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[NEWS]ベネズエラの海外安全情報(危険情報)の発出【危険レベル継続】(外務省 海外安全ホームページ)
2017年08月30日
●カラカス首都圏,ミランダ州,スリア州,カラボボ州,タチラ州,アラグア州,グアリコ州,アンソアテギ州,マイケティア(シモン・ボリバル)国際空港周辺地域及びコロンビアとの国境地帯
:レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
●上記以外の地域
:レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●ベネズエラは,殺人,強盗,誘拐等の凶悪犯罪の発生数が世界で最も高い国の一つです。
●カラカス首都圏,ミランダ州,スリア州,カラボボ州,タチラ州,アラグア州,グアリコ州,アンソアテギ州は,2017年4月からのデモ・抗議集会や略奪等が頻繁に発生しているので,これらの地域への不要不急の渡航は止めてください。
1.概況
(1)最近のベネズエラ治安情勢
ア ベネズエラでは,2017年3月末,ベネズエラ最高裁判所は国会議員の不逮捕特権を剥奪し,国会の機能を最高裁もしくは最高裁が命じた機関によって直接行使するとの判決を下しました。その直後,これらの判決は事実上取り消されましたが,野党側は,マドゥーロ政権の強権的な政策に反発して,全土において連日にわたり,デモ,抗議集会及び道路封鎖を繰り返しています。
7月30日に制憲議会議員選挙が実施された後も,デモ・抗議集会及び道路封鎖は発生しており,野党側も街頭における抗議活動を継続する方針を示していますので,十分に注意が必要です。
イ ベネズエラ紛争監視団によれば,2017年4月1日~8月2日の間,6,729件のデモや抗議活動が全土で発生し,野党支持者と治安機関との大規模な衝突も起きたことから,162名の死者,1,000名以上の負傷者,5,000名以上の逮捕者が出たとされています。
この結果,連日のデモ等による急激な治安悪化を受けて,一部の外交団は館員家族の退避措置を行うなど,警戒レベルを強めています。
また,日中深夜を問わず,市民が混乱に乗じて,店舗を襲撃したり,建物や車両に放火したりする事件が発生しています。
デモ及び抗議活動は,カラカス首都圏,ミランダ州,カラボボ州,タチラ州,メリダ州で特に活発に行われていますが,政府は,国家警察(PNB)の不足を補うため,国家警備軍(GNB)や国軍(FANB)を配備するなど治安機関を増強し,デモの鎮圧,検問及びパトロールを行っています。デモの鎮圧には,装甲車の配置,催涙弾の発射,放水車による放水が行われており,治安機関は抵抗した一般人を逮捕し,未成年者を含め軍事裁判にかけるという事態が起きています。
ウ 2017年7月30日には,チャカオ市アルタミラ広場付近にて,隊列を組んでバイクで走行中の国家警察が通過したところ,野党支持者によって路上に仕掛けられていた爆発物が爆発し,複数の警察官が負傷する事件が発生しました。
また,8月3日には,在ベネズエラ・スペイン大使館敷地内に,何者かが爆発物を投げ込む事件が発生しました。
さらに,8月6日には,武装した反乱グループがカラボボ州バレンシア市のパラマカイ国軍基地を襲撃し,戦闘に発展しました。FANBとの戦闘により反乱グループは鎮圧され,7名を拘束,2名が死亡,そのほか多数の負傷者が発生しました。
エ これらの治安悪化を受けて航空便にも影響が出ています。エールフランス,イベリア,アルゼンチン航空,TAP(ポルトガル)も,2017年7月30日の制憲議会議員選挙前後の運航を一時欠航するなど,出入国に影響が生じています。また,7月末に,アビアンカ航空及びデルタ航空が,不安定な情勢により安全性と保安面の確保が困難との理由から,運休を発表しました。これらを踏まえると,2014年以降,これまでに運休した航空会社は,エアカナダ,アリタリア,GOL,Tiara,ルフトハンザ,Latam,アエロメヒコ,ユナイテッド,アビアンカ及びデルタの10社となりました。
(2)現在のベネズエラは,世界で最も治安の悪い国の一つとされており,年に数回,日本人が強盗等の被害に遭っています。犯罪発生件数は年々増加しており,その中でも殺人(対前年比約13.7%増),自動車強盗(対前年比約33.5%増),誘拐(対前年比約26.9%増)の凶悪犯罪の増加が目立っています。政府はGNBを街頭に出動させ治安対策に当たらせるなどの対策をとっていますが,原油価格の下落・低迷による経済状況の急激な悪化の影響もあって,治安のさらなる悪化が懸念されています。また,2017年8月8日,マイケティア国際空港の国内線ターミナル内において,私怨による犯行と思われる発砲により死傷者が出ました。
(3)国内の凶悪事件の約20%がカラカス首都圏で発生しており,特にカラカス首都区(リベルタドール市)セントロ地区,サバナ・グランデ地区,パライソ地区,ラ・バンデラ地区,1月23日地区及びスクレ市ペタレ地区等の大規模な貧民街がある場所では,けん銃を使用した凶悪事件が発生しています。殺人事件の約80%がけん銃によるものとされており,極めて危険な状況です。
(4)誘拐事件については,ベネズエラでは誘拐された場合に,親族等が身代金を支払うことは違法となるほか,警察官が誘拐犯と共犯になっている場合が多いため,市民の多くは被害者の生命を優先して被害届を提出しません。そのため,2016年の誘拐事件は,統計上,406件が認知されているにすぎませんが,専門家の調査では,月平均250件発生しており,2016年は,3,000件以上の誘拐事件が発生したとされています。誘拐の手口も,これまでは,ATM等に被害者を連れて行き現金を強奪する短時間誘拐が主流でしたが,最近は,通貨価値が低下しているため,被害者を自宅まで連れて行き,貴金属や家電製品,携帯電話,自動車などを全て強奪する手口が増えています。また,身代金も米ドルしか要求しない場合がほとんどとなっています。
カラカス首都区(リベルタドール市)では外国人を狙った誘拐事件が発生しており,2012年1月,メキシコ大使夫妻に対する身代金目的の誘拐事件,また,2013年5月,EU代表部の外交官に対する強盗(誘拐未遂)事件の被害に遭っています。
