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Dear留学生・シーシェパードについて。

こんにちは、コウダイです。

先日はものすごい火祭が野沢温泉で行われたり、来月には岩手でハダカ祭り。それだけじゃなく、日本中には、大小様々なお祭りや風習、伝統、行事が溢れています。歴史も長い日本の文化は、海外に行けば『日本って歴史の長さがすごい!』と実感することだと思います。

アメリカ・カナダは原住民、南米ならマヤ文明、オーストラリアはアボリジニと、彼らの歴史は古くとも、その後ヨーロッパから押し寄せた、いわゆる『欧米人』が作ったその国の歴史は浅いものです。

日本のように歴史の古い国と大きく異なるのは、『歴史がないがゆえに』、新しい国をスタートするにあたって、新しい事にチャレンジしたり、様々な失敗や成功を繰り返して、現在に至ります。

そしてその失敗と成功には、必ず宗教や伝統が関わってくるのです。

これから海外留学に出たら、竹島の領土問題や北方領土、他、イルカ・捕鯨問題について日本人代表として、直接質問を投げかけられる事があるかもしれません。いくつかのトピックに分けてまとめてみましたので、ご参考にして下さい。



▼太地町のイルカ漁について

先日、駐日アメリカ合衆国大使の、キャロライン・ケネディ氏が、和歌山県太地町のイルカ漁に対して、国際的な反捕鯨団体シーシェパードが実況映像やツイッターの約250匹ものイルカを湾に追い込む実況レポートに対して、『日本のイルカ漁』に対して“非人道的である”と批判されました。

クジラは唐揚げ等、酒の肴としても食べた事がある人はいると思いますが、現代では、一部地域やごく僅かな日本人しかイルカを食用として食べる習慣はないと思います。あまりに自分にとっては関係ない話に、『他人ごと』として、右から左にニュースも流れてしまうかもしれません。

しかし、国際的に報道されている事は、いくら他人ごとでも、『日本人のステレオタイプ』としてのレッテルが貼られます。スシやテンプラ、ワショク、オモテナシ等のポジティブなイメージなら良いですが、原発、放射能、地震、イルカ喰い等、欧米諸国からしたら、ネガティブなイメージで捉える人もいます。

それでは、なぜイルカを食用とする事が『ネガティブなイメージ』に繋がるのでしょうか?

▼日本と海外の変わった食習慣

多くの方が知っていると思いますが、日本はイルカやクジラ等の大型海洋哺乳類を食べる人種です。しかし、私達が普段当たり前に思っている事でも、海外の人から、『異常』に見える事が沢山あります。

けれども、日本人から見れば、『カンガルーを食べるオーストラリア人って変・・・。』と思う人もいるでしょうし、『犬を食べるなんて信じられない!』と韓国人に批判をする日本人もいると思います。

しかし、今回の問題に焦点があたっているのは、『食べる』という行為よりも、その『狩猟方法』にあります。イルカを食べる行為そのものにも、問題はありますが、数百匹のイルカを追い込み、時間をかけて衰弱させ、そして海の中で屠殺を行うという行為にスポットがあたり、大きな国際問題として発展しております。

海の生物とはいえ哺乳類であるイルカやくじらは、他の牛や羊、豚等と同じように、【屠殺場】で、人道的な手順によって、処理されていればココまで大きな問題には発展しなかったのかと思います。しかし、大量の出血を伴う屠殺処理を、海上でする事により、海が赤く染まります。その光景が、【イルカの公開処刑】として映ってしまっております。

通常、牛や豚、他の動物達の屠殺場は、公に公開される事はありませんし、放送禁止である場合がほとんどです。しかし、イルカ漁とイルカの屠殺に関しては、誰もが見える場所で行われているという事実が大きな問題です。

シーシェパードは様々な技術(時には犯罪まがいの)を用いて盗撮を続けているようですが、どんな方法であれ、国際社会に対しての証拠をおさえられ、議論にも負けてしまうようでしたら、日本側のツメが甘かったとしかいいようがないかもしれません。

▼欧米人はイルカを食べないのか?

そもそも、昔イギリス人は世界中に勢力を広げて、捕鯨文化を広めてきていた張本人でもあります。シーシェパードの本拠地のあるオーストラリアにも、捕鯨やイルカ漁の歴史が残っており、タスマニアにあるワイングラスベイと呼ばれるまさに太地町のような入江は、イルカ追い込み漁にもってこいの場所として、利用され、ワイングラス型をした湾は、イルカ漁の際には青い海が真っ赤に染まり、まるで本当のワインが入っているようだと揶揄されて、名付けられたそうです。今では観光名所となった当地には、闇の歴史と葬り去られ、その史実を知るのは地元の古い人達だけです。

しかし、魚と同じように考えていたイルカへの痛みを知らなかった彼らは、時代の流れとともに、その残虐性を理解し、人々に受け入れがたい行為として、イルカ漁・捕鯨文化を葬り去りました。

今では、日本の悪口を言うばかりの彼らの中に、自分たちの先祖がどれほどまでに残虐だったか知る人がどれくらいいるのか分かりませんが、過去の事は過去であり、時代の流れに合わせて伝統の形を変えていきました。

それでも、牛や豚を食べる習慣や伝統はなくす事はできていません。豚や牛を同じように殺す事は残虐であるともいえます。しかし、それは単なる多数派・少数派の問題だけで、例えば牛を食べる人口が圧倒的に少なく、世の中の人が牛を食べてはいけない『何かしらの理由』があれば、国際社会はその行為を非難するのかもしれません。

だとしたら、単純にマジョリティ(多数派)とマイノリティ(少数派)の問題なのでしょうか?

