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[NEWS]パキスタンの危険情報【一部地域の危険レベル引き下げ】(外務省 海外安全ホームページ)
2017年08月30日
【危険度】
●レベル4:退避を勧告します。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
・アフガニスタンとの国境付近一帯
・連邦直轄部族地域(FATA)全域及び郡隣接部族地域
・ハイバル・パフトゥンハー州(旧北西辺境州。以下「KP州」)のスワート郡,アッパー・ディール郡,ローワー・ディ-ル郡,マラカンド郡,マルダン郡,チャルサダ郡,ブネール郡,シャングラ郡,コハート郡,バンヌー郡,ハングー郡,デラ・イスマイル・カーン郡,カラック郡,ラッキ・マルワット郡及びタンク郡
・インドとの管理ライン(以下「LOC」)等付近一帯
●レベル4:退避を勧告します。渡航は止めてください。(退避勧告)(真にやむを得ない事情で現地に残留せざるを得ない場合は,政府機関,所属団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)(継続)
・KP州のペシャワル郡
●レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(滞在中の方は,不測の事態に巻き込まれないよう退避を含め危険回避を常に心掛けてください。)(継続)
・KP州のノウシェラ郡及びスワビ郡
・バロチスタン州のデラ・ブグティ郡及びコールー郡
・シンド州のジャコババード郡
●レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
・イランとの国境付近一帯
・バロチスタン州のクエッタ市
・KP州のチトラル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く)
●レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き下げ)
・ギルギット・バルチスタン地域(以下「GB地域」)のディアメル郡,アストール郡及びギゼル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く)
●レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
・イスラマバード首都圏
・パンジャブ州
・KP州のアボタバード郡,バタグラム郡,ハリプール郡,コヒスタン郡,マンセーラ郡及びトルガル郡
・カラチ市を含むシンド州(ジャコババード郡を除く)
・バロチスタン州(アフガニスタン及びイランとの国境付近,デラ・ブグティ郡,コールー郡及びクエッタ市を除く)
・パキスタン側カシミールの一部でアーザード・ジャンムー・カシミールと呼ばれる地域(以下「AJK」)(LOC付近を除く)
・GB地域(アフガニスタンとの国境付近及びLOC付近を除く)
【ポイント】
●全土にテロ・誘拐の脅威があります。最新の関連情報の入手に努め,適切で十分な安全対策を講じるよう常に心がけてください。
●国内各地で政府,社会不満等によるデモや集会が頻繁に行われています。これらには絶対に近づかないようにしてください。
●一部に危険情報「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」及び「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」が発出されていますので,これらの地域への渡航は,どのような目的であれ止めてください。
☆詳細については,以下の内容をよくお読みください。
(本文)
1.概況
(1)パキスタンにおいては,パキスタン・タリバーン運動(TTP)等のイスラム過激派勢力によるテロが発生しています。テロ事件の多くは,アフガニスタンとの国境地帯,連邦直轄部族地域(FATA),ハイバル・パフトゥンハー(KP)州,バロチスタン州を中心に,軍や警察等の治安当局及びその関連施設等を標的として発生しています。
(2)上記以外の地域では,治安当局の他,宗教行事や礼拝所,デモ等に対するテロが年間を通じて発生しているほか,外国人が標的になることもあります。外国人が多く渡航・滞在するパンジャブ州ラホール市等では,治安当局や宗教関連行事等を狙ったテロ事件がこれまで散発的に発生しています。2014年には,TTPが外国人投資家,多国籍企業,外国の航空会社に対してパキスタンでの商業活動を中止し撤退するよう警告するとともに,外国企業も攻撃の対象となる旨の声明を発出しており,引き続き注意が必要です。
(3)テロ以外にも,全土において銃器による強盗等の犯罪やデモ・集会に注意が必要です。特に,カラチ市においては,治安当局関係者等を標的とした殺人事件や,ギャングによる抗争等が年間数百件以上発生しています。デモに関しては,政府の政策等に対する抗議活動が各地で頻発しており,過去に幾度となく参加者が暴徒化し,死傷者が出たこともあることから,絶対に近づかないでください。また,デモに限らず,人の多く集まる場所では不測の事態に巻き込まれる危険性が高まります。
その他,インドとの管理ライン(LOC)の付近では,パキスタン軍とインド軍の衝突が過去に起きていることから,これに巻き込まれる恐れもあります。
(4)全土に誘拐の高い脅威があり,これまで外国人も被害に遭っています。誘拐事件は長期化することもあり,被害者が殺害されるケースもあります。
(5)パキスタンでは,2014年10月に,TTPの元関係者がISIL(イラク・レバントのイスラム国)に対する忠誠を表明する等,ISILの活動に呼応する動きも見られ,2015年1月,ISILがアフガニスタン,パキスタン及びその周辺の土地を含む地域に「ホラサーン州」の設立を宣言しました。その後,バロチスタン州クエッタ市等をはじめ,各地で爆発や誘拐等に関連して,「ISILホラサーン州」の名で犯行声明が出されるなど,今後も,こうした組織の動向にも注意が必要です。
(6)近年,シリア,チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,英国,フランス,ドイツ,ベルギー,トルコ,インドネシア,フィリピン等,日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。
2.地域別情勢
