春山訓練の記事でも紹介しましたが,我々の南極調査ではかなり強力なテントを使います.
それは,僕らが昭和基地から遠く離れたセール・ロンダーネという山岳地帯で野外調査を行うからです.夏とは言え-25℃近くまで冷え,時には激しいブリザードにも襲われるセール・ロンダーネ山地で,約100日間の全調査期間をキャンプで過ごすというのは南極観測隊の中でも特別厳しいものです.
使用するテントは基本的にNorth Faceに特別に注文して作ってもらっているものです.
これは以前もご紹介した阿部幹雄さんツテで取り入れてきたものですが,年々改良が進んで耐久性が増し,使いやすいものへと進化しています.
さて,これが調査期間中に個人テントとして使うVE-25です.
本来は4人用らしいですが,約100日間ものキャンプ生活ですし,大量の調査道具や防寒具なども収納しなくていけないので,これを一人で一張りずつ使います.
パッと見て気づいた新たな変更点としては,VE-25については全室部分のポールを通す穴が丈夫な生地に変わった上に本体にキッチリ縫い込まれていて,とても良い感じです.
全てのVE-25テントを広げて状態をチェック.最良のものを選びます.
次にDome-5です.
これがセールロンダーネ山地調査のベースキャンプで中心的に使うテントです.
このテントでは食事と通信を中心にメンバーが集う場所として使います.5人用ですが天井も高くかなり居住性は良いです.現地ではこのテントに机やイスを入れて使う予定です.
その次がDome-8です.
これはDome-5を一回り大きくしたテントで,かなり巨大です.テントの中心で立っても天井に届きません.このテントは居住性が抜群なのですが,20m以上の強風が吹くと持ちこたえることが難しいので,基本的には環境が良いところでの使用のみとなる予定です.ほんとはこっちのテントの方がDome-5よりも快適で良いんですけどね.吹っ飛んでは元も子もないですから.
下の写真は,2009年(51次)の調査時のベースキャンプ風景です.
快晴の南極にキレイに並んだ(まだ)新品のDome-8とVE-25.格好いいですね.
でも,この後アドバンスキャンプでは激しいブリザードに襲われて大変な事になりました.
が,それはまた別の機会に紹介します.
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