赴任前に知っておくべき医療情報



はじめに

海外への赴任が決まり、業務の引継や引越の段取りで頭が一杯で気がつくと出発がせまっている…。健康な方はそれでも構わないかもしれませんが、日本国内で治療を受けている方は、今後の治療継続をどのようにしたらよいか?医療費の支払いは?海外でどの病院を受診したらよいか?など心配は多いと思います。

健康な方でも、発展途上国に行く方は、もし急な病気やケガで医療機関を受診しなければならなくなった時、救急車をどのように呼べばよいか?熱帯地域特有の感染症に対する予防は?ワクチンはどのようなものを接種したらよいか?など知っておくべき情報は多く、また知らずに海外へ行くことは自らを危険にさらすようなことと言えます。

今回、海外で働く方々にとって必要な医療情報をあげ、その入手方法や対応について情報のアクセス先を紹介いたします。

知っておくべき法律や諸制度

最近、コンプライアンス(法令遵守)という言葉が新聞紙上などでたびたび登場しますが、業務で海外へ行く以上、守らな ければならない法律や知っておくべき諸制度があります。
法律
海外派遣労働者の健康診断に関する法律として労働安全衛生規則第四十五条の二があり、6ヶ月以上海外に派遣される方は、まずご自身が健診を受けているか、その結果がどうであったか確認しましょう。
もし異常があれば出発前に精密検査や治療を受け、万全な状態で出発していただきたいと思います。
労災特別加入制度
海外で労災が発生した場合、日本の法規が及ばないため充分な補償が受けられないこともあります。そのため海外派遣者が不利益を被らないような措置として、労働者災害補償保険法には海外派遣労働者特別加入制度が設けられています。(同法第27条7号、第30条)
この制度は任意加入制度であり、事業主が労働基準監督署に申請するもので必要があれば加入の有無を確認してください。但し、現地での就労形態が労働者でなく事業主となるような場合加入出来ないこともあります。
エイズ検査
海外で就労する際に外国人が長期就労ビザを取得する際、HIVの陰性証明が必要な国があります。現在、中国などでHIV陰性証明の提出が要求され、これらの検査結果により就労の可否が左右されることがあります。
いくつかの企業ではプライバシーに配慮し、HIV検査が陽性となった際の対応について事前に想定した対策をとっているところもありますが、心配な方は保健所で匿名で検査が可能なため事前に検査を受けていただくことをお勧めいたします。
医療保険
医療保険制度に関して日本のように皆保険制度をとっている国は少数であり、海外では先進国でも公的な保障を受けるのは高齢者や障害者のみで、多くの人は民間の保険会社と契約しています。保険に加入していても、契約内容により受診できる医療機関が限定されたり、治療内容に保険会社の許可が必要になることもあります。
また発展途上国では、健康保険制度自体がなかったり、あっても保険の範囲では満足な医療が受けられないため海外旅行保険に加入する場合が多いようです。
また注意しなければならないこととして海外旅行保険に加入していても、保険で担保されるのは海外で新規に生じた病気やけがであり、海外へ行く前の治療中の病気に関しては支払い対象でないことが普通です。持病を持って海外へ行かれる方は、事前に医療費の支払いに関し、派遣元とご相談されることをお勧めいたします。
緊急搬送サービス
発展途上国などでは、まだ十分な医療設備がないところもあ り、高度な医療が必要な場合、周辺の大都市の医療機関や先進国へ搬送しなければ ならないこともあります。
個別にこのような緊急搬送サービスを提供する企業と契約する場合もあれば、海外旅行保険の付帯サービスとして利用できるものもあり、医療過疎地域へ行かれる方はもしものためにどのような対策が必要か検討しておくことが大切です。
医療機関受診サービス
海外の医療機関を受診する場合は基本的に予約が必要であり、救急の際であってもデポジット(前金)を要求されたり、診察や検査、薬の受 け取り毎に支払いをしなければならないなど日本国内の医療システムと受診の方法や料金の支払いなど大きな違いがあり ます。
そのため海外旅行保険では日本語による医療アシスタンスサービスがあり提携病院などではキャッシュレスで受診可能なサービスなどを提供していますが、最近では特に中国などで日本語を話せる看護師などを配置し、信頼できる医療機関と契約して適切な医療が受けられるようにコーディネートする企業などもあります。