(5)コロンビアとの国境地帯(スリア州,タチラ州,アプレ州,アマソナス州)では,ベネズエラの過激派組織であるボリバル解放戦線(FBL)及びこれらの組織から離脱した者を含む不特定多数の一般凶悪犯罪者グループ等のアジトや活動が確認されており,身代金目的の誘拐事件,麻薬関連犯罪が発生しています。
(6)これまでに,ベネズエラにおいて日本人・日本権益を直接標的としたテロ事件は確認されていませんが,近年,シリア,チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,英国,フランス,ドイツ,ベルギー,トルコ,インドネシア,フィリピン等,日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。
(7)中南米等におけるジカウィルス感染症の流行に伴い,ベネズエラには感染症危険情報を発出しています。詳細についてはこちら(http://www2.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/pcinfectioninfolist.asp?pageno=1 )を参照してください。
2.地域別情勢
(1)カラカス首都圏(カラカス首都区(リベルタドール市),スクレ市,チャカオ市,バルータ市,エル・アティージョ市),ミランダ州,スリア州,カラボボ州,タチラ州,アラグア州,グアリコ州,アンソアテギ州及びマイケティア(シモン・ボリバル)国際空港周辺地域,コロンビアとの国境地帯(スリア州,タチラ州,アプレ州,アマソナス州の一部)
:レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア カラカス首都圏内及び各地域では治安の悪化が顕著であり,従来比較的安全とされてきた地域においても夜間のみならず昼間でも,殺人,強盗,誘拐等の凶悪犯罪が発生しています。外国人も被害にあっていることから十分な注意が必要です。
4月以降,ベネズエラにおいて最も多くのデモ・抗議集会がカラカス首都区(リベルタドール市)で行われており,デモ隊と治安部隊との衝突が激しくなっています。治安部隊との衝突や略奪事件等に巻き込まれて死亡した人数もベネズエラの中で最も多いです。政府は,政府庁舎の集まるセントロ地区や大統領官邸のあるミラ・フローレスにはデモ隊の進入を絶対に阻止する構えを崩しておらず,今後も,デモ隊との衝突が今後も発生する可能性があります。
また,カラカス首都区には,セントロ地区,サバナ・グランデ地区,パライソ地区,ラ・バンデラ地区,1月23日地区等の貧困街が多く,夜間になるとデモの混乱に乗じて,付近住民や犯罪者集団が商店を襲ったり,建物,車両に火を付けたりして混乱を煽っているほか,ゴミをまき散らして道路を閉鎖するといった事態が絶えません。
大統領府周辺のカティア地区及び1月23日地区は,チャベス前大統領を崇拝する武装組織(コレクティーボ)の牙城とされており,同組織による自警団が結成されているため,国家警察等の治安機関は立ち入ることができない状態です。また,これらの地域では,強盗,誘拐が頻繁に発生しているほか,麻薬等の売買,コレクティーボ同士による銃撃戦が行われるため,カラカス首都区の中で最も治安の悪い地域となっています。
中小の露天商が多いサバナ・グランデ地区では,強盗,スリ,置き引き等の被害が発生しています。治安当局は,警察官の詰め所(テント)を設け,警察官を常駐させるなどして治安維持に当たっていますが,治安の改善は見られず,同地域をよく知る者の案内等なしに,一見して旅行者とわかる服装で同地域を観光することは,犯罪者の格好のターゲットとなり危険です。2016年1月には,ベネズエラ広場において日本人旅行者が強盗に遭い,財布や携帯電話等が奪われる事件も発生しています。
バンデラ地区には大型バスターミナルがあり,隣国のブラジル,コロンビア及びベネズエラ国内の観光地であるエンジェル・フォールの中継地シウダ・ボリーバル市へ向かう長距離バスが発着していますが,昼間は人通りがあるものの,夜間,特に午後8時以降はひと気が減るため,夜間の利用は危険です。このバスターミナルから主要地へ向かうバスは主に夜間から深夜に発着するので,これら長距離バスの利用は極力控え,航空機を利用することをお勧めします。
リベルタドール市では外国人を狙った誘拐事件が発生しており,2012年1月,メキシコ大使夫妻に対する身代金目的の誘拐事件,また,2013年5月,EU代表部の外交官に対する強盗(誘拐未遂)事件の被害に遭っています。
イ カラカス首都区に隣接するスクレ市ペタレ地区には,カラカス首都圏最大の貧民街(スラム街)が広がっており,殺人,強盗,誘拐等の凶悪事件が日常的に発生するなど大変危険な地域です。同地区は,警察でも数十人規模の部隊を編成しなければ,危険で立ち入れない場所で,また,ひったくり,置き引き,スリ等の犯罪件数も依然として高水準で推移しています。これらの犯罪の約60%は公道上で昼夜問わず発生しています。
ウ また,ペタレ地区以外のスクレ市においても,同様の犯罪が発生しています。2013年9月,高速道路上で日本人が強盗の被害に遭っているほか,2016年8月,在ベネズエラ・スペイン大使館の職員が私用車で走行中,車両強盗の被害に遭い,これに抵抗したことから発砲され負傷する事件も発生しています。
エ チャカオ市(多数の邦人の居住区,日本国大使館所在地)は,以前は比較的安全な地域とされていましたが,近年急激に治安が悪化し,日本人を含む外国人等が毎月1件以上のペースで凶悪犯罪の被害に遭っています。2013年1月及び5月には,日本人が路上強盗事件の被害に遭った他,同年7月,けん銃使用による自動車強盗事件,2014年9月,日系企業の防弾車2台に対する自動車強盗事件,2015年1月,日系企業の駐在員に対するけん銃使用による強盗・一時拘束事件,2015年8月,在ベネズエラ日本国大使館が入居するビルにおける発砲事件,2016年1月及び12月,日本国大使館付近における路上強盗事件等,多くの凶悪犯罪が発生しています。また,野党側による抗議デモが頻繁に行われ,これに治安当局が対峙していることから,注意が必要です。
