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[NEWS]メキシコの危険情報【一部地域の危険レベル引き上げ等】(外務省 海外安全ホームページ)
2017年08月30日
●バハ・カリフォルニア州ティファナ市
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き上げ)
●ゲレロ州(タスコ市を除く),フアレス市,マタモロス市,レイノサ市及びヌエボ・ラレド市,ミチョアカン州(モレリア市,パツクアロ市,ラサロカルデナス市,アンガンゲオ市及びその周辺地域を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
●メキシコ州,オアハカ州,タバスコ州,ベラクルス州,モレロス州,メヒカリ市,エンセナダ市,ラパス市及びロスカボス
レベル1:十分注意してください。(新規)
●コリマ州及びタスコ市,タマウリパス州(マタモロス市,レイノサ市,ヌエボ・ラレド市を除く),チワワ市,マサトラン市,クリアカン市,クアウテモック市,イダルゴ市,タリスマン町,トレオン市,ゴメス・パラシオ市,レルド市,モレリア市,パツクアロ市,ラサロカルデナス市,アンガンゲオ市及びその周辺地域,メキシコ市クアウテモック区テピート地域,モンテレイ大都市圏及びその周辺地域
レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●全土で誘拐の脅威があります。狙われにくくするために行動パターンを変える等の対策を心がけてください。
●バハ・カリフォルニア州ティファナ市は,複数の犯罪組織の対立によるものとされる殺人件数が急増していることから,危険レベルを2に引き上げます。不要不急の渡航は止めてください。
●メキシコ州,オアハカ州,タバスコ州,ベラクルス州,モレロス州,メヒカリ市,エンセナダ市,ラパス市及びロスカボスは,殺人・誘拐事件の発生率が高く,また増加傾向にあるので,レベル1を新規発出します。渡航には十分注意してください。
1.概況
(1)メキシコにおいては,国内全域において殺人・誘拐・強盗等の凶悪犯罪が発生しています。夜間の単独行動を避け,陸路で長距離を移動する場合には,昼間・有料高速道路を利用し,不用意に州境の山岳部・農村部等で停車しない等の安全対策を取ることが非常に重要です。たとえ高速道路上であっても,夜間郊外に陸路で移動することは危険が伴います。州境の山間部等においては,深夜の時間帯を狙った強盗・誘拐等の犯罪も発生しています。また,メキシコでは,犯罪の多くは当局に通報されていないと見られており,メキシコ当局が発表した犯罪統計は,実態の一部しか反映していないおそれがあります。更に,2017年5月までの統計上の殺人件数は,過去最悪であった2011年を上回るペースで発生し,2018年の大統領選挙にかけて,国内全体の治安が更に悪化する恐れがあります。
(2)メキシコ全土で,組織的犯罪として誘拐が横行し,身代金を目的としたビジネスとして定着しています。また,個人が誘拐を実行するケースも増加しています。治安当局のデータによると,2015年に1,053件,2016年に1,128件の誘拐事件が発生していますが,未申告の件数を考慮すると上記件数はあくまで一部に過ぎません。
誘拐の被害者の大部分はメキシコ人ですが,中には外国人を狙ったものもあり,「金持ち」と認識されやすい日本人も標的となり得ます。
また,数日以上に及ぶ誘拐の他に「短時間誘拐(express kidnap)」(ATMで少額の現金を1日の限度額(およそ6,000ペソ)まで引き出させ,場合によっては,午前0時を待ってから再び現金を引き出させた後に解放する等)や,「偽装誘拐(virtual kidnap)」(実際は誘拐していないものの,誘拐を装って金銭を要求する)の被害もしばしば報告されています。
(3)これまでに,メキシコにおいて日本人・日本権益を直接標的としたテロ事件は確認されていませんが,近年,シリア,チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,英国,フランス,ドイツ,ベルギー,トルコ,インドネシア,フィリピン等,日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。
2.地域別情勢
(1)バハ・カリフォルニア州ティファナ市
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。
バハ・カリフォルニア州ティファナ市では,複数の犯罪組織の対立によるものとみられる多くの殺人事件が発生しています。窃盗・強盗等の犯罪も増加し,情勢は流動的です。
2016年は,殺人事件数が過去最も多く,2017年に入り,更に増加しています。
ついては,同市の危険レベルを「レベル2」に引き上げます。同地域への不要不急の渡航は止めて下さい。上記の情勢にもかかわらず,やむを得ない理由で渡航・滞在する場合には,報道等により最新の治安情報を入手しつつ特別な注意を払うとともに,十分な安全対策を講じてください。
