今回は、夫が日本人で妻が外国人(逆でも問題ないのですが、イメージしやすいので)の場合で、ともに日本国外に居住しており、夫が国民年金の第2号被保険者の場合の外国人妻の国民年金の取り扱いについて、ぼくとぼくの家内の実体験をもとに説明したいと思います。
この記事を書こうと思ったきっかけは、国際結婚について記事を書こうと思い、関連するサイトを調べていたのですが、たまたま見かけたサイトで、第3号被保険者に該当する人が日本国外に居住する場合、国民年金に加入できないと明記されており、他の類似サイトを調べるとその多くでも同様な記述や、そのように読める表現をしている記事を多く見かけたからです。(実際はほとんど全てでした。)
それらの記事の前提条件が、日本人が日本に居て、来日した外国人と結婚して、その外国人が離日する場合になっているのですが、何れにしても誤解を招く恐れがあるので、微力ながら、この記事でぼくの家族の実例を示しながら、誤解を解消していきたいと思った次第です。また、話を分かりやすくするため、何々の配偶者等をするところを直感的に理解しやすいように「夫」、「妻」と言う言葉を使っています。合わせてご了承お願いします。
はじめに結論を申しますと、夫が日本の企業に勤める海外駐在員(第2号被保険者)で妻が日本国内で言うところの第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている配偶者で20歳以上、60歳未満の者、年間所得が130万円未満)であれば、妻が日本国内に居住していなくても国民年金に加入できます。その根拠は、ぼくの家内が一度も日本に居住したことがないのにかかわらず、国民年金に第3号被保険者として加入させていただいており、年金手帳も発行していただいているからです。
前置きが長くなってしまいましたので、専門用語の説明を含めて、大まかな日本の公的年金の仕組みを説明も交えて、上記の件、具体的に説明していきます。また、国際結婚や外国人の国民年金に関する諸先輩方が書かれたサイトについて、とやかく意見するつもりは一切ありません。ただただ、誤解により不利益を被る可能性のある方々に実例を踏まえた情報をお届けしたいだけです。
関係各位におかれましては、ご了解いただけますようお願いいたします。
よく言われることですが、日本の公的年金は2階建構造になっています。1階部分は20歳以上60歳未満の人が基本的に全員加入する国民年金、2階部分は会社員と公務員が加入する厚生年金です。以前は主に公務員の方々が加入していた共済年金がありましたが、最近(平成27年)に厚生年金と合併しています。また、以下の表の数値・金額は令和元年のものです。
pension_14上記の表にあるように、加入者は第1号被保険者(自営業者・学生等)、第2号被保険者(会社員・公務員等)、第3号被保険者(専業主婦等)に分類され、第1、第3被保険者は国民年金のみに、第2被保険者は国民年金と厚生年金に加入することになります。
また、国民年金で受給できるのは、老年基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金という3つの年金があり、それぞれ子宮内容や支給要件が異なります。一般に年金、特に老後の年金といった場合は基礎老年年金を言う場合がほとんどです。
日本国外に居住する第3号被保険者相当の外国人に対する対応 pension_02以前は、以下の条件の場合、妻は国民年金に加入できませんでした。(実際に、ぼくも家内の国民年金加入を会社を通じて申請し却下されました。)
しかし、2007年に発覚したい「年金記録問題」(社会保険庁の年金に関するデータ管理に不備が大量に見つかった問題)以降は、対応に変化が見られ、2010年から社会保険庁の業務を引き継いだ日本年金機構では、上記の条件でも妻の国民年金加入が認められています。(前述の通り、ぼくの家内は日本で居住した経験は全くありませんが、国民年金加入を再度申請し許可されました。)また、加入期間は本来加入している時期を起点(ぼくの場合は結婚した時)として加入期間を計算してくれています。
また、このような事実はあまり世間では知られていないようですね。
それでは、ぼくと同じように上記の条件に当てはまる方々でかつ、奥様が国民年金に加入されていない方々に対するぼくからのアドバイスは、「一刻も早く会社を通じて日本年金機構に奥様の国民年金申請を行いましょう。」です。
その理由は以下の通りです。
以上を要約すると、奥様が国民年金に加入されても、一円もコストは発生しません。また、現在の年金制度がそのままみなさんの受給開始時期まで維持された(そんなことはあり得ませんが、仮にそう想定します。)場合で、40年間加入したことになった場合、65歳から75歳まで国民年金を受給された場合、単純計算で総額約780万円の受給額になります。(ここから税金は引かれます。)
まとめ pension_05若いみなさんは年金なんてまだまだ先の事だと、あまり真剣に考えられていないかもしれません。また、そんなものをアテにせず、自分の力で生きていくんだと、思っておられるかもしれません。
だけど、よく考えてみてください。我々人間はいつかは死んで土に帰ります。配偶者よりも先に旅立つ確率はかなり高いのではないでしょうか。その場合でも、わずかではありますが、老年基礎年金の支給をいただければ、みなさんの奥様の生活費の足しになります。また、生存中に身体に障害を負ってしまった場合のために、障害基礎年金も準備されています。
また、外国人の配偶者が日本国内にいれば、公的年金への加入は基本的に義務になりますが、何かの都合で日本国外で居住する場合は、公的年金から脱退しなければならないように記述しているサイトが大半です。
ただ、ぼくの家内のようにもともと国外にいるものが加入できるのであれば、日本から国外に住居が移っても、継続的に加入できるように思うのですが、これに関しては実体験をしようがないので、なんとも言えません。情報お持ちの方は、ご連絡いただければ嬉しいです。
繰り返しになりますが、これまでの記事を読んで、心当たりのある方は、すぐにでも会社を通じて日本年金機構に問い合わせてみましょう。
それでは最後まで、お付き合いいただきありがとうございました。それでは、さようなら。