オ バルータ市においては,繁華街やゴルフ場がありますが,誘拐事件や強盗事件が発生しています。2013年5月,フランス大使館外交官に対する強盗事件,2014年6月,ホテル敷地内においてドイツ人旅行者に対する強盗殺人事件,2016年6月,ジョギング中のロシア大使館の外交官に対する誘拐事件が発生しました。
カ 観光客がよく訪れるエル・アティージョ市は,夜間の交通量が少なく閑散としており,誘拐事件が発生する傾向にあります。ジョギング中の国家警備軍大佐が誘拐され身代金を奪われ殺害された事件,けん銃で武装した強盗集団による連続強盗事件,市の中心部にあるショッピングセンターでの殺人事件や銃撃戦,また,2013年5月,パラグアイ人外交官夫人に対するけん銃使用強盗致傷事件等が発生しています。
キ ミランダ州,スリア州,カラボボ州,タチラ州,アラグア州,グアリコ州,アンソアテギ州は,今年も一段と治安が悪化しており注意が必要です。これらの州は,2017年4月からのデモ・抗議集会の件数もベネズエラの中で上位を占めており,多くの死傷者,逮捕者が出ているほか,殺人,誘拐,強盗事件等の犯罪多発地域であり,回復の兆しは見えていません。また,本年4月頃から食料不足が顕著になり,日用品や食料品の入手が困難になったほか,スーパーや飲食店が閉店しました。インターネットも繋がりにくくなるなど,市民生活に深刻な影響を与えています。市民の不満はこれまでになく高まっており,小さな衝突が大きな暴動へと発展しているケースが見られます。
ク ミランダ州(カラカス首都圏を除く)は,ベネズエラの中で最も危険な州となっています。殺人,強盗,誘拐,窃盗事件の発生率は,ベネズエラの中で常に第1位を占めているほか,サモラ市やアセベド市では,ここ数年一般犯罪が増加し治安が悪化しています。また,カラカス首都圏とベネズエラ東部を結ぶ国道9号線では,夜間,警察官を装った者が走行中の車両を停車させ,強盗,殺人,誘拐事件等の犯罪が発生しています。抗議活動や略奪事件も頻繁に発生しており,GNBが出動する事態となっています。
ケ スリア州では,昨年からマラカイボ市を中心にデモ・抗議活動や略奪事件が頻繁に発生しています。今年も学生によるデモ・抗議活動が活発に行われており,2017年5月に催涙弾を浴びて動けなくなった怪我人を救出しようとしていた大学生が,GNBの装甲車にひき殺される事件が発生して以降,学生と治安部隊との対立が激化しています。
コ カラボボ州バレンシアでは,2017年5月に大規模な略奪事件が発生し,中国人経営の約60の商店を中心に襲われ,食料品,日用品等が強奪されました。これに対し,治安部隊は,特殊部隊等も投入して治安の回復に努めましたが,略奪事件は収まらず,コレクティーボ等の犯罪者集団が略奪に加わったこともあり,治安の回復の兆しが見えていない状況です。
サ タチラ州サン・クリストバル市において,2017年5月に大規模な略奪事件が発生し,27店舗が襲われました。この略奪事件に際し,買物に出かけていた15歳の少年がGNBに誤って殺害される事件も発生しています。
シ ベネズエラの玄関口であるマイケティア国際空港でも犯罪が発生しています。たとえトランジット内であっても,置き引き等の窃盗事件が発生しており,特に到着の便で混み合う午前中に発生しています。
2015年10月,日系企業の出張者が,同空港の駐車場において,軍服を着て小銃を所持した軍人と思われる男2人組から,けん銃で威嚇され現金を恐喝されました。
空港を行き来する高速道路では,強制的に車両を停止させて金品を強奪する事件や誘拐事件が発生しています。このため,同空港の早朝及び深夜発着便の利用は極力避け,日中に発着する便を利用するようお勧めします。
ス コロンビアとの国境地帯における2016年の誘拐事件は9件(全国の発生件数406件)で,減少傾向にあるものの,誘拐事件の多くは被害届が提出されないため,表に出ない誘拐事件が発生しているとされています。ベネズエラ当局から「ゲリラ組織」と位置付けられているコロンビア革命軍(FARC)及びボリバル解放戦線(FBL)は,スリア州,タチラ州,アプレ州の山中にもアジトを形成し活動しており,その主な活動は,嘱託殺人,誘拐,麻薬,食料品密輸です。ゲリラとしての活動自体は,最近は衰えていると言われているものの,ゲリラの方針に従わない末端グループやゲリラの手口を模倣した一般犯罪者グループによる誘拐も発生しています。以前は,誘拐事件の多くが国境周辺の牧場主,農場主または実業家及びそれらの家族等の裕福な階層を標的としていましたが,最近は,学生,商人,その他専門職従事者等も標的とされるようになってきました。ベネズエラは,コロンビアで生産された麻薬(コカイン)を北米やヨーロッパ市場へ密輸するための通過国となっており,コロンビアとの国境地域においては,しばしば大量の麻薬が押収されています。また,ベネズエラの現下の情勢から,コロンビアに脱出するベネズエラ人も少なくありません。
こうした状況を踏まえ,コロンビアとの国境地帯への渡航・滞在については,真に必要な渡航・滞在を除き控えてください。万一渡航・滞在される場合も,最新の治安情報の入手に努め,民間警備会社による警備等十分な安全対策を講じてください。
つきましては,これらの地域への不要不急の渡航は止めてください。上記の情勢にもかかわらず,やむを得ない理由で渡航・滞在する場合には,報道等により最新の情報を入手するよう努めるとともに,必要に応じて警備員をつけるなどの十分な安全対策を講じてください。
(2)その他の地域
:「レベル1:十分注意してください。」(継続)
ベネズエラ国内の一般犯罪,抗議活動は増加傾向にあり,上述のレベル2以外の地域も例外ではありません。多くの犯罪で銃器が使用されており,また,一般犯罪のみならず,殺人,強盗,誘拐等の凶悪犯罪の発生数も高い水準にあるので,特に注意が必要です。現職警察官,元警察官が関与した犯罪も報告されています。また,ホテル等の防犯対策が手薄である場合が多いので,その利用にあたっては防犯対策が十分であるかどうかも含め,留意して宿泊する必要があります。
ブラジル,ガイアナ両国との国境付近においては,誘拐,麻薬取引,麻薬密売に関連した犯罪に巻き込まれる危険性があります。ヌエバ・エスパルタ州マルガリータ島は,カリブ海のリゾート地で比較的治安の良いところとされてきましたが,経済の悪化により物資不足が加速し,停電や断水が頻発しているほか,外国人旅行者が殺人や強盗事件の被害に巻き込まれることが増えています。また,ベネズエラの現下の情勢から,ブラジルに脱出するベネズエラ人が増えています。