(2)チワワ州フアレス市,タマウリパス州マタモロス市,レイノサ市及びヌエボ・ラレド市及びミチョアカン州(モレリア市,パツクアロ市ラサロカルデナス市,アンガンゲオ市及びその周辺地域を除く),ゲレロ州(タスコ市を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア チワワ州フアレス市では,連邦当局の治安対策及び犯罪組織間抗争の鎮静化等により,殺人被害者数が年々減少し,治安の改善がみられました。しかし,2016年は,前年比で増加に転じて悪化しました。この要因として,新たに犯罪組織間の抗争が発生していることによるものとの見方もあり,引き続き注意が必要です。
イ タマウリパス州は,犯罪組織の活動が顕著であり,また,メキシコ国内で最も多くの誘拐が発生している州の一つです。特に,米国と国境を接するマタモロス市,レイノサ市及びヌエボ・ラレド市では,犯罪組織による道路封鎖や強盗事件,殺人事件,治安当局への襲撃が頻繁に発生し,一般市民の巻き添えによる被害や治安当局関係者の犠牲者も出ています。2017年に入り,再びこれらの都市における犯罪組織と治安当局間等の抗争が激しくなっており,情勢は流動的です。
ウ ミチョアカン州では,2013年後半から犯罪組織間の抗争や,犯罪組織と治安当局との衝突事件が激化したため,2014年1月から連邦政府当局(軍及び連邦警察)が介入を開始しました。また,本来は各種武力衝突から身を守るために形成された「自警団」と呼ばれる武装集団が,幹線道路を封鎖し,一般市民に対する強盗・誘拐等の暴力行為を働いており,犯罪組織や自警団と治安当局による突発的な銃撃戦や道路封鎖に巻き込まれる可能性も十分考えられますので,主要な幹線道路を除き,陸路での移動は避けてください。
エ ゲレロ州アカプルコ市では,引き続き全国でも高い殺人件数に加え,2016年4月には,これまで安全とされてきた主要ホテル地区内で,襲撃者と当局間で数時間にわたる銃撃戦が発生し,市内約100校が休校となり,約3,000の商店等が一時閉鎖しました。また,州都チルパンシンゴ市等ゲレロ州の他の地域においても殺人事件が発生しており,ゲレロ州全体における殺人事件発生率は全国平均を大幅に上回り,増加傾向にあります。
山間部等では一般市民が武装し「自警団」が組織されるなど,情勢は流動的です。また,主要な観光地であるシワタネホ市でも,殺人発生率の急増を始めとした治安の悪化がみられ,安全が確保されているとは言えない状況が継続しています。
ついては,これら地域に対して出されている危険レベル2を継続しますので,同地域への不要不急の渡航は止めてください。上記の情勢にもかかわらず,やむを得ない理由で渡航・滞在する場合には,報道等により最新の治安情報を入手しつつ特別な注意を払うとともに,十分な安全対策を講じてください。
(3)メキシコ州,オアハカ州,モレロス州,タバスコ州,ベラクルス州,バハ・カリフォルニア州エンセナダ市,メヒカリ市,バハ・カリフォルニア・スル州ラパス市及びロスカボス
レベル1:十分注意してください。(新規)
ア メキシコ州は,首都であるメキシコ市とともに首都圏を構成する州であり,国内で最も人口の多い州です。このため,従来から犯罪件数が多い州の一つでしたが,特に,近年では誘拐事件の増加が報告されており,誘拐件数は,2016年において国内で最も多く,メキシコ国内における誘拐事件の約23%がメキシコ市で発生しています。また,州の南西側は,「ティエラ・カリエンテ」と呼ばれる,ミチョアカン州・ゲレロ州等の犯罪組織の活動が活発で,治安が不安定な地域です。
イ オアハカ州は,殺人・誘拐の増加をはじめ,近年治安が悪化しています。また,同州は,従来よりCNTE(教育労働者全国協議会)による抗議活動が活発な地域の一つであり,断続的に高速道路の封鎖等の活動を行っています。陸路で同州に赴く場合には,有料高速道路を使用するとともに,不用意に山間部に移動することを避け,夜間は都市部に留まることが重要です。
ウ モレロス州は,州都クエルナバカを含め,国内でも殺人・誘拐の多い地域の一つです。2014年から2015年にかけて,治安は一時改善していましたが,2015年以降は,誘拐・殺人事件が増加しており,2017年も改善はみられません。
エ タバスコ州は,国内でも誘拐のリスクが高い州の一つです。更に,近年殺人件数も急激に増加しており,過去3年間で2倍に増加しています。
オ ベラクルス州は,メキシコ州,メキシコ市に次いで国内で人口第3位の都市であり,従来より犯罪件数が多い地域の一つです。2016年以降同州を拠点としているとみられる犯罪組織間の抗争が激しくなっており,特に,一部の犯罪組織は,一般人をターゲットとした「身代金ビジネス」を展開しているとみられています。2017年においても増加傾向にあり,前州知事の汚職事件や連邦警察の州司令官が殺害される等,情勢は不安定です。
カ バハ・カリフォルニア州及びバハ・カリフォルニア・スル州は,犯罪組織の活動がみられ,近年,殺人事件数が急増している地域です。
