2022年7月12日
以前にも触れたように、アメリカの上位の大学は学力だけでは合否は決まりません。
エッセイ、高校時代の活動の様子(課外、ボランティア活動、スポーツなど含む)、推薦文も大切な要素です。
でも、これらは準備次第でまだなんとかなるものですよね。
プリンストン大学の美しい校舎
実は、準備や努力ではどうしようもない部分が、大なり小なり合否に影響を与えているのです。
今日は、そのあたりのお話をしたいと思います。
1)国籍
明らかに留学生の入学率を制限している大学もあるようですし、制限していないと言っている大学でも、2)の経済力とも関わるのですが、留学生(在米資格がないという意味)はアメリカ政府からの奨学金を得ることができないので、大学の選択肢がぐっと狭まります。奨学金なしでは入学が難しい場合は、留学生に対しても奨学金を大学として出してくれる大学にしかアプライできないのです。
2)経済力
「ニード・ブラインド」という大学があります。これは、合否の判断をする段階で、生徒が経済的サポートを必要としているかどうかを気にしない、という意味です。こういう良心的な大学ももちろんありますが、その前提となるのがアメリカ国籍を持っていること、という大学がほとんどです。留学生に対しても、「ニード・ブラインド」で対応しているのは、本当に一部の大学です。
逆に、経済的に余裕がある場合は、このハンデがなくなるため有利です。
3)人種
各大学は、多様性のある優秀な学生を迎え入れたいと思っています。そのため、もともと志願者が少ない人種的なマイノリティは、有利な属性として判断される場合があります。
残念ながら「アジア人」という属性は、優秀な中国系・インド系・韓国系の多くの学生と同じになってしまうので、有利にはならない属性だといえるでしょう。もちろん、地方のアジア人の少ない大学や、小規模の大学では、アジア人の中でも少ない日本人を積極的に迎えたい大学もあるようです。
4)出身校
アメリカの超一流大学に進学する学生は、たとえば東部の大学なら、東部の有名進学校の生徒というのが最も多い属性です。
そこで、多様性を大切にするトップ大学では、アメリカ人でもマイナーで小さな州の出身者だと優遇される傾向があるそうです。
他国からの志願者でも、アフリカなどの貧しい国や、小さな国の出身者が優遇されたりします。
これは私も実感する部分があります。娘はブラジルとベルギーのインターに通いましたが、どうみてもブラジルのインターの生徒たちのほうが、トップ校に進学している割合が高いからです。
また、出身校の進学実績も大きな影響があります。高校の教師やカウンセラーが推薦状を書きますが、進学実績がある高校のカウンセラーは、トップ大学の入試担当者とのコネクションがあったり、推薦状を書きなれているのです。また、生徒にどういうエッセイを書けばいいのか、どういう大学をいくつ受ければいいのか、などのアドバイスも適切にできるのです。
日本から進学を目指す場合も、一般的には進学実績がある高校の方が情報収集も含めて有利だと思いますが、逆に地方の高校からアプライすることで、希少性をアピールする方法もあると思います。
5)レガシー
レガシーというのは、受験生の親や祖父母、さらにはその父母の代からその大学に通っているという属性です。
最近は、あまり重視されないという話も聞きますが、同じようなレベルの成績、課外活動の実績、エッセイの内容であれば、レガシーがプラスに働く場合もあります。
レガシーのある学生が有利に働くのは、私立の場合、祖父母の代からの寄付金や大学へのサポートが得られるという大学側のメリットも大きいのです。
いかがでしたか?受験生自体にはどうしようもない属性が、合否に影響を与えるという現実。。。
もちろんそれを上回るような、成績やエッセイ、課外活動での活躍をアピールすれば合格は近づいてくるのですが、やはりこうした属性が影響するというのも事実だと思います。
でも、だからといってあきらめた方がいいというこでではなく、最善は尽くしたうえで、仮に希望する大学から合格をもらえなくても、力がなかったからというわけではなく、就活と同じで、縁がなかったんだな、と思えばいいのではないでしょうか?
来年夏の入学を考えている場合は、アプライに向けてエッセイの内容を考えたり、SATのスコアなどを固めておきたい時期ですね。努力が必ずしもそのまま報われるとは思えないアメリカの大学受験ですが、「こっちから大学を選ぶんだ。合格しなかったら、合わなかったんだ」ぐらいの気持ちで挑戦してみてはいかがでしょう? 応援しています!
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
海外赴任時に必要な予防接種や健康診断が可能な全国のクリニックを紹介しております。