「コン、コン。」
ウェールズに場所を移してから2番目のフラットに
おいらはいた。
まるっきり休暇を取らなかったおいら。
ようやく取れたのは12月。1ヶ月のロングホリデー。
やっと休める。ホッとしたのも、つかの間。
休みの初日にまさかあの男がドアの前でに立ってるなんて
思ってもみなかった。
おいらはその当時ntlというTVチューナーを持っていた。
最高だった!英国での娯楽が増えた。
テレビ番組増えただけやけど。
だって、サッカー中継観れるし、プロレス観れるし。
ええわ〜!
その最高の瞬間を幸福の瞬間をたった一度のドアの
ノックで変えられてしもた。
ドアを開けるとそこにいたのはジョン。
会社のプロダクションマネージャー。
「頼む!今からすぐに会社に行ってくれ!
お前じゃなきゃ出来ない仕事なんだ〜〜〜!」
と、いっつもこの言葉をいうジョン。
おいらは「いつも同じ事ばかり言うけど、今回は何?
あっ、やっぱいいや何もいわへんで
誰も成型できないんでしょ。いいよ今から
行くけど。」
「ありがとう、見てくれよ俺の手を。こんなになるまで
やったんだよ〜。でも息子と娘を俺の親が見てくれて
いるんだけど、もう夜の7時だろ。迎えに行かなきゃ
いけなくてさ。」
と作業したぞ的に手を洗わずそのままの状態をおいらに
見せる為だけに来た几帳面なジョン。
ええって、そんなの見せへんで。手ぐらい洗ってきなさい。
そして彼の場合自分の分が悪くなると必ず子供達の事をだす。
ジョンが帰り、おいらは仕事支度をし、工場へ。
工場に着いたのは8時頃。
機械のまわりには2人のシフトエンジニアと1人の
スーパーバイザーがほぼギブアップ状態で立っていた。
結局、おいらはこの仕事を夜10時半に終わらせると
3人から「Thank you sir.」といわれ、Sirの称号を
この3人組から頂きました。
しかし、このジョンは結構おいらの休日を駄目に
させる男。
おいらのフラットに来る、おいらの携帯に電話しまくる。
結局、おいらがした行動は携帯買い替え。
休日中の居留守。
そして、一言。
「ええか!おいらに彼女が出来て、結婚して、子供が
出来たら絶対に休日出勤なんかせーへんからな!
フラットにも来るな!電話も掛けるな!」
そうジョンに宣言してから、かれこれ9年。
本当にそこから休日出勤は一切していない。
なんせ、おいらの家族が5人やからね。
ん?5人?
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