バハ・カリフォルニア州エンセナダ市及びメヒカリ市は,ティファナ市とともに,同州の主要都市の一つです。これら3都市における殺人件数は,州全体の殺人件数のうち9割以上を占め,更に増加中です。
バハ・カリフォルニア・スル州ラパス市及びロスカボスにおける殺人件数は,州全体の殺人件数のうち9割以上を占め,特に,ロスカボスは,主要な観光地の一つですが,観光客が訪れる場所でも殺人事件が発生しています。
ついては,これらの市に対し「レベル1:十分注意してください」を新規に発出しますので,同地域への渡航・滞在にあたっては,状況に応じて適切な安全対策を講じるよう十分注意してください。
(4)タマウリパス州(マタモロス市,レイノサ市,ヌエボ・ラレド市を除く),チワワ州チワワ市,シナロア州マサトラン市及びクリアカン市,チアパス州クアウテモック市,イダルゴ市,タリスマン町,コアウイラ州トレオン市,ドゥランゴ州ゴメス・パラシオ市,レルド市,ミチョアカン州モレリア市,パツクアロ市,ラサロカルデナス市,アンガンゲオ市及びその周辺地域,メキシコ市クアウテモック区テピート地域,ヌエボ・レオン州モンテレイ大都市圏及び周辺地域,コリマ州及びゲレロ州タスコ市
(注 モンテレイ大都市圏:アポダカ市,ガルシア市,ヘネラル・エスコベード市,グアダルーペ市,フアレス市,モンテ レイ市,サンタ・カタリーナ市,サン・ニコラス・デ・ロス・ガルサ市,サン・ペドロ・ガルサ・ガルシア市の9市)
レベル1:十分注意してください。(継続)
ア タマウリパス州は,犯罪組織「湾岸カルテル」の本拠地であり,同組織と同組織から分離独立した麻薬組織「ロス・セタス」との抗争や,組織内部の抗争が頻繁に発生しています。 2012年12月に発足した現政権となってから,犯罪組織の首領等の逮捕や殺害が相次ぎましたが,抗争が沈静化する見通しは立っていません。同州の殺人件数は,2012年以降減少していましたが,2014年以降大きな改善はみられず,2016年は,前年比で増加傾向にあります。
イ チワワ市においては,2013年以降,治安の改善がみられましたが,2016年に入り,殺人件数が再び増加傾向にあり,引き続き注意する必要があります。
ウ シナロア州は犯罪組織「シナロア・カルテル」の本拠地であり,マサトラン市,クリアカン市において殺人事件が多く発生しています。州全体の治安状況は徐々に改善していますが,依然としてメキシコ国内における同州の殺人事件数は高い水準にあるため,注意する必要があります。
エ チアパス州は,1994年,先住民居住地域を主要拠点とし,「サパティスタ民族解放軍(EZLN)」と名乗る組織が,先住民(インディヘナ)の諸権利を主張して武装蜂起した場所であり,もともと治安情勢が不安定な地域です。これらゲリラ組織の活動は現在沈静化しており,政府を転覆させるだけの力や,テロ攻撃等を行う過激性はないものの, EZLNは引き続き一定の勢力を有しているものとみられます。
また,同州は,中南米諸国からメキシコ国内を通過する麻薬密輸ルートの拠点といわれています。特に,グアテマラと国境を接するクアウテモック市,イダルゴ市,タリスマン町及びその周辺地域は,不法入国者及び「マラス」と呼ばれる青少年凶悪犯罪集団等が出入りしているとみられており,渡航・滞在に当たっては,十分な注意が必要です。
オ コアウイラ州トレオン市,ドゥランゴ州ゴメス・パラシオ市及びレルド市を含む一帯では,2011年をピークに殺人被害者数が徐々に減少し,治安は改善しつつあります。しかし,これらの州においては,引き続き犯罪組織の活動がみられるなど,情勢は流動的であり,2017年に入り,誘拐・殺人等が再び増加傾向にあります。移動に際して日没後は避けるとともに,有料高速道路を利用するようにしてください。
カ ミチョアカン州都モレリア市,パツクアロ市及びそれらの周辺地域は,同州南西部と比較すると治安は比較的安定していますが,全国でも殺人・誘拐が多く発生している都市の一つであり,十分な注意が必要です。メキシコ市からハリスコ州グアダラハラ市等へ陸路で移動する際は,事前に道路情報を入手した上で,有料高速道路15号線を利用して日中に移動するとともに,不要な停車を避けるため,計画的な休憩及び給油をするようお勧めします。
キ ミチョアカン州の重要な港湾都市であるラサロカルデナス市は,2013年11月に軍隊が派遣されて以降,治安維持にあたってきましたが,目立った治安の改善はみられず,殺人件数は2013年以降増加傾向にあります。これらの事件は,太平洋側の主要な港湾の主導権をめぐる犯罪組織間の抗争によるもので一般人が狙われたものではないとみられているものの,抗争に巻き込まれないためにも十分注意する必要があります。
ク モルナカ蝶保護区で有名なミチョアカン州アンガンゲオ市及びその周辺地域は,特に蝶の飛来時期である11月から3月を中心に多くの観光客が訪れることから,治安機関による警戒が重点的に行われており,比較的危険性は低いと考えられますが,日中の移動を心掛け,犯罪被害に遭わないよう注意してください。
ケ 観光施設が多数所在するメキシコ市中心部のソカロ(憲法広場)に近接(ソカロの北東約500メートル)するクアウテモック区テピート地区及びその周辺は,メキシコ市内で最も犯罪の多い地域の一つとなっており, 麻薬の小売りに関するトラブルによる殺人事件やけん銃強盗等の凶悪事件が頻発しています。
また,麻薬・盗品等の路上売買が活発な地域であり,容易に禁制品を入手できるため,麻薬等を購入した邦人が身柄を拘束される事件も過去に発生していることから,不用意に立ち寄らないでください。
コ ヌエボ・レオン州モンテレイ大都市圏については,2011年に発足した新しい州警察「Fuerza Civil」の活動等,当局の治安対策により,治安の顕著な改善がみられました。しかし,2016年に入り,殺人,強盗ともに,犯罪件数が再び増加しており,2017年5月までの殺人件数は,過去5年間で最も高くなっています。また,ヌエボ・レオン州における恐喝被害は全国で最も多くなっているため,注意が必要です。
また,同地域から米国国境地域へと放射状に伸びる幹線道路及びタマウリパス州の国境沿いの幹線道路一帯においては,引き続き犯罪組織の活動がみられます。同地域への渡航・滞在については,状況に応じて適切な安全対策を講じるよう十分注意してください。
サ コリマ州は,かつてはメキシコ国内で最も安全な州の1つと言われていましたが,近年,治安の不安定さが顕著となっています。特に,2015年以降,急激に殺人件数が増加しており,これは,太平洋側のマンサニージョ港からの密輸ルートなどの権益を争い,複数の犯罪組織が活動していることによるとみられています。特に,テコマン市,マンサニージョ市,コリマ市等のコリマ州内の主要都市においては2016年の殺人率は非常に高くなっており,更に,強盗,窃盗等の件数も前年比で2倍以上の増加がみられるため,注意が必要です。
シ ゲレロ州北部の主要な観光地であるタスコ市は,殺人事件が増加しており,周辺にはイグアラ市等国内でも非常に殺人率の高い都市も所在しているため,情勢は流動的です。なお,タスコ市への移動は,危険を避けるためにも昼間に有料高速道路を利用するようにしてください。
ついては,これらの市に対し「レベル1:十分注意してください」を継続して発出しますので,同地域への渡航・滞在にあたっては,状況に応じて適切な安全対策を講じるよう十分注意してください。
3.滞在に当たっての注意
滞在中は上記情勢に加え,以下の事項に十分に注意して行動し,危険を避けるようにしてください。また,日本国外務省,在メキシコ日本国大使館,現地関係機関等より最新の情報を入手するようにしてください。
(1)渡航者全般向け注意事項
ア 強窃盗
メキシコにおいては日本人が被害者となる強窃盗事件が引き続き発生しています。被害防止のため,以下の点を心掛けてください。万一強盗に遭ったら,むやみに抵抗しないでください。
(詳細はホームページ,http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id/=264 を参照してください)
イ 誘拐
(ア)誘拐の例
・車でよく通るルートを走行中に道をふさがれ拳銃を突きつけられ誘拐される。
・ATMで現金を引き出した後,尾行され周囲に人が居なくなったところで誘拐される。
・流しのタクシーに乗車中に拳銃を突きつけられ誘拐される。
・自身で予約したタクシーと異なる車に乗り込んだところ誘拐される。
(イ)誘拐被害が全土で確認されるため,自らの身は自ら守る心構えを持ち,危険度に応じた対策(通勤時の安全対策,住居の警備強化,日常行動上の注意等の総合的な対策)をとることが重要です。他方,誘拐を装った「偽装誘拐」の被害を防止するため,事実の確認(生存確認)を必ず行ってください。(詳細はホームページ,
http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html を参照してください)。
ウ 公共交通機関
(ア)長距離バスにおいて就寝中の窃盗等が発生していることから,夜間の移動は極力避けるようお勧めします。個人でバスを利用する場合は,より安全性の高い一等バス(Primera Clase)を利用してください。
(イ)メキシコ市の地下鉄,バス(車体が赤色の専用レーンを走行する「メトロブス」含む)車内において,バッグやズボンのポケットに入れた財布や携帯電話等がスリに遭う被害が発生しています。貴重品の管理に細心の注意を払うとともに,バッグ等は体の前に持つなどしてください。
エ 撮影
先住民の村落地域において,写真・映像の撮影が禁止されていることがあります。撮影前に,訪問先の方に確認を取り,必ず訪問先の注意事項を厳守してください。また,単独よりもグループでの行動をお勧めします。
オ ハリケーン
メキシコ湾岸や太平洋岸においては,例年,6月から11月頃にハリケーンが接近します。この時期の滞在に当たっては,気象情報等に留意してください。
詳細については,下記の内容をよくお読みください。
引用元:外務省 海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2017T074.html
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き上げ)
●ゲレロ州(タスコ市を除く),フアレス市,マタモロス市,レイノサ市及びヌエボ・ラレド市,ミチョアカン州(モレリア市,パツクアロ市,ラサロカルデナス市,アンガンゲオ市及びその周辺地域を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
●メキシコ州,オアハカ州,タバスコ州,ベラクルス州,モレロス州,メヒカリ市,エンセナダ市,ラパス市及びロスカボス
レベル1:十分注意してください。(新規)
●コリマ州及びタスコ市,タマウリパス州(マタモロス市,レイノサ市,ヌエボ・ラレド市を除く),チワワ市,マサトラン市,クリアカン市,クアウテモック市,イダルゴ市,タリスマン町,トレオン市,ゴメス・パラシオ市,レルド市,モレリア市,パツクアロ市,ラサロカルデナス市,アンガンゲオ市及びその周辺地域,メキシコ市クアウテモック区テピート地域,モンテレイ大都市圏及びその周辺地域
レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●全土で誘拐の脅威があります。狙われにくくするために行動パターンを変える等の対策を心がけてください。
●バハ・カリフォルニア州ティファナ市は,複数の犯罪組織の対立によるものとされる殺人件数が急増していることから,危険レベルを2に引き上げます。不要不急の渡航は止めてください。
●メキシコ州,オアハカ州,タバスコ州,ベラクルス州,モレロス州,メヒカリ市,エンセナダ市,ラパス市及びロスカボスは,殺人・誘拐事件の発生率が高く,また増加傾向にあるので,レベル1を新規発出します。渡航には十分注意してください。
1.概況
(1)メキシコにおいては,国内全域において殺人・誘拐・強盗等の凶悪犯罪が発生しています。夜間の単独行動を避け,陸路で長距離を移動する場合には,昼間・有料高速道路を利用し,不用意に州境の山岳部・農村部等で停車しない等の安全対策を取ることが非常に重要です。たとえ高速道路上であっても,夜間郊外に陸路で移動することは危険が伴います。州境の山間部等においては,深夜の時間帯を狙った強盗・誘拐等の犯罪も発生しています。また,メキシコでは,犯罪の多くは当局に通報されていないと見られており,メキシコ当局が発表した犯罪統計は,実態の一部しか反映していないおそれがあります。更に,2017年5月までの統計上の殺人件数は,過去最悪であった2011年を上回るペースで発生し,2018年の大統領選挙にかけて,国内全体の治安が更に悪化する恐れがあります。
(2)メキシコ全土で,組織的犯罪として誘拐が横行し,身代金を目的としたビジネスとして定着しています。また,個人が誘拐を実行するケースも増加しています。治安当局のデータによると,2015年に1,053件,2016年に1,128件の誘拐事件が発生していますが,未申告の件数を考慮すると上記件数はあくまで一部に過ぎません。
誘拐の被害者の大部分はメキシコ人ですが,中には外国人を狙ったものもあり,「金持ち」と認識されやすい日本人も標的となり得ます。
また,数日以上に及ぶ誘拐の他に「短時間誘拐(express kidnap)」(ATMで少額の現金を1日の限度額(およそ6,000ペソ)まで引き出させ,場合によっては,午前0時を待ってから再び現金を引き出させた後に解放する等)や,「偽装誘拐(virtual kidnap)」(実際は誘拐していないものの,誘拐を装って金銭を要求する)の被害もしばしば報告されています。
(3)これまでに,メキシコにおいて日本人・日本権益を直接標的としたテロ事件は確認されていませんが,近年,シリア,チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,英国,フランス,ドイツ,ベルギー,トルコ,インドネシア,フィリピン等,日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。
2.地域別情勢
(1)バハ・カリフォルニア州ティファナ市
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。
バハ・カリフォルニア州ティファナ市では,複数の犯罪組織の対立によるものとみられる多くの殺人事件が発生しています。窃盗・強盗等の犯罪も増加し,情勢は流動的です。
2016年は,殺人事件数が過去最も多く,2017年に入り,更に増加しています。
ついては,同市の危険レベルを「レベル2」に引き上げます。同地域への不要不急の渡航は止めて下さい。上記の情勢にもかかわらず,やむを得ない理由で渡航・滞在する場合には,報道等により最新の治安情報を入手しつつ特別な注意を払うとともに,十分な安全対策を講じてください。
