クライストチャーチ(カンタベリー)地震の続報.
大学は安全性チェックのため来週月曜日までの封鎖が決まり,市内中心部は立ち入り禁止が続いている.ただ,僕自身は安全も確保できたし,時間もある.
そこで,市内を出歩くのを控える代わりに,地震断層の観察に行くことにした.
地震断層については情報は,Institute of Geological and Nuclear Sciences (GNS)のWebサイトで公開されていた.
正確な位置情報が無いけれど,クライストチャーチから約40 kmで,震源の南西あたりに断層が現れているとのこと.この情報を基に,まず断層探査に出かけた.
クライストチャーチから震源に近い町のダーフィールドへ向かい,途中から南に進路をとって牧草地を走っていくと,簡単に断層を見つけることができた.
既に断層に破壊された道路の多くでは補修工事が始まっていたけれど,最も破壊が大きな部分はまだ手つかずで残されていた.
今回の地震の原因となった地震断層がハッキリと地表に現れている.
ずっと直線的に走っていた道路が,断層を境に3 mほど横にずれているのが分かる.
(写真奥の道路が手前に対して右側(北東側)にずれている.)
断層はほぼ北東−南西方向の右横ずれで,北西側が落ちている.
垂直方向のズレは,奥さんをスケールとすると約1.5 m.
(今度は断層の北西側に立ち,南西側を見ている)
断層上の道路は,大きな変位によって完全に破壊されていて,電柱も傾いている.
今回観察した断層は,根尾谷断層など日本の巨大地震に伴う断層より変位は小さいものの,想定していたより大きなものだった.
そして,断層の走向は,アルパイン断層にやや斜行しているものの,右横ずれの変位は基本的に太平洋プレートとインド・オーストラリアプレートの動きと整合的だった.
トランスフォーム断層であるアルパイン断層で消化しきれていない歪みが,カンタベリー平野側の地殻にもの溜まっていたのだろう.
ホスト教官のマークが,テレビで「今回の断層は恐らく初めて動いたものだ」と言っている.
が,地形面の年代から過去1万年程度は動いていない可能性が高いけれど,それ以前も動いていないという証拠は無い.従って,この発言はちょっと勇み足かな.
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