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バツーケイプを目指して・・・

 
「なに、タイプーサムに出発するところを見たいのか、それなら5日の夜9時に来い」
そんなわけで行って見ました。
ここはチャイナタウンにあるヒンズー寺院です。
 
おお! そこには燦然と輝く山車が!イメージ 1
 
山車全体に装飾が施され、ライトアップ用の小さな電灯がたくさん取り付けられています。
台車には車輪が、そして近くにはトヨタのかなり古い牽引車両
 
どうやらこのトヨタのかなり古い牽引車両で牽引してヒンズー教の聖地バツーケイプを目指すもののようです。イメージ 3
 
そうです2月6、7、8日はヒンズー教のお祭りタイプーサム
マレーシア国内のヒンズー教徒はタイプーサムが行われる聖地バツーケイプを目指すのです。
イメージ 10
 
クアラルンプールの近在のヒンズー寺院からは徒歩で。
このチャイナタウンのヒンズー寺院からバツーケイプまでは約15kmと聞いています。
この距離をこの山車を守るように各地から集まったヒンズー教徒の大群衆が夜を徹して歩くのです。
 
おや、あの大鍋はなんでしょうか。
行ってみましょう。イメージ 14
 
おお!炊き出しです。
イメージ 12
 
大鍋の中のビーフン麺をこのようにして集まった大群衆に無料で配るのです。
「どこから来た?日本か、食べてくれ」
さっき晩御飯を食ったばかりなのですが、差し出された弁当につい手が出てしまいました。 
この手が、この手が悪い。
 
軽い自己嫌悪が・・・・
 
イメージ 13
 
食べている人を見たら美味そうだったのでつい食ってしまいました。
 
夜11時ごろ、寺院の内部からあのインド音楽独特の旋律が大音響で聞こえてきます。
 
何でしょうか!行ってみます。イメージ 28
 
寺院の内部に入るには靴も靴下も脱がなければなりません。イメージ 15
 
楽団の皆さんです。
第2チャルメラの団員は鼻の通りが悪いのか偶に鼻をほじくりながら演奏しています。
イメージ 2
 
私のような素人にもその演奏が素晴らしいものであることが分かります。
暫く聞き惚れてしまいました。イメージ 11
 
居並ぶ信者の皆さんの先には神様の像が。
 
イメージ 22
 
夜11時
だいぶ群衆が集まってきました。
 
ここで私は、昨年「夜中の12時に来い」と言われ、早めにと思って11時頃来てみたら人っ子一人いなかったという、どうなってんの的苦い経験を思いましました。
 
四十七士なら世紀の粗忽者として歴史に名を刻んだに違いありません。
イメージ 29
 
しかし、何時になったら出発するのだろう・・・・・
 
気が遠くなりかかけたその時! おおお! 突然の点灯!
 
夜12時燦然と輝く山車が夜空に浮かび上がりました。
待つこと3時間
そろそろ出発のようです。イメージ 30
 
手を合わせて拝む敬虔なヒンズー教信者の人々
 
う、動きだしました、動き出しました。
かすかにですが動いています。
群衆が周りを囲んでいます。
 
ドンドンピーヒャラと大音響ですイメージ 32
 
いったい何処から、何処から湧き出たかと思うほどの大群衆です。
イメージ 31
 
燦然と輝く山車はゆっくりと、ゆっくりと進んできます。
たったの300m程を進むのに約小一時間
 
このスピードで、このスピードで15km先のバツーケイプまで行くというのでしょうか。
「バツーケイプまでどれくらい時間がかかりますか?」
たまたま隣にいたおじさんに聞いてみました。
「バツーケイプに着くのは明日の朝6時ごろじゃよ」
 
イメージ 16
 
いや、そんなはずはない、この遅さで朝6時には着かないだろう。
少なくとも3日はかかるという勢いのなさです。
更にトヨタが故障でもしたら4、5日はかかると思われます。
 
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それとも途中でスピードアップするというのでしょうか。
 
山車はこのセブンイレブンの角を曲がりチャイナタウンを抜けていきます。
このセブンイレブンもこの日は大繁盛
店はこの群衆を見越して店内に万引きの監視員を多数配置して対応しています。イメージ 21
 
この辺りはまだチャイナタウンイメージ 26
 
屋台や安食堂は煌々と明りを点け営業中で、麺をすすったりビールを飲んだりして眺める中国系のテーブルの横を流れるようにインド系の群衆が通り過ぎて行きます。
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欧米からの観光客もびっくりの表情です。
 
イメージ 25
 
この間交通規制があるのかないのか、交差点では信号が赤でも群衆が進んでいくので通りすぎるのを待つ車の列もものすごいものがあります。
ドライバー何時終わるともしれない行列が通りすぎるのをじっと待ちます。
 
イメージ 23
 
おお! ペットボトルの水の配給です。
沿道にテントが張られペットボトルの水を配給しています。
 
可愛らしいおねいさんです。
目が会うとニコッと・・・
 
つい手が出てしまいました。 この手が、この手が悪い!
 