(2)チワワ州フアレス市,タマウリパス州マタモロス市,レイノサ市及びヌエボ・ラレド市及びミチョアカン州(モレリア市,パツクアロ市ラサロカルデナス市,アンガンゲオ市及びその周辺地域を除く),ゲレロ州(タスコ市を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア チワワ州フアレス市では,連邦当局の治安対策及び犯罪組織間抗争の鎮静化等により,殺人被害者数が年々減少し,治安の改善がみられました。しかし,2016年は,前年比で増加に転じて悪化しました。この要因として,新たに犯罪組織間の抗争が発生していることによるものとの見方もあり,引き続き注意が必要です。
イ タマウリパス州は,犯罪組織の活動が顕著であり,また,メキシコ国内で最も多くの誘拐が発生している州の一つです。特に,米国と国境を接するマタモロス市,レイノサ市及びヌエボ・ラレド市では,犯罪組織による道路封鎖や強盗事件,殺人事件,治安当局への襲撃が頻繁に発生し,一般市民の巻き添えによる被害や治安当局関係者の犠牲者も出ています。2017年に入り,再びこれらの都市における犯罪組織と治安当局間等の抗争が激しくなっており,情勢は流動的です。
ウ ミチョアカン州では,2013年後半から犯罪組織間の抗争や,犯罪組織と治安当局との衝突事件が激化したため,2014年1月から連邦政府当局(軍及び連邦警察)が介入を開始しました。また,本来は各種武力衝突から身を守るために形成された「自警団」と呼ばれる武装集団が,幹線道路を封鎖し,一般市民に対する強盗・誘拐等の暴力行為を働いており,犯罪組織や自警団と治安当局による突発的な銃撃戦や道路封鎖に巻き込まれる可能性も十分考えられますので,主要な幹線道路を除き,陸路での移動は避けてください。
エ ゲレロ州アカプルコ市では,引き続き全国でも高い殺人件数に加え,2016年4月には,これまで安全とされてきた主要ホテル地区内で,襲撃者と当局間で数時間にわたる銃撃戦が発生し,市内約100校が休校となり,約3,000の商店等が一時閉鎖しました。また,州都チルパンシンゴ市等ゲレロ州の他の地域においても殺人事件が発生しており,ゲレロ州全体における殺人事件発生率は全国平均を大幅に上回り,増加傾向にあります。
山間部等では一般市民が武装し「自警団」が組織されるなど,情勢は流動的です。また,主要な観光地であるシワタネホ市でも,殺人発生率の急増を始めとした治安の悪化がみられ,安全が確保されているとは言えない状況が継続しています。
ついては,これら地域に対して出されている危険レベル2を継続しますので,同地域への不要不急の渡航は止めてください。上記の情勢にもかかわらず,やむを得ない理由で渡航・滞在する場合には,報道等により最新の治安情報を入手しつつ特別な注意を払うとともに,十分な安全対策を講じてください。
(3)メキシコ州,オアハカ州,モレロス州,タバスコ州,ベラクルス州,バハ・カリフォルニア州エンセナダ市,メヒカリ市,バハ・カリフォルニア・スル州ラパス市及びロスカボス
レベル1:十分注意してください。(新規)
ア メキシコ州は,首都であるメキシコ市とともに首都圏を構成する州であり,国内で最も人口の多い州です。このため,従来から犯罪件数が多い州の一つでしたが,特に,近年では誘拐事件の増加が報告されており,誘拐件数は,2016年において国内で最も多く,メキシコ国内における誘拐事件の約23%がメキシコ市で発生しています。また,州の南西側は,「ティエラ・カリエンテ」と呼ばれる,ミチョアカン州・ゲレロ州等の犯罪組織の活動が活発で,治安が不安定な地域です。
イ オアハカ州は,殺人・誘拐の増加をはじめ,近年治安が悪化しています。また,同州は,従来よりCNTE(教育労働者全国協議会)による抗議活動が活発な地域の一つであり,断続的に高速道路の封鎖等の活動を行っています。陸路で同州に赴く場合には,有料高速道路を使用するとともに,不用意に山間部に移動することを避け,夜間は都市部に留まることが重要です。
ウ モレロス州は,州都クエルナバカを含め,国内でも殺人・誘拐の多い地域の一つです。2014年から2015年にかけて,治安は一時改善していましたが,2015年以降は,誘拐・殺人事件が増加しており,2017年も改善はみられません。
エ タバスコ州は,国内でも誘拐のリスクが高い州の一つです。更に,近年殺人件数も急激に増加しており,過去3年間で2倍に増加しています。
オ ベラクルス州は,メキシコ州,メキシコ市に次いで国内で人口第3位の都市であり,従来より犯罪件数が多い地域の一つです。2016年以降同州を拠点としているとみられる犯罪組織間の抗争が激しくなっており,特に,一部の犯罪組織は,一般人をターゲットとした「身代金ビジネス」を展開しているとみられています。2017年においても増加傾向にあり,前州知事の汚職事件や連邦警察の州司令官が殺害される等,情勢は不安定です。
カ バハ・カリフォルニア州及びバハ・カリフォルニア・スル州は,犯罪組織の活動がみられ,近年,殺人事件数が急増している地域です。
バハ・カリフォルニア州エンセナダ市及びメヒカリ市は,ティファナ市とともに,同州の主要都市の一つです。これら3都市における殺人件数は,州全体の殺人件数のうち9割以上を占め,更に増加中です。
バハ・カリフォルニア・スル州ラパス市及びロスカボスにおける殺人件数は,州全体の殺人件数のうち9割以上を占め,特に,ロスカボスは,主要な観光地の一つですが,観光客が訪れる場所でも殺人事件が発生しています。
ついては,これらの市に対し「レベル1:十分注意してください」を新規に発出しますので,同地域への渡航・滞在にあたっては,状況に応じて適切な安全対策を講じるよう十分注意してください。
(4)タマウリパス州(マタモロス市,レイノサ市,ヌエボ・ラレド市を除く),チワワ州チワワ市,シナロア州マサトラン市及びクリアカン市,チアパス州クアウテモック市,イダルゴ市,タリスマン町,コアウイラ州トレオン市,ドゥランゴ州ゴメス・パラシオ市,レルド市,ミチョアカン州モレリア市,パツクアロ市,ラサロカルデナス市,アンガンゲオ市及びその周辺地域,メキシコ市クアウテモック区テピート地域,ヌエボ・レオン州モンテレイ大都市圏及び周辺地域,コリマ州及びゲレロ州タスコ市
(注 モンテレイ大都市圏:アポダカ市,ガルシア市,ヘネラル・エスコベード市,グアダルーペ市,フアレス市,モンテ レイ市,サンタ・カタリーナ市,サン・ニコラス・デ・ロス・ガルサ市,サン・ペドロ・ガルサ・ガルシア市の9市)
レベル1:十分注意してください。(継続)
ア タマウリパス州は,犯罪組織「湾岸カルテル」の本拠地であり,同組織と同組織から分離独立した麻薬組織「ロス・セタス」との抗争や,組織内部の抗争が頻繁に発生しています。 2012年12月に発足した現政権となってから,犯罪組織の首領等の逮捕や殺害が相次ぎましたが,抗争が沈静化する見通しは立っていません。同州の殺人件数は,2012年以降減少していましたが,2014年以降大きな改善はみられず,2016年は,前年比で増加傾向にあります。
イ チワワ市においては,2013年以降,治安の改善がみられましたが,2016年に入り,殺人件数が再び増加傾向にあり,引き続き注意する必要があります。
ウ シナロア州は犯罪組織「シナロア・カルテル」の本拠地であり,マサトラン市,クリアカン市において殺人事件が多く発生しています。州全体の治安状況は徐々に改善していますが,依然としてメキシコ国内における同州の殺人事件数は高い水準にあるため,注意する必要があります。
エ チアパス州は,1994年,先住民居住地域を主要拠点とし,「サパティスタ民族解放軍(EZLN)」と名乗る組織が,先住民(インディヘナ)の諸権利を主張して武装蜂起した場所であり,もともと治安情勢が不安定な地域です。これらゲリラ組織の活動は現在沈静化しており,政府を転覆させるだけの力や,テロ攻撃等を行う過激性はないものの, EZLNは引き続き一定の勢力を有しているものとみられます。
また,同州は,中南米諸国からメキシコ国内を通過する麻薬密輸ルートの拠点といわれています。特に,グアテマラと国境を接するクアウテモック市,イダルゴ市,タリスマン町及びその周辺地域は,不法入国者及び「マラス」と呼ばれる青少年凶悪犯罪集団等が出入りしているとみられており,渡航・滞在に当たっては,十分な注意が必要です。
オ コアウイラ州トレオン市,ドゥランゴ州ゴメス・パラシオ市及びレルド市を含む一帯では,2011年をピークに殺人被害者数が徐々に減少し,治安は改善しつつあります。しかし,これらの州においては,引き続き犯罪組織の活動がみられるなど,情勢は流動的であり,2017年に入り,誘拐・殺人等が再び増加傾向にあります。移動に際して日没後は避けるとともに,有料高速道路を利用するようにしてください。
カ ミチョアカン州都モレリア市,パツクアロ市及びそれらの周辺地域は,同州南西部と比較すると治安は比較的安定していますが,全国でも殺人・誘拐が多く発生している都市の一つであり,十分な注意が必要です。メキシコ市からハリスコ州グアダラハラ市等へ陸路で移動する際は,事前に道路情報を入手した上で,有料高速道路15号線を利用して日中に移動するとともに,不要な停車を避けるため,計画的な休憩及び給油をするようお勧めします。
キ ミチョアカン州の重要な港湾都市であるラサロカルデナス市は,2013年11月に軍隊が派遣されて以降,治安維持にあたってきましたが,目立った治安の改善はみられず,殺人件数は2013年以降増加傾向にあります。これらの事件は,太平洋側の主要な港湾の主導権をめぐる犯罪組織間の抗争によるもので一般人が狙われたものではないとみられているものの,抗争に巻き込まれないためにも十分注意する必要があります。
ク モルナカ蝶保護区で有名なミチョアカン州アンガンゲオ市及びその周辺地域は,特に蝶の飛来時期である11月から3月を中心に多くの観光客が訪れることから,治安機関による警戒が重点的に行われており,比較的危険性は低いと考えられますが,日中の移動を心掛け,犯罪被害に遭わないよう注意してください。
ケ 観光施設が多数所在するメキシコ市中心部のソカロ(憲法広場)に近接(ソカロの北東約500メートル)するクアウテモック区テピート地区及びその周辺は,メキシコ市内で最も犯罪の多い地域の一つとなっており, 麻薬の小売りに関するトラブルによる殺人事件やけん銃強盗等の凶悪事件が頻発しています。
