくなかった。
勤務態度が元に戻るかと思いきや一度甘い汁を吸うと
元に戻る事は中々難しいらしく、いまだにスーパーバイザー
気取りのところはある。
そんなところが益々気に入らないジム。
ピー、新人君、ジムが倉庫にいた。そしてジムがあるものを
見つけたらしい。それはロッシの工具箱においてあったイオの
休暇届。
いきなりそれを手に取り、ビリッビリッビリッ!と破きだし
ゴミ箱へ捨てた。
それを見ていた新人君。あまりの事に顔が引きつって驚いた。
そして、「ジム、頭おかしいよ。やばいよ。」とジムに
言うとジムは「ハッハッハッ〜。」と声高らかに笑いながら
その場から消えていった・・・。
とその話をピーと新人君から後で聞いたおいらだった・・・。
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