(1)アフガニスタンとの国境付近一帯,FATA全域及び郡隣接部族地域,KP州のスワート郡,アッパー・ディール郡,ローワー・ディ-ル郡,マラカンド郡,マルダン郡,チャルサダ郡,ブネール郡,シャングラ郡,コハート郡,バンヌー郡,ハングー郡,デラ・イスマイル・カーン郡,カラック郡,ラッキ・マルワット郡及びタンク郡,LOC等付近一帯
レベル4:退避を勧告します。渡航は止めてください。(退避勧告)
ア アフガニスタンとの国境付近一帯,FATA及び郡隣接部族地域
これらの地域では,アフガニスタンの悪化する治安状況の影響と両国間国境の管理の難しさもあり,タリバーン,ISILホラサーン州等の反政府武装勢力が潜伏していると見られます。同地域では,2014年6月以降,パキスタン軍による大規模な軍事掃討作戦が行われており,これに対して,武装勢力による報復活動も起きています。不測の事態に巻き込まれる可能性が極めて高いことから,これらの地域への渡航は止めてください。
なお,FATAは,パキスタン建国以来,同国の法制度が行き渡っておらず,外国人旅行者に何か問題が生じた場合でも,パキスタン政府当局の迅速な対応は期待できません。また,パキスタン・アフガニスタンの陸路での横断は,襲撃等に遭遇する可能性が極めて高いため,止めて下さい。
イ KP州のスワート郡,アッパー・ディール郡,ローワー・ディール郡,マラカンド郡,マルダン郡,チャルサダ郡,ブネール郡,シャングラ郡,コハート郡,バンヌー郡,ハングー郡,デラ・イスマイル・カーン(以下「DIカーン」)郡,カラック郡,ラッキ・マルワット郡及びタンク郡
これらの地域では,治安当局をはじめ,大学や法曹関係者を狙ったテロが発生しています。また,外国人の誘拐や武器,爆発物の不法所持は後を絶ちません。
特に,スワート郡のミンゴラ等は,かつて多くの観光客が訪れる観光地であったことから,この地域を含むツアーを企画・実施する旅行会社も見受けられますが,同地域の治安は上述のとおり不安定な情勢ですので,渡航は止めてください。
ウ LOC等付近一帯
同地域には,LOC等を挟んでパキスタンとインドの両国軍が展開しています。2014年7月以降,両国の国境警備隊による銃撃戦等が続発し,双方の民間人も被害に遭っています。LOC等付近一帯の情勢は引き続き不安定ですので,渡航は止めてください。
(2)KP州のペシャワル郡
レベル4:退避を勧告します。渡航は止めてください。(退避勧告)
(真にやむを得ない事情で現地に残留せざるを得ない場合は,政府機関,所属団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)
同地域は,2014年,陸軍関係学校が襲撃され100名以上の死者を出した事件に代表されるように,治安当局等に対する攻撃が発生しています。また,市民を狙ったテロも発生しており,政府関係施設,治安関連機関の他,マーケット,公共交通機関,学校等も標的となる可能性が極めて高い状況です。その他,大量の武器・弾薬等が押収され,身代金を目的とした誘拐事件も発生しています。
このように同地域は非常に危険ですので,渡航は止めてください。真に止むを得ない事情で現地に滞在する場合には,不測の事態に巻き込まれることのないよう必要かつ十分な安全対策をとってください。
(3)KP州のノウシェラ郡及びスワビ郡,バロチスタン州のデラ・ブグティ郡及びコールー郡,シンド州のジャコババード郡
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)
(滞在中の方は,不測の事態に巻き込まれないよう退避を含め危険回避を常に心掛けてください。)
これらの地域では,反政府武装勢力が存在する可能性があり,治安当局だけでなく一般市民もテロの被害に遭う事件が発生しています。
特に,バロチスタン州の該当地域においては,地雷による被害があり,治安が回復する兆しは見られません。パキスタン外務省は各国外交団に対し,最近の現地の治安情勢を受け,いかなる外国人も適切な警備措置なくバロチスタン州に渡航することは極力避けるよう呼びかけています。
上記の状況を踏まえ,これらの地域への渡航は止めてください。止むを得ず滞在する場合には,不測の事態に巻き込まれないよう退避することを含め危険回避を常に心掛けてください。
(4)イランとの国境付近一帯,バロチスタン州のクエッタ市,GB地域のディアメル郡,アストール郡及びギゼル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く),KP州のチトラル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)
ア イランとの国境付近一帯
スンニ派武装勢力が活動しており,シーア派巡礼者を狙った攻撃の他,外国人を狙った誘拐事件も発生しています。2007年には,同地域を通過し陸路でイランに入国した日本人短期渡航者が誘拐された他,2013年にはイランから同地域に陸路で入ったチェコ人旅行者が誘拐されました。(いずれも後日解放)
イ バロチスタン州のクエッタ市
スンニ派武装勢力によるシーア派への攻撃に加え,パキスタンからの独立やバロチスタン州の自治拡大を目的とする反政府組織等による治安当局をはじめとするパキスタン政府及び治安当局に対する攻撃が頻発しており,多くの犠牲者が出ています。加えて,特にパンジャブ州からの移住者や外国人に対する襲撃・誘拐も発生しています。
同市での外国人被害に関しては,2012年の赤十字国際委員会(ICRC)の英国籍イエメン人医師の誘拐・殺害事件,2017年6月の中国人教師の誘拐・殺害事件(ISILホラサーン州が犯行を主張)が例として挙げられます。こうした状況を踏まえ,パキスタン外務省は,いかなる外国人も適切な警備措置なくバロチスタン州に渡航することは極力避けるよう呼びかけています。
ウ KP州のチトラル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く)
同地域では,アフガニスタンの悪化する治安状況の影響と両国間の国境管理の難しさもあり,タリバーン等の反政府武装勢力が,アフガニスタンとの間で越境を繰り返したり,潜伏したりしていると見られます。
上記の状況を踏まえ,不測の事態に巻き込まれないよう,これらの地域については,アフガニスタンとの国境付近以外であっても,パキスタンからイランへの陸路入国を含め,渡航は止めてください。
(5)GB地域のディアメル郡,アストール郡及びