当ブログ.相変わらず更新が滞っていますが,そろそろ南極調査準備も本格的にスタートし始めていますので,時間を見つけて細切れでも更新していきたいと思います.
先週のことですが,北アルプスの針ノ木岳雪渓で山岳登坂,レスキュー,および野営訓練を行いました.メンバーは昭和基地から遠く離れたセールロンダーネ山地という山岳地域で調査を行う5名の隊員候補です.今回はキャンプ道具も大量に持ち込み山中で野営の3泊4日の予定でしたが,大雨洪水警報が出るほどの豪雨で,結局野営は一泊のみとなりました.
さて,早朝立川の極地研に集合したメンバー(長野在住のメンバーを除く4名)は,大量の物資を積み込み長野へ出発しました.
しかし,現地に着いたものの当地は既にかなりひどい雨でした.山岳スペシャリストのメンバーの判断で,今日の入山は中止.大町市のクライミング施設で訓練を行うことにしました.それにしても立派な施設でした.お貸し頂きありがとうございました.
まずはロープワークの復習と,クレバス落下を想定した自己脱出シミュレーションです.
セールロンダーネ山地調査での最大の危険はクレバス(氷河上の割れ目)への落下です.この訓練は,クレバスに落ちたけれど体がなんとか無事で,自分で氷河上まで這い上がれることを想定しています.
ハーネスをしっかり装着して,上から吊ったロープに「グリグリ」と「アッセンダー」を装着して登ります.なれると結構スムーズに登れますが,最初はかなりしんどいです.
この次の日もやはり大雨で,入山はしたものの充分な訓練はできませんでした(そして凄い雨なので写真がありません).
結局,三日目になって天気がやや回復したので改めて扇沢駐車場より入山しました.
この日は天気が回復しそうなので野営を予定して入山しました.そのため山岳スペシャリストメンバーが大型テントや食料など凄い量の物資を担ぎ上げます.凄いです.
荷物を野営地点にあげた後,アイゼン,ヘルメット,ピッケルを装備して雪上歩行訓練です.
アイゼンとは登山靴の底に装着する爪の様なもので,急傾斜の雪面歩行を可能とします.が,慣れないとなかなかうまく歩けません.南極調査の前にしっかり練習を積んでおく必要があります.
さて,雪が充分残っている対岸に渡りますが,昨日は簡単に渡れたスノーブリッジが崩落しかけています.ロープを張って安全を確保して渡りますが,下はかなりの濁流.ちょっと怖いです.
そして,急斜面を上り下りしてアイゼン歩行のコツをつかみます.
次は,クレパスに落下した隊員を引き上げる訓練です.まず,ピッケルを埋めてしっかりとした支点を雪面上に三カ所作ります.そして.荷重を流動的に分散させるようにロープをセットします.
さっそくこの支点を利用して,クレパスに落ちたことを想定して這い上がってみます.クライミング施設と違って現場での這い上がりは更に大変です.そして,最後雪面にあがる部分でのアッセンダーの処理がとても難しく,重要なポイントです.
ようやく一日の訓練も終了して,いよいよ野営(キャンプ)です.
使用したテントはNorth FaceのDome-5とVE-25を一つずつ.これらは全て南極での使用を検討している装備品で,Dome-5はヒマラヤ登山隊などが良く使用するかなり凄いテントです.
食事は南極を想定して,フリーズドライを中心としたメニューにしました.フリーズドライと言っても厳選した食材をプロの調理人が料理したものですので,味は抜群です.
(このフリーズドライ食品は第51次南極観測隊に参加したときに作ったもので,同じセットが宇宙ステーションにも行ったというとても貴重なものです)
3泊4日の訓練も無事に終わりました.最終日になって初めての晴天.
ちょっと遅い!けど気持ちよく晴れて良かったです.
次は6月に立山での訓練を予定しています.次は晴れるかなあ
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