渡航・滞在される場合には,最新の情報の入手に努めるなど十分に注意してください。
3.滞在に当たっての注意
滞在中は,以下の事項に十分留意して行動し,危険を避けるようにしてください。また報道,日本大使館及び現地関係機関等から最新の情報を入手するよう努めてください。なお,犯罪の手口及び安全対策の詳細については,安全対策基礎データ(http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=260 )を参照してください。
(1)渡航者全般向けの注意事項
ア 危険を察知した場合(交通事故,火災,救急,災害を含む)には,電話番号「911」(警察署・消防署)に通報してください。
イ 殺人事件等凶悪犯罪の発生している「ランチョ」と呼ばれる低所得者層の居住地区(主に山の斜面,川沿いに所在し,煉瓦造りの住宅が密集している地域)にはいかなる理由があっても絶対に近寄らないでください。
ウ iPhone等のスマートフォンを狙ったけん銃使用強盗事件が増えています。万一,強盗事件に遭遇した場合には,犯人はけん銃を所持している恐れがあるので,身の安全を第一に考え,絶対に抵抗しないでください。また,財布を取り出そうとして慌ててポケットに手を入れると,けん銃等を取り出そうとしていると犯人に勘違いされ,発砲され可能性が高まるので,犯人を刺激するような行動やしぐさは絶対にしないでください。
エ 日本人も被害に遭う短時間誘拐事件(被害者を一時的に拘束し,クレジットカード或いはキャッシュカードなどで現金を引き出させ,現金を手に入れた後に解放する犯罪)が発生しているので,特に夜間の単独での外出は控え,キャッシュカードやクレジットカードを必要時以外は持ち歩かないなど,十分留意してください。また,カラカス首都圏内やマイケティア国際空港周辺の高速道路上でも,武装集団による短時間誘拐,強盗事件が発生しています。空港付近を通行する場合はくれぐれも周囲の状況に注意してください。
オ 誘拐事件の被害を防ぐため,「目立たない」,「用心を怠らない」,「行動を予知されない」の3原則を守ってください(なお,海外における誘拐対策についての詳細は,ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html を参照してください。)。
カ 爆弾事件に巻き込まれないために,不審物及びゴミ集積所には近づかないでください。また,パイプやペットボトル等にガムテープ,リード線,電池,時計,導火線等が付いていたら注意し,車両に乗り込む際は車両の下部等周辺に不審物がないか確認するなど安全確保に注意を払うように心掛けてください(詳細はホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_03.html を参照してください。)。
キ デモや集会が行われている場所では,反政府勢力や治安部隊との対立に巻き込まれる可能性があるので,近づかないようにしてください。
ク ベネズエラの関係当局が随時発表する主要な政治日程のほか,以下の各記念日,祝日等には,大規模なデモ行進や集会等が開催される可能性がありますので,こうした日程にも留意しつつ,不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
○ 1月23日(ペレス・ヒメネス独裁政権崩壊)
○ 2月 4日(1992年のクーデター未遂記念日)
○ 2月12日(青年の日)
○ 2月27日(1989年のカラカス暴動記念日)
○ 3月 5日(2013年チャベス大統領死去)
○ 4月11日(2002年の政変)
○ 4月19日(独立宣言記念日)
○ 5月 1日(メーデー)
○ 6月24日(カラボボ戦勝記念日)
○ 7月 5日(独立記念日)
○ 7月24日(シモン・ボリバル生誕記念日)
○10月12日(先住民抵抗の日)
○12月 8日(チャベス大統領に忠誠を誓う日)
○12月17日(シモン・ボリバルの命日)等
ケ 観光地や各検問所等で現職警察官や軍人が言いがかりをつけて,現金を要求するなどの犯罪が発生しているので,容易に近づいたり,信用しないでください。
(2)短期滞在者向けの注意事項
ア タクシーやバイクタクシーの運転手によるけん銃等の銃器を使用した強盗事件が発生しています。やむを得ずタクシーを利用しなければならない場合は,流しのタクシーを絶対に避け,無線タクシー(正規タクシー)を利用してください。また,バイクタクシーは,犯罪や交通事故に遭う確率がかなり高いので,絶対に利用しないでください。
マイケティア国際空港など各空港でタクシー運転手による強盗事件も発生しているので,できる限り知人に迎えに来てもらうなどの方法を検討してください。
イ ベネズエラへの旅行に際し,黄熱の予防接種は不要ですが,熱帯雨林等の黄熱に感染する危険のある地域を訪れる場合は,10日以上前に黄熱の予防接種を受けることをお勧めします。
(3)長期滞在者向けの注意事項
ア 路線バスの車内や地下鉄駅構内(特にエスカレーター付近)での強盗,スリ事件が多発しています。また,最近は走行中の地下鉄車内において強盗事件が続発しているので,やむを得ない場合以外は利用しないでください。
イ 全犯罪事件の約60%が公道上で発生しています。車両を運転する際は,窓を閉め,ドアをロックして,後方や周囲の状況に絶えず注意してください。また,買い物や食事等をする際には,警備員の常駐している駐車場を利用するようにしてください。
(4)在留届,たびレジの登録
海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は,在ベネズエラ日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet )
3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時に在ベネズエラ日本国大使館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )
4.隣国のコロンビア,ブラジル,ガイアナについてもそれぞれ「危険情報」が発出されていますので,併せて確認してください。
詳細については,下記の内容をよくお読みください。