また,麻薬・盗品等の路上売買が活発な地域であり,容易に禁制品を入手できるため,麻薬等を購入した邦人が身柄を拘束される事件も過去に発生していることから,不用意に立ち寄らないでください。
コ ヌエボ・レオン州モンテレイ大都市圏については,2011年に発足した新しい州警察「Fuerza Civil」の活動等,当局の治安対策により,治安の顕著な改善がみられました。しかし,2016年に入り,殺人,強盗ともに,犯罪件数が再び増加しており,2017年5月までの殺人件数は,過去5年間で最も高くなっています。また,ヌエボ・レオン州における恐喝被害は全国で最も多くなっているため,注意が必要です。
また,同地域から米国国境地域へと放射状に伸びる幹線道路及びタマウリパス州の国境沿いの幹線道路一帯においては,引き続き犯罪組織の活動がみられます。同地域への渡航・滞在については,状況に応じて適切な安全対策を講じるよう十分注意してください。
サ コリマ州は,かつてはメキシコ国内で最も安全な州の1つと言われていましたが,近年,治安の不安定さが顕著となっています。特に,2015年以降,急激に殺人件数が増加しており,これは,太平洋側のマンサニージョ港からの密輸ルートなどの権益を争い,複数の犯罪組織が活動していることによるとみられています。特に,テコマン市,マンサニージョ市,コリマ市等のコリマ州内の主要都市においては2016年の殺人率は非常に高くなっており,更に,強盗,窃盗等の件数も前年比で2倍以上の増加がみられるため,注意が必要です。
シ ゲレロ州北部の主要な観光地であるタスコ市は,殺人事件が増加しており,周辺にはイグアラ市等国内でも非常に殺人率の高い都市も所在しているため,情勢は流動的です。なお,タスコ市への移動は,危険を避けるためにも昼間に有料高速道路を利用するようにしてください。
ついては,これらの市に対し「レベル1:十分注意してください」を継続して発出しますので,同地域への渡航・滞在にあたっては,状況に応じて適切な安全対策を講じるよう十分注意してください。
3.滞在に当たっての注意
滞在中は上記情勢に加え,以下の事項に十分に注意して行動し,危険を避けるようにしてください。また,日本国外務省,在メキシコ日本国大使館,現地関係機関等より最新の情報を入手するようにしてください。
(1)渡航者全般向け注意事項
ア 強窃盗
メキシコにおいては日本人が被害者となる強窃盗事件が引き続き発生しています。被害防止のため,以下の点を心掛けてください。万一強盗に遭ったら,むやみに抵抗しないでください。
(詳細はホームページ,http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id/=264 を参照してください)
イ 誘拐
(ア)誘拐の例
・車でよく通るルートを走行中に道をふさがれ拳銃を突きつけられ誘拐される。
・ATMで現金を引き出した後,尾行され周囲に人が居なくなったところで誘拐される。
・流しのタクシーに乗車中に拳銃を突きつけられ誘拐される。
・自身で予約したタクシーと異なる車に乗り込んだところ誘拐される。
(イ)誘拐被害が全土で確認されるため,自らの身は自ら守る心構えを持ち,危険度に応じた対策(通勤時の安全対策,住居の警備強化,日常行動上の注意等の総合的な対策)をとることが重要です。他方,誘拐を装った「偽装誘拐」の被害を防止するため,事実の確認(生存確認)を必ず行ってください。(詳細はホームページ,
http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html を参照してください)。
ウ 公共交通機関
(ア)長距離バスにおいて就寝中の窃盗等が発生していることから,夜間の移動は極力避けるようお勧めします。個人でバスを利用する場合は,より安全性の高い一等バス(Primera Clase)を利用してください。
(イ)メキシコ市の地下鉄,バス(車体が赤色の専用レーンを走行する「メトロブス」含む)車内において,バッグやズボンのポケットに入れた財布や携帯電話等がスリに遭う被害が発生しています。貴重品の管理に細心の注意を払うとともに,バッグ等は体の前に持つなどしてください。
エ 撮影
先住民の村落地域において,写真・映像の撮影が禁止されていることがあります。撮影前に,訪問先の方に確認を取り,必ず訪問先の注意事項を厳守してください。また,単独よりもグループでの行動をお勧めします。
オ ハリケーン
メキシコ湾岸や太平洋岸においては,例年,6月から11月頃にハリケーンが接近します。この時期の滞在に当たっては,気象情報等に留意してください。
詳細については,下記の内容をよくお読みください。
引用元:外務省 海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2017T074.html
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