さて,いよいよ南極野外調査の紹介にたどり着きました.
イントロが長かったですが,実際に調査に行くまでの準備も長いのでご容赦,
改めて僕らの調査の特徴を列挙しますと,以下のような感じです.
・調査期間中(約100日間)は全てキャンプ,その間は風呂無し.
・ずっと氷点下(最低気温はー25℃ほど,最大風速は30m以上).
・食事はフリーズドライ(ほぼ宇宙食と同じ)を基本とし,ほぼ全てが乾燥食.
・スノーモービルで約3000 kmを走り,2000〜3000 mの山々に登る.
・基本的には電話もメールもテレビも無い(衛星通信環境あり).
これを見ての通り,なかなかハードな調査です.
そして,この調査の目的は「将来の南極・地球の環境変動を知ること」です.
もう少し詳しく書くと,ちょっと難しい表現かもしれませんが,
「大気中CO2濃度が高かった時代の南極氷床の形(体積)を地形学的な証拠から復元する.
そして,今後のCO2濃度上昇に伴う南極氷床変動の精密予測に寄与する」ことです.
まあ実際には,山々を歩いて氷河地形や氷河堆積物を探して,岩石をサンプリングするのが基本的な僕らの調査スタイルです.
と言う訳で,まずはスノーモービルで山の麓まで移動します.
積雪があるところは楽に移動できますが,青氷やサスツルギという雪面の場合は大変です.
でも天気が良ければこんなに素晴らしい景色が待っています.
光ってるところが青氷です.
更に登っていくと,こんなダイナミックな景色が待っています.
青氷の上を走る横線みたいなものは,クレバスです.
ここのクレバスは最大幅50cm程度なので,スノーモービルが落ちることは無いですが,
歩く時は用心が必要です.
さて,いよいよ山に取り付きます.
もちろん「登山道」は無いので,地形図と実際の景色から登山ルートを選びます.
山岳スペシャリスト隊員の腕の見せ所ですね.
ザイルを繋ぐほどの厳しいところは避けますが,それでも怖い箇所もあります.
続きます.
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