昭和５０年代の日本。
実家の近所で 正月や祝日に 日の丸を飾る家は
３軒に１軒ぐらい あったのではないだろうか。
出身は神戸で 洋風のお宅が多かったので
この数字は 当時としては 低い方かもしれないが
国旗掲揚は習慣として それなりに存在していたことを
子供心に覚えている。
しかし、 現代の東京都内で 祝日だからと
わざわざ 日の丸を掲げるような家は ない。
そんなことをしたら 「右翼か？」と思われるのがオチだ。
第一 都内の住宅事情では 旗を飾るような場所など ない。
だいたい 外玄関というものが 存在しない家が ほとんどなのだから
国旗を飾ろうとすれば 出入りに邪魔なだけである。
当然 我が家にも 国旗はない。
どこで 売っているのかも知らないし、
店で売っているのも 見たことがない。
サッカーのワールドカップの応援グッズとして 東急ハンズあたりで
小型のものが 売られているのをみたかもしれないが
普段行く スーパーでは お子様ランチ用の「国旗」ぐらいしか
見かけない。 店員にたずねれば どこかから出てくるのだろうか？
ところが アメリカでは この季節、
スーパーや雑貨店で 国旗が ”目玉商品”になる。
幅１５０センチの国旗が ＄１９．９９（約１６００円）というのは
高いのか 安いのか？
国旗だけでなく 国旗を飾るためのポールや
国旗をモチーフにした飾りなど さまざまな「愛国グッズ」が
わんさか並ぶ。 青、白、赤の商品が並ぶ光景は 実に華やかだ。
７月４日は アメリカの建国記念日。
この日は アメリカのほとんどの家で 国旗を飾る。
１枚だけではない。
家によっては 軒先に 星条旗を何枚も並べて
まるで 商店街のようにはためかせる。
（ 何枚も並べられるだけの大きさがあるのが うらやましいが ）
なかには 一年中 国旗を掲げている人もいる。
そういう人は 建国記念日に 旗を新調する。
南米出身の友人は 家の前庭に 学校にあるような
高さ５メートルぐらいのポールをたて 常に 星条旗を掲げていた。
出身国を捨て アメリカ人になる、
そんな決意の表れだったのかもしれない。
日本の学校では 入学式や卒業式のたびに
国旗の掲揚や それに対して起立するかどうかで 喧々諤々やっているが、
アメリカでは 学校中 いたるところに 国旗が飾られている。
小学校では 各教室に 必ず国旗が 飾ってあり
毎朝 クラス全員で 国家への忠誠を誓う言葉（pledge)を 唱える。
言いたくない人は言わなくてもいいが 一応 みんなで参加する。
毎日のことなので そんなに厳粛な雰囲気はないが
子供たちは みんな 校歌を歌うように 無邪気にやっている。
これを ’洗脳’と呼ぶのかもしれない。
アメリカ万歳、アメリカ一番、アメリカ最高・・・・
特に７月は どこもかしこも 国旗だらけ。
そこには 誰もが国旗を振り回し
「アメリカ大好き！」と叫べる カジュアルさがある。
・・・・と 外国人の我々が思うだけで
当のアメリカ人たちにとっては 国旗とは非常に厳粛なもので
現在も戦争中の彼らにとっては 特別な思いを抱く日でもある。
星条旗は 建国から現在にまで続く 自由への戦いの象徴。
だから 一部の駐妻のように スーパーで売っているからといって
アメリカ国旗を記念に買って帰り
日本でテーブルクロスになどしては 絶対にいけない。
どんな国旗にも その国の人々の熱い思いが込められている、
そんな常識を 是非 日本の人にも知っていただきたいと思う。
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