有難い、一本いただきます。イメージ 24
 
人々は黙々とただ黙々と歩みを続けています。
 
おおお!今度は食べ物を配っています。
「発泡スチロールのタッパに入ったビーフン麺です。
腹は空いていないのでここはスルーして通過
 
イメージ 4
 
やや、今度はカレーパフです。
小さなビニール袋に入ったカレーパフを配っています。
 
こ、これは、大好きなカレーパフはスルー出来ません。
 
油分が多いのが難点ですが美味しいカレーパフを食べながら歩きます。イメージ 5
 
「コ!ピ、コピ!」
今度は発泡スチロールのコップに入った熱いコピです。
コピはインド人が好む甘いコーヒー
一杯いただきます。
 
イメージ 6
 
既に2時間は歩いたでしょうか。
 
沿道のガソリンスタンドのトイレに女性の長蛇の列です。
女性はこんなとき大変なようです。
 
日本だとこんな大行事だと実行委員会が作られ、行政や関係団体地域との話し合いが持たれ、仮設トイレの設置や水や食料の配布、ゴミの問題が解決されると思うのですがここではどうなっているんでしょうか。イメージ 7
 
ここでは沿道のガソリンスタンドやKFCなどファーストフード店のトイレに超長蛇の列
足元をと見れば、前を通った人捨てたゴミが散乱しています。
 
その上を裸足の人達が歩いて行くのですから凄いというかなんというか。
 
イメージ 8
 
おお! 今度はチャーハンです。
インド人のチャーハンがビニール袋に入れられて配られています。
なんだ、食い物の話だけかとお思いの皆さん、夜延々と歩く人は皆無口で、、、とりたてて珍しいものに出会うわけでもなく・・・・
 
イメージ 9
 
「水、水をどうぞー」
小学2、3年くらいの男の子が目の前にやって来て水を差し出します。
「サンキュー」
思わず手を出してしまいました。
 
こちらの子供も、若いおねいさんも、どうも渡し方が上手です。
こちらの目を見てニコッとしたりして差し出すものですから受けとらないわけにはいかんのです。
 
イメージ 27
 
そんなわけで背中のリュックにはペットボトルの水が4本になってしまって重いのなんのって・・・イメージ 19
 
そうか端っこを歩くからいけないんだな、水の配給をやっている沿道じゃなく道の真中を歩けばいいんだ。
 
時刻は3時頃
「バツーカープまではあとどれくらい?」
沿道にいたカップルに聞きました」
「もうそんなに遠くないよ」
そうかそんなに遠くないのか。
 
小一時間も歩いたでしょうか。
「バツーケイプまであと何kmくらい?」
今度は具体的に聞いてみました。
「もうすぐだよ」
 
それから暫く歩いたでしょうか。
 
遠くに夜空を焦がすように明るいところが見えてきました。
あれが、あれがバツーケイプだ。
 
それからビュンビュン車が走る高速道路を無理やり車を止めて群衆とともに横断し、、、、
 
ああ、バツーケイプに到着しました。
チャイナタウンから4時間半の道のりでした。
 
到着間もないバツーケイプは既に来ていた群衆でいっぱいでした。イメージ 20
 
見るとあちこちのコンクリートの地面に新聞を広げて寝ている人がいっぱいです。
チャイナタウンからのみならずマレーシアのあちこちから歩いてきた人達なのでしょう。
夜中にスコールが来なければいいが・・・・
 
私も流石に疲れました。
少し眠いので、ペットボトルの水で顔を洗い、タオルを濡らして体を拭いて上のTシャツだけ着替えて寝るところを探します。
、とあるお堂のタイル貼りの床に大勢の人が寝ています。
 
その中にスペースを見つけてビニールを広げリュックを枕にして寝ました。
靴は持って行かれると困るので履いたまま。
ここは屋根があるのでラッキーです。
 
目が覚めたら時計は7時半
お堂の外は強烈な日差しです。
横になったらすぐに寝入ってしまったようです。
いやあ爆睡しました。
 
起きてリュックを背負うと・・・
「向こうにコピとご飯の配給所があるから行って食べて来るといいよ」
近くにいたおじさんが教えてくれたので行ってみました。
 
配給所の先には大きな文字でトイレ
ここの洗面所で顔を洗って、、、しまった、歯ブラシ忘れた。
 
まずはコピ
 
それを飲みながら歩いていると「こっちこっち」と手招きするおじさんが・・・行ってみるとビーフン麺の無料配給でした。
有り難くいただくことに・・・
「チャイニーズ?ジャパニーズ?」
「ジャパニーズです」
「ここまでどうやって来たの?」
「KLのチャイナタウンから歩いてきました」
「なにー、そうか、大変だったな」
 
今日は一日このバツーケイプにいることになります。
 
おわり

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