引用元:外務省 海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2017T073.html
:レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
●上記以外の地域
:レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●ベネズエラは,殺人,強盗,誘拐等の凶悪犯罪の発生数が世界で最も高い国の一つです。
●カラカス首都圏,ミランダ州,スリア州,カラボボ州,タチラ州,アラグア州,グアリコ州,アンソアテギ州は,2017年4月からのデモ・抗議集会や略奪等が頻繁に発生しているので,これらの地域への不要不急の渡航は止めてください。
1.概況
(1)最近のベネズエラ治安情勢
ア ベネズエラでは,2017年3月末,ベネズエラ最高裁判所は国会議員の不逮捕特権を剥奪し,国会の機能を最高裁もしくは最高裁が命じた機関によって直接行使するとの判決を下しました。その直後,これらの判決は事実上取り消されましたが,野党側は,マドゥーロ政権の強権的な政策に反発して,全土において連日にわたり,デモ,抗議集会及び道路封鎖を繰り返しています。
7月30日に制憲議会議員選挙が実施された後も,デモ・抗議集会及び道路封鎖は発生しており,野党側も街頭における抗議活動を継続する方針を示していますので,十分に注意が必要です。
イ ベネズエラ紛争監視団によれば,2017年4月1日~8月2日の間,6,729件のデモや抗議活動が全土で発生し,野党支持者と治安機関との大規模な衝突も起きたことから,162名の死者,1,000名以上の負傷者,5,000名以上の逮捕者が出たとされています。
この結果,連日のデモ等による急激な治安悪化を受けて,一部の外交団は館員家族の退避措置を行うなど,警戒レベルを強めています。
また,日中深夜を問わず,市民が混乱に乗じて,店舗を襲撃したり,建物や車両に放火したりする事件が発生しています。
デモ及び抗議活動は,カラカス首都圏,ミランダ州,カラボボ州,タチラ州,メリダ州で特に活発に行われていますが,政府は,国家警察(PNB)の不足を補うため,国家警備軍(GNB)や国軍(FANB)を配備するなど治安機関を増強し,デモの鎮圧,検問及びパトロールを行っています。デモの鎮圧には,装甲車の配置,催涙弾の発射,放水車による放水が行われており,治安機関は抵抗した一般人を逮捕し,未成年者を含め軍事裁判にかけるという事態が起きています。
ウ 2017年7月30日には,チャカオ市アルタミラ広場付近にて,隊列を組んでバイクで走行中の国家警察が通過したところ,野党支持者によって路上に仕掛けられていた爆発物が爆発し,複数の警察官が負傷する事件が発生しました。
また,8月3日には,在ベネズエラ・スペイン大使館敷地内に,何者かが爆発物を投げ込む事件が発生しました。
さらに,8月6日には,武装した反乱グループがカラボボ州バレンシア市のパラマカイ国軍基地を襲撃し,戦闘に発展しました。FANBとの戦闘により反乱グループは鎮圧され,7名を拘束,2名が死亡,そのほか多数の負傷者が発生しました。
エ これらの治安悪化を受けて航空便にも影響が出ています。エールフランス,イベリア,アルゼンチン航空,TAP(ポルトガル)も,2017年7月30日の制憲議会議員選挙前後の運航を一時欠航するなど,出入国に影響が生じています。また,7月末に,アビアンカ航空及びデルタ航空が,不安定な情勢により安全性と保安面の確保が困難との理由から,運休を発表しました。これらを踏まえると,2014年以降,これまでに運休した航空会社は,エアカナダ,アリタリア,GOL,Tiara,ルフトハンザ,Latam,アエロメヒコ,ユナイテッド,アビアンカ及びデルタの10社となりました。
(2)現在のベネズエラは,世界で最も治安の悪い国の一つとされており,年に数回,日本人が強盗等の被害に遭っています。犯罪発生件数は年々増加しており,その中でも殺人(対前年比約13.7%増),自動車強盗(対前年比約33.5%増),誘拐(対前年比約26.9%増)の凶悪犯罪の増加が目立っています。政府はGNBを街頭に出動させ治安対策に当たらせるなどの対策をとっていますが,原油価格の下落・低迷による経済状況の急激な悪化の影響もあって,治安のさらなる悪化が懸念されています。また,2017年8月8日,マイケティア国際空港の国内線ターミナル内において,私怨による犯行と思われる発砲により死傷者が出ました。
(3)国内の凶悪事件の約20%がカラカス首都圏で発生しており,特にカラカス首都区(リベルタドール市)セントロ地区,サバナ・グランデ地区,パライソ地区,ラ・バンデラ地区,1月23日地区及びスクレ市ペタレ地区等の大規模な貧民街がある場所では,けん銃を使用した凶悪事件が発生しています。殺人事件の約80%がけん銃によるものとされており,極めて危険な状況です。
(4)誘拐事件については,ベネズエラでは誘拐された場合に,親族等が身代金を支払うことは違法となるほか,警察官が誘拐犯と共犯になっている場合が多いため,市民の多くは被害者の生命を優先して被害届を提出しません。そのため,2016年の誘拐事件は,統計上,406件が認知されているにすぎませんが,専門家の調査では,月平均250件発生しており,2016年は,3,000件以上の誘拐事件が発生したとされています。誘拐の手口も,これまでは,ATM等に被害者を連れて行き現金を強奪する短時間誘拐が主流でしたが,最近は,通貨価値が低下しているため,被害者を自宅まで連れて行き,貴金属や家電製品,携帯電話,自動車などを全て強奪する手口が増えています。また,身代金も米ドルしか要求しない場合がほとんどとなっています。
カラカス首都区(リベルタドール市)では外国人を狙った誘拐事件が発生しており,2012年1月,メキシコ大使夫妻に対する身代金目的の誘拐事件,また,2013年5月,EU代表部の外交官に対する強盗(誘拐未遂)事件の被害に遭っています。
(5)コロンビアとの国境地帯(スリア州,タチラ州,アプレ州,アマソナス州)では,ベネズエラの過激派組織であるボリバル解放戦線(FBL)及びこれらの組織から離脱した者を含む不特定多数の一般凶悪犯罪者グループ等のアジトや活動が確認されており,身代金目的の誘拐事件,麻薬関連犯罪が発生しています。