▼立ちふさがる、伝統という壁

アフリカ大陸には、多くの先住民族や王族が今も生活をしており、各部族の村には伝統が残っております。その伝統の中には、農作物を育てる際に、土を耕さす、小さな穴を掘っては種を植えるだけという伝統的な農業の形が残っていました。

しかし、この農業の形では、ものすごいスピードで進む、人口増加・温暖化や干ばつ・飢饉を繰り返し、砂漠化が広がるアフリカ大陸に食料危機をもたらします。

そこで、新たな農業の形として、作物が取れず、育たない乾季にも、土の下準備をするという画期的な農作業方法を生み出した人物がいました。先進国では当たり前すぎる事ですが、いくら画期的で効率的な方法でも、伝統を重んじる村の重役達はこれに反対し、ありとあらゆる方法で嫌がらせを続け、見事に育てあげる事に成功した森に火をつけられてしまったそうです。

どんなに良い事をしても、正しい事をしても、【伝統】とは時として見境なしに牙をむきます。

伝統とはとても大切なものですが、年月が経てば、色褪せるものあれば、形を変えるものもあります。世界には、伝統だから。。といって、【自分の奥さんを友達の旦那さんに一晩貸す】という習慣がある地域や民族もあります。

女性からしたら、【野蛮な】行為以外の何物でもありませんよね。イスラム社会の一部やインドでの女性蔑視、伝統とは一体何なのでしょうか?かつて信じられてきた伝統を、良い方向に活かす事は出来ないのでしょうか?

インターネット情報革命により、すべての情報はボーダーレスとなってきました。アラブの春やエジプトの革命、タイの反政府デモ等、インターネットの普及とともに、爆発的に情報が広がります。

古くからの伝統に虐げられてきた人達は、そのメッセージを世界にと発信するようになり、“悪しき伝統”から、救われる人々は増えてきています。

しかし、悪しき伝統。良き伝統。それは一体誰が決めるのでしょうか?

▼海外留学は言葉の勉強だけでなく、文化の勉強が重要

海外留学中には、日本好きな人にも出会う事がありますが、日本をどうも思っていない人、むしろ嫌いだと思っている人もいます。『日本人の何が嫌いなの?』と思うかもしれませんが、恐らく嫌いになるには、何かの理由があるのだと思います。

もしかしたら、『イルカが大好きな子』が、イルカを残虐に殺し、食べる日本人を見て、『野蛮な人種』と思って嫌いになったのかもしれません。

同じ理由で、愛犬家が、『犬を食べるなんて信じられない!』と韓国人を批判する人もいるかもしれません。人間というのは、単純なものでちょっと嫌な事があれば、それだけで、国全体を嫌いになってしまう事が多々あります。

でも、何故か『カンガルーを食べるオーストラリア人なんて野蛮だ!』なんて言う人はいないような気がします。

カンガルーなら良くて、イルカはダメ。といのは極端な例ですが、【日本の常識は世界の非常識】と言われる事もあります。今までの常識をくつがえすのは容易ではありませんが、国際社会の世論を知る事が、国際感覚を身につけるという事です。教科書どおりに英語が話せるだけが、コミュニケーションではありません。相手への思いやりを伝える事がコミュニケーションの力です。

“赤信号、みんなで渡れば怖くない”とも言われますが、『誰かがやっているから、私もやっていい』なんて事はありません。それでは、人格・道徳が疑われてしまいます。

▼そろそろ譲歩する時期なのか?

シーシェパードの代表は国際指名手配をされていて、まともな人ではないように見えます。しかし、活動が止まらない限り、根本的な部分が解決されなければ、問題提議は続く限りです。

国際的な視点を持ってみると、イルカ漁の存続はどこまで日本の未来の外交にとってメリットがある事なのでしょうか?ただし、漁師さん達にとっては、生活の糧であり、誇りでもあります。それを、単純に漁師さん達だけを批判するのは過ぎた事かと思います。

私自身も、オーストラリアで有機農業を営む家庭で農業ボランティアをしていた際、タイムリーでニュースが流れ『何故、日本人は捕鯨を辞めないのか?』と聞かれた事があります。環境保護を応援する、緑の党の支持者である彼女には、捕鯨に対しとても強い意見があり、日本人以上に日本の捕鯨事情や自然界、環境保護についての知識を持っておりました。腑に落ちない私は、ちょっとばかり反論をしてしまいましたが、結局、小さな溝を作ってしまっただけでした。

ただ分かった事は、『伝統』だけで済ませられる問題以上の、大きな“国際問題”に発展してしまっているという事です。

オノヨーコ(80)さんが言うように、日本の信頼は、我々の先輩方々、先駆者達が、築きあげてきたものです。戦後の日本の経済発展に見られる、日本国内の内需の力もさることながら、海外で築き上げた信用は、日系移民や海外で活躍する日本人の功績があってこそです。

伝統や文化を守る為、自分たちの生活を守る為に、私達の次の世代の未来に負担を与えてしまう事は本意ではないと思います。小さな問題として無視するのではなく(実際は深い根問題だと思いますが)、イルカ漁ではなくイルカの街として観光の招致をしたり、逆にシーシェパードを利用して、観光地として海外から多くの集客をして街を活性化させる等、できる事は沢山あると思います。せっかく注目をしてもらったのであれば、ネガティブなその力を一気に利用して、ポジティブなモノへと変える事もできるかもしれません。

以下、オノヨーコさんが投稿した記事、イルカ追い込み漁に対しての日本語全訳です。

http://goo.gl/HuuOYM

■国際人としての日本人。日本国内だけの日本人。もしかして、意識の差はかなり大きいのかもしれませんね。


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