今月になってから私は良い猫ヘルパーと化した。
５月に無事２０歳を迎えた良い猫は、年の割りに元気だがそれでも少しずつ弱ってきている。体の筋肉はなくなり、骨の感触ばかりだ。（食欲だけは相変わらずだが。）
おわぁ、おわぁと鳴く声が家中に響き渡った。その声は知らない人が聞いたら、虐待されていると思われるんじゃないかなとハラハラするくらいだった。
悪い猫が病気になってからキャットドアも取り外したことで、良い猫も外へ自由に行くことができなくなった。それまで気の向く時に外に行き、太陽の暖かさ、風の気持ち良さ、木陰の涼しさ、雨の奏でる音楽を満喫していた良い猫は家の中をうろつくだけのかごの中の鳥（猫）になった。時々ソファの上に座り窓の外を見る良い猫はとても淋しそうに見えた。
６月までは学校が忙しく、おわぁ、おわぁに悩まされつつもあまり良い猫に気を留める余裕がなかったのだが、今月に入りその余裕が出てからあることに気がついた。
足元がずいぶんおぼつかなくなっている。(￣□￣；)
ウサオにそのことを告げると
今のところ特に病気はないようだけど、年が年だからね。多分今みたいに動けるのもそんなに長くはないだろう。本当に自分勝手だと思うけど、良い猫は眠ったまま楽になって欲しいと思っているんだ。悪い猫の時のような思いはもう二度としたくないよ。
と淋しそうに言った。ウサオは未だに最後に悪い猫が自分を見つめた時のまなざしが忘れられず、良い猫に同じことをしたくないそうだ。
それを聞いて、時間のある今できる限り良い猫と一緒にいることに決めた。認めたくはないが、良い猫と過ごせる時間は残り少なくなってきている。いつその時が来てもおかしくないのだ。それまで少しでも一緒に過ごして良い猫のことを覚えておきたい。
私は良い猫を外に連れて朝、昼、夕方と庭を散歩することにした。（人間だと車椅子を押して外出するような感じだろうか。）
最初は抱っこをして散歩していたが、やはり慣れ親しんだ庭を自分の足で歩きたいらしく、おろせとせがむので結局彼のテンポで自由に歩かせて、私は後からついていくようになった。良い猫の散歩の様子は去年までのような力強さはなく、筋肉がなくなり体が左右に少し揺れるのを見ると、本当に年を取ったことがわかる。
この１日３０分（朝、昼、夕方１０分ずつ）の散歩を良い猫はとても気に入ったようで、時間になると自分からドアの前に行ってスタンバイするようになった。ドアを開けるとさっと出て行きデッキで風や太陽を感じている。そしてその間私は良い猫を目の端に入れながら草むしりをし、良い猫が歩き出したらその後をついていく。
散歩を始めてから良い猫の様子が変わった。足取りも少ししっかりして、毛の艶も良くなってきたのだ。
よかったなあ・・・（‐＾▽＾‐）
と思っていたのもつかの間、昨日の朝キッチンに行くとウサオにデッキを見てごらんと言われた。言われるがまますると、デッキの上でくつろぐ良い猫がいた。自分で網戸を開けて出たらしい。網戸が少し開いたままなのをウサオが見つけてデッキを見るとそこに良い猫がいたそうだ。そして今朝、良い猫は気がつくと裏手にある公園の出入り口まで行っていた。
良い猫が悪い猫みたいになってきた・・・(＝◇＝;)
元気な頃悪い猫は網戸を開けていたし、裏手の公園への散歩も日課だった。だが良い猫は閉まっているドアを開けたり、公園に出かけることはなかった。半年近く閉じ込められた反動なのだろうか？
ウサオはこの事態をよく思っていない。私が一緒ならともかく、１人で出歩いて知らず知らずに道に出てしまい、そこに車が来ても耳が遠い良い猫にはわからないので轢かれる可能性もあるし、他の外猫と遭遇してけんかになりケガでもしたら、取り返しのつかないことにもなるからだ。網戸にしなければいいのだが、この時期は風通しが悪くなるのでついつい網戸にしてしまう。
カオルは今家にいるんだから、できるだけ良い猫の様子を見て勝手に外に行きそうになったら止めて。
なんだか徘徊老人みたいな扱いになってきたな・・・・と思う私である。
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