こんにちは。先日、面白い方のお話を聞く機会がありました。現代美術作家のゼザン(Zezao)さん。SP Arteの会場にも作品がかかり(写真)、欧米のギャラリーからも招聘されるなかなかホットなアーティストです。
なぜ彼に興味をもったかといいますと、Lost ArtというギャラリーのサイトのUnderground Grafitiという彼のプロジェクトが、えらい印象的だったからです。下水路にもぐって、青いグラフィティを描くのですが、なんでまたそんな場所で?と気になりまして。
で、コンタクトしたところ、やけに日本びいきで、忙しい中気軽に会ってくれました。
ゼザンさんは、サンパウロ生まれ、サンパウロ育ち。海外へ移住する気はないそうです。
若くして両親を相次いで亡くしたり、食べるにも困ったり、モトボーイ(バイク便)という職に対して差別されたり・・・と怒りと悲しみでいっぱいの彼は、仲間とパンクバンドを組んだり(ドラム)、スケートボードで遊んだり、落書き(Pixacao)ギャングの一員となったりしていたそうです。そんなある日「バスキア」の映画に出会います。バスキアの学校で学んだような技術はないものの、感情をそのまま描いたアートに感動。自分のスタイルを模索しようと、心置きなく絵を描ける廃墟を求めては、グラフィティを施すようになりました。ある日、仲間とふらふらしていて、地下水路への入り口を発見。一人で忍び込みます。暗闇の中で一人過ごし、自分の悲しみや将来について心置きなく考える時間を持ちます。「セラピーだった」そうです。そこで、攻撃的なアートではなく、人に癒しをもたらすようなものを作りたいと、「光」や「命」を想起させるような色、形を生み出して行きます。彼は、廃墟や地下水路に施した作品を写真に納め、ブログにアップ。2005年、TVクルーが下水のアートギャラリーを訪問、番組を放映。彼は一躍、新鋭アーティストと認識されるようになります。彼はその注目を、できるだけ見えない場所で、助けを必要としている人に向けたいと、ファベーラやクラコランディアのような場所で作品を制作。下水で暮らす人を、助け出すことにもつながりました。ファベーラのギャングや路上で暮らす麻薬常用者からヒップな海外のギャラリーや金持ちアートコレクターまで、誰とでも会うという彼(まあ、だから私とも会ったんですね)は、身軽で、愛に満ちておりました。すばらしい。産業廃水やらゴミやらゴキブリやらと共に、光のないところに1日中いるというので、偏屈な人かと思いましたが、まるで聖人・・・いや、女性遍歴の話なんかは、そうでもなかったんですが、まあでも、愛に満ちていることは確かです。犬10匹、猫10匹も一緒に暮らしていて、最近の趣味は庭いじりだとか。う〜ん、興味深いです。
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