(6)これまでに,ベネズエラにおいて日本人・日本権益を直接標的としたテロ事件は確認されていませんが,近年,シリア,チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,英国,フランス,ドイツ,ベルギー,トルコ,インドネシア,フィリピン等,日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。
(7)中南米等におけるジカウィルス感染症の流行に伴い,ベネズエラには感染症危険情報を発出しています。詳細についてはこちら(http://www2.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/pcinfectioninfolist.asp?pageno=1 )を参照してください。
2.地域別情勢
(1)カラカス首都圏(カラカス首都区(リベルタドール市),スクレ市,チャカオ市,バルータ市,エル・アティージョ市),ミランダ州,スリア州,カラボボ州,タチラ州,アラグア州,グアリコ州,アンソアテギ州及びマイケティア(シモン・ボリバル)国際空港周辺地域,コロンビアとの国境地帯(スリア州,タチラ州,アプレ州,アマソナス州の一部)
:レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア カラカス首都圏内及び各地域では治安の悪化が顕著であり,従来比較的安全とされてきた地域においても夜間のみならず昼間でも,殺人,強盗,誘拐等の凶悪犯罪が発生しています。外国人も被害にあっていることから十分な注意が必要です。
4月以降,ベネズエラにおいて最も多くのデモ・抗議集会がカラカス首都区(リベルタドール市)で行われており,デモ隊と治安部隊との衝突が激しくなっています。治安部隊との衝突や略奪事件等に巻き込まれて死亡した人数もベネズエラの中で最も多いです。政府は,政府庁舎の集まるセントロ地区や大統領官邸のあるミラ・フローレスにはデモ隊の進入を絶対に阻止する構えを崩しておらず,今後も,デモ隊との衝突が今後も発生する可能性があります。
また,カラカス首都区には,セントロ地区,サバナ・グランデ地区,パライソ地区,ラ・バンデラ地区,1月23日地区等の貧困街が多く,夜間になるとデモの混乱に乗じて,付近住民や犯罪者集団が商店を襲ったり,建物,車両に火を付けたりして混乱を煽っているほか,ゴミをまき散らして道路を閉鎖するといった事態が絶えません。
大統領府周辺のカティア地区及び1月23日地区は,チャベス前大統領を崇拝する武装組織(コレクティーボ)の牙城とされており,同組織による自警団が結成されているため,国家警察等の治安機関は立ち入ることができない状態です。また,これらの地域では,強盗,誘拐が頻繁に発生しているほか,麻薬等の売買,コレクティーボ同士による銃撃戦が行われるため,カラカス首都区の中で最も治安の悪い地域となっています。
中小の露天商が多いサバナ・グランデ地区では,強盗,スリ,置き引き等の被害が発生しています。治安当局は,警察官の詰め所(テント)を設け,警察官を常駐させるなどして治安維持に当たっていますが,治安の改善は見られず,同地域をよく知る者の案内等なしに,一見して旅行者とわかる服装で同地域を観光することは,犯罪者の格好のターゲットとなり危険です。2016年1月には,ベネズエラ広場において日本人旅行者が強盗に遭い,財布や携帯電話等が奪われる事件も発生しています。
バンデラ地区には大型バスターミナルがあり,隣国のブラジル,コロンビア及びベネズエラ国内の観光地であるエンジェル・フォールの中継地シウダ・ボリーバル市へ向かう長距離バスが発着していますが,昼間は人通りがあるものの,夜間,特に午後8時以降はひと気が減るため,夜間の利用は危険です。このバスターミナルから主要地へ向かうバスは主に夜間から深夜に発着するので,これら長距離バスの利用は極力控え,航空機を利用することをお勧めします。
リベルタドール市では外国人を狙った誘拐事件が発生しており,2012年1月,メキシコ大使夫妻に対する身代金目的の誘拐事件,また,2013年5月,EU代表部の外交官に対する強盗(誘拐未遂)事件の被害に遭っています。
イ カラカス首都区に隣接するスクレ市ペタレ地区には,カラカス首都圏最大の貧民街(スラム街)が広がっており,殺人,強盗,誘拐等の凶悪事件が日常的に発生するなど大変危険な地域です。同地区は,警察でも数十人規模の部隊を編成しなければ,危険で立ち入れない場所で,また,ひったくり,置き引き,スリ等の犯罪件数も依然として高水準で推移しています。これらの犯罪の約60%は公道上で昼夜問わず発生しています。
ウ また,ペタレ地区以外のスクレ市においても,同様の犯罪が発生しています。2013年9月,高速道路上で日本人が強盗の被害に遭っているほか,2016年8月,在ベネズエラ・スペイン大使館の職員が私用車で走行中,車両強盗の被害に遭い,これに抵抗したことから発砲され負傷する事件も発生しています。
エ チャカオ市(多数の邦人の居住区,日本国大使館所在地)は,以前は比較的安全な地域とされていましたが,近年急激に治安が悪化し,日本人を含む外国人等が毎月1件以上のペースで凶悪犯罪の被害に遭っています。2013年1月及び5月には,日本人が路上強盗事件の被害に遭った他,同年7月,けん銃使用による自動車強盗事件,2014年9月,日系企業の防弾車2台に対する自動車強盗事件,2015年1月,日系企業の駐在員に対するけん銃使用による強盗・一時拘束事件,2015年8月,在ベネズエラ日本国大使館が入居するビルにおける発砲事件,2016年1月及び12月,日本国大使館付近における路上強盗事件等,多くの凶悪犯罪が発生しています。また,野党側による抗議デモが頻繁に行われ,これに治安当局が対峙していることから,注意が必要です。
オ バルータ市においては,繁華街やゴルフ場がありますが,誘拐事件や強盗事件が発生しています。2013年5月,フランス大使館外交官に対する強盗事件,2014年6月,ホテル敷地内においてドイツ人旅行者に対する強盗殺人事件,2016年6月,ジョギング中のロシア大使館の外交官に対する誘拐事件が発生しました。
カ 観光客がよく訪れるエル・アティージョ市は,夜間の交通量が少なく閑散としており,誘拐事件が発生する傾向にあります。ジョギング中の国家警備軍大佐が誘拐され身代金を奪われ殺害された事件,けん銃で武装した強盗集団による連続強盗事件,市の中心部にあるショッピングセンターでの殺人事件や銃撃戦,また,2013年5月,パラグアイ人外交官夫人に対するけん銃使用強盗致傷事件等が発生しています。
キ ミランダ州,スリア州,カラボボ州,タチラ州,アラグア州,グアリコ州,アンソアテギ州は,今年も一段と治安が悪化しており注意が必要です。これらの州は,2017年4月からのデモ・抗議集会の件数もベネズエラの中で上位を占めており,多くの死傷者,逮捕者が出ているほか,殺人,誘拐,強盗事件等の犯罪多発地域であり,回復の兆しは見えていません。また,本年4月頃から食料不足が顕著になり,日用品や食料品の入手が困難になったほか,スーパーや飲食店が閉店しました。インターネットも繋がりにくくなるなど,市民生活に深刻な影響を与えています。市民の不満はこれまでになく高まっており,小さな衝突が大きな暴動へと発展しているケースが見られます。
ク ミランダ州(カラカス首都圏を除く)は,ベネズエラの中で最も危険な州となっています。殺人,強盗,誘拐,窃盗事件の発生率は,ベネズエラの中で常に第1位を占めているほか,サモラ市やアセベド市では,ここ数年一般犯罪が増加し治安が悪化しています。また,カラカス首都圏とベネズエラ東部を結ぶ国道9号線では,夜間,警察官を装った者が走行中の車両を停車させ,強盗,殺人,誘拐事件等の犯罪が発生しています。抗議活動や略奪事件も頻繁に発生しており,GNBが出動する事態となっています。
ケ スリア州では,昨年からマラカイボ市を中心にデモ・抗議活動や略奪事件が頻繁に発生しています。今年も学生によるデモ・抗議活動が活発に行われており,2017年5月に催涙弾を浴びて動けなくなった怪我人を救出しようとしていた大学生が,GNBの装甲車にひき殺される事件が発生して以降,学生と治安部隊との対立が激化しています。
コ カラボボ州バレンシアでは,2017年5月に大規模な略奪事件が発生し,中国人経営の約60の商店を中心に襲われ,食料品,日用品等が強奪されました。これに対し,治安部隊は,特殊部隊等も投入して治安の回復に努めましたが,略奪事件は収まらず,コレクティーボ等の犯罪者集団が略奪に加わったこともあり,治安の回復の兆しが見えていない状況です。
サ タチラ州サン・クリストバル市において,2017年5月に大規模な略奪事件が発生し,27店舗が襲われました。この略奪事件に際し,買物に出かけていた15歳の少年がGNBに誤って殺害される事件も発生しています。
シ ベネズエラの玄関口であるマイケティア国際空港でも犯罪が発生しています。たとえトランジット内であっても,置き引き等の窃盗事件が発生しており,特に到着の便で混み合う午前中に発生しています。
2015年10月,日系企業の出張者が,同空港の駐車場において,軍服を着て小銃を所持した軍人と思われる男2人組から,けん銃で威嚇され現金を恐喝されました。
空港を行き来する高速道路では,強制的に車両を停止させて金品を強奪する事件や誘拐事件が発生しています。このため,同空港の早朝及び深夜発着便の利用は極力避け,日中に発着する便を利用するようお勧めします。
ス コロンビアとの国境地帯における2016年の誘拐事件は9件(全国の発生件数406件)で,減少傾向にあるものの,誘拐事件の多くは被害届が提出されないため,表に出ない誘拐事件が発生しているとされています。ベネズエラ当局から「ゲリラ組織」と位置付けられているコロンビア革命軍(FARC)及びボリバル解放戦線(FBL)は,スリア州,タチラ州,アプレ州の山中にもアジトを形成し活動しており,その主な活動は,嘱託殺人,誘拐,麻薬,食料品密輸です。ゲリラとしての活動自体は,最近は衰えていると言われているものの,ゲリラの方針に従わない末端グループやゲリラの手口を模倣した一般犯罪者グループによる誘拐も発生しています。以前は,誘拐事件の多くが国境周辺の牧場主,農場主または実業家及びそれらの家族等の裕福な階層を標的としていましたが,最近は,学生,商人,その他専門職従事者等も標的とされるようになってきました。ベネズエラは,コロンビアで生産された麻薬(コカイン)を北米やヨーロッパ市場へ密輸するための通過国となっており,コロンビアとの国境地域においては,しばしば大量の麻薬が押収されています。また,ベネズエラの現下の情勢から,コロンビアに脱出するベネズエラ人も少なくありません。
こうした状況を踏まえ,コロンビアとの国境地帯への渡航・滞在については,真に必要な渡航・滞在を除き控えてください。万一渡航・滞在される場合も,最新の治安情報の入手に努め,民間警備会社による警備等十分な安全対策を講じてください。
つきましては,これらの地域への不要不急の渡航は止めてください。上記の情勢にもかかわらず,やむを得ない理由で渡航・滞在する場合には,報道等により最新の情報を入手するよう努めるとともに,必要に応じて警備員をつけるなどの十分な安全対策を講じてください。
(2)その他の地域
:「レベル1:十分注意してください。」(継続)
ベネズエラ国内の一般犯罪,抗議活動は増加傾向にあり,上述のレベル2以外の地域も例外ではありません。多くの犯罪で銃器が使用されており,また,一般犯罪のみならず,殺人,強盗,誘拐等の凶悪犯罪の発生数も高い水準にあるので,特に注意が必要です。現職警察官,元警察官が関与した犯罪も報告されています。また,ホテル等の防犯対策が手薄である場合が多いので,その利用にあたっては防犯対策が十分であるかどうかも含め,留意して宿泊する必要があります。
ブラジル,ガイアナ両国との国境付近においては,誘拐,麻薬取引,麻薬密売に関連した犯罪に巻き込まれる危険性があります。ヌエバ・エスパルタ州マルガリータ島は,カリブ海のリゾート地で比較的治安の良いところとされてきましたが,経済の悪化により物資不足が加速し,停電や断水が頻発しているほか,外国人旅行者が殺人や強盗事件の被害に巻き込まれることが増えています。また,ベネズエラの現下の情勢から,ブラジルに脱出するベネズエラ人が増えています。
渡航・滞在される場合には,最新の情報の入手に努めるなど十分に注意してください。
3.滞在に当たっての注意