出発前に自ら準備すべき医療情報

海外、なかでも発展途上国で働く際に必 要となる保健医療情報としては、滞在先や 滞在期間にもよりますが、一般的に次の事項が挙げられます。

自らの健康情報(英文診断書)
持病のある方や高齢の方は、身体的・精神的に体調を崩しやすく、持病の悪化につながることもあります。その際、健診結果や国内での治療状況などを簡単に記載した英文診断書があれば、海外で医療機関を受診する際に有用な情報となります。出発前に主治医へお願いして作成いただくか、診断書の翻訳サービスを提供する機関へ依頼してください。
現地特有の疾病情報
発展途上国や熱帯地域では、日本国内にはない感染症が存在し、その予防には正しい知識と流行に関する情報が必要となります。また疾病予防に関し、ワクチンの接種やマラリアの予防内服に関する知識も必要になる場合もあります。(ワクチンの章で後述)
このような海外の疾病流行情報は、インターネットの普及により、より新しい情報が容易に入手出来るようになってきました。またe-mailを用いたメーリングリストに加入することで、海外の感染症情報が送られてくる仕組みもあります。
健康保持増進のために
最近、メタボリック症候群という言葉を見聞きすることも多いと思われますが、海外勤務に伴い、食生活の変化や飲酒量の増加、通勤手段が変わることで運動量が低下し、いわゆる生活習慣病を発病したり、病状が悪化することが懸念されます。現地の食材を工夫して摂る知識や安全を確保しながら運動不足にならないよう気をつけることも必要です。
現地の医療機関、医療制度などに関する情報
海外で日本人が利用する医療機関を 紹介したウェッブサイトは、現在のところあまり多くありません。国内で一般に公開されている代表的なものとして外務省医務官情報と(財)海外邦人医療基金や海外旅行保険会社の情報などが挙げられます。海外に長期駐在する方が体調を崩し、医療機関を受診する場合、以下の3つの方法が考えられます。
第一は、自分で見つけたり、現地邦人などから紹介された医療機関を受診する方法ですが、現地の医療機関の状況を理解していない方は出来る限りよく知っている方に付き添って頂くのが良いでしょう。
第二は、家庭医を予め決めておき受診する方法です。また必要ならば家庭医から専門医を紹介していただくことになります。欧米ではこの受診形態が一般的です。
第三は、海外旅行保険会社の日本語による医療アシスタンスサービスを利用し、提携病院の紹介を受ける方法です。赴任前に海外旅行保険に加入することにより、24時間相談できるサービスが提供され、保険会社の提携病院であれば、治療費などのキャッシュレスサービスを受けることも可能です。
けがや脳卒中、心筋梗塞など一刻を争う場合は、特に日本語サービスの有無などにこだわらず、信頼できる設備と人材を備えた医療施設情報を普段から入手しておき早急に対処することも大切です。

トラベルクリニック新横浜 院長 古賀 才博
Certificate in Travel HealthTM

参考となるウェブサイト

JAMSNET東京
医療、保健、福祉、教育、生活等の諸問題についての日本語での情報提供や個別相談の他、国内外におけるイベント開催等や関係団体間のネットワーク構築を行っている。
厚生労働省検疫所
海外渡航者のための感染症情報、国内の予防接種機関が検索可能。
外務省
渡航関連情報の中に在外公館医務官情報として世界の医療事情が国別に紹介されている。
国立感染症研究所・感染症情報センター
海外の感染症情報や国内の感染症サーベイランス情報が掲載されている。
日本渡航医学会
日本国内のトラベルクリニックが検索可能。
一般財団法人海外邦人医療基金
海外医療情報に会員以外でも閲覧可能な医療機関情報がある。
転勤妻
海外転勤に伴う予防接種、育児など様々な情報がある。
Group With
日本語でメンタルへルスに関する相談が出来る海外の医療機関情報がある。
World Health Organization
WHO のサイト。感染症情報や流行情報がある。
Center for Disease Control and Prevention
Travelers’ Health のページに旅行者向けの医療情報がある。
ProMED
メーリングリストに加入すると世界各地の感染症の最新情報が入手可能。
ISTM( 国際渡航医学会)
TRAVEL CLINIC DIRECTORY のページから海外のトラベルクリニックが検索可能。
Fit for Travel
国別の感染症流行情報、推奨ワクチン、現地の気候など様々な情報が入手できる。

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