滞在中は,以下の事項に十分留意して行動し,危険を避けるようにしてください。また報道,日本大使館及び現地関係機関等から最新の情報を入手するよう努めてください。なお,犯罪の手口及び安全対策の詳細については,安全対策基礎データ(http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=260 )を参照してください。
(1)渡航者全般向けの注意事項
ア 危険を察知した場合(交通事故,火災,救急,災害を含む)には,電話番号「911」(警察署・消防署)に通報してください。
イ 殺人事件等凶悪犯罪の発生している「ランチョ」と呼ばれる低所得者層の居住地区(主に山の斜面,川沿いに所在し,煉瓦造りの住宅が密集している地域)にはいかなる理由があっても絶対に近寄らないでください。
ウ iPhone等のスマートフォンを狙ったけん銃使用強盗事件が増えています。万一,強盗事件に遭遇した場合には,犯人はけん銃を所持している恐れがあるので,身の安全を第一に考え,絶対に抵抗しないでください。また,財布を取り出そうとして慌ててポケットに手を入れると,けん銃等を取り出そうとしていると犯人に勘違いされ,発砲され可能性が高まるので,犯人を刺激するような行動やしぐさは絶対にしないでください。
エ 日本人も被害に遭う短時間誘拐事件(被害者を一時的に拘束し,クレジットカード或いはキャッシュカードなどで現金を引き出させ,現金を手に入れた後に解放する犯罪)が発生しているので,特に夜間の単独での外出は控え,キャッシュカードやクレジットカードを必要時以外は持ち歩かないなど,十分留意してください。また,カラカス首都圏内やマイケティア国際空港周辺の高速道路上でも,武装集団による短時間誘拐,強盗事件が発生しています。空港付近を通行する場合はくれぐれも周囲の状況に注意してください。
オ 誘拐事件の被害を防ぐため,「目立たない」,「用心を怠らない」,「行動を予知されない」の3原則を守ってください(なお,海外における誘拐対策についての詳細は,ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html を参照してください。)。
カ 爆弾事件に巻き込まれないために,不審物及びゴミ集積所には近づかないでください。また,パイプやペットボトル等にガムテープ,リード線,電池,時計,導火線等が付いていたら注意し,車両に乗り込む際は車両の下部等周辺に不審物がないか確認するなど安全確保に注意を払うように心掛けてください(詳細はホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_03.html を参照してください。)。
キ デモや集会が行われている場所では,反政府勢力や治安部隊との対立に巻き込まれる可能性があるので,近づかないようにしてください。
ク ベネズエラの関係当局が随時発表する主要な政治日程のほか,以下の各記念日,祝日等には,大規模なデモ行進や集会等が開催される可能性がありますので,こうした日程にも留意しつつ,不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
○ 1月23日(ペレス・ヒメネス独裁政権崩壊)
○ 2月 4日(1992年のクーデター未遂記念日)
○ 2月12日(青年の日)
○ 2月27日(1989年のカラカス暴動記念日)
○ 3月 5日(2013年チャベス大統領死去)
○ 4月11日(2002年の政変)
○ 4月19日(独立宣言記念日)
○ 5月 1日(メーデー)
○ 6月24日(カラボボ戦勝記念日)
○ 7月 5日(独立記念日)
○ 7月24日(シモン・ボリバル生誕記念日)
○10月12日(先住民抵抗の日)
○12月 8日(チャベス大統領に忠誠を誓う日)
○12月17日(シモン・ボリバルの命日)等
ケ 観光地や各検問所等で現職警察官や軍人が言いがかりをつけて,現金を要求するなどの犯罪が発生しているので,容易に近づいたり,信用しないでください。
(2)短期滞在者向けの注意事項
ア タクシーやバイクタクシーの運転手によるけん銃等の銃器を使用した強盗事件が発生しています。やむを得ずタクシーを利用しなければならない場合は,流しのタクシーを絶対に避け,無線タクシー(正規タクシー)を利用してください。また,バイクタクシーは,犯罪や交通事故に遭う確率がかなり高いので,絶対に利用しないでください。
マイケティア国際空港など各空港でタクシー運転手による強盗事件も発生しているので,できる限り知人に迎えに来てもらうなどの方法を検討してください。
イ ベネズエラへの旅行に際し,黄熱の予防接種は不要ですが,熱帯雨林等の黄熱に感染する危険のある地域を訪れる場合は,10日以上前に黄熱の予防接種を受けることをお勧めします。
(3)長期滞在者向けの注意事項
ア 路線バスの車内や地下鉄駅構内(特にエスカレーター付近)での強盗,スリ事件が多発しています。また,最近は走行中の地下鉄車内において強盗事件が続発しているので,やむを得ない場合以外は利用しないでください。
イ 全犯罪事件の約60%が公道上で発生しています。車両を運転する際は,窓を閉め,ドアをロックして,後方や周囲の状況に絶えず注意してください。また,買い物や食事等をする際には,警備員の常駐している駐車場を利用するようにしてください。
(4)在留届,たびレジの登録
海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は,在ベネズエラ日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet )
3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時に在ベネズエラ日本国大使館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )
4.隣国のコロンビア,ブラジル,ガイアナについてもそれぞれ「危険情報」が発出されていますので,併せて確認してください。
詳細については,下記の内容をよくお読みください。
引用元:外務省 海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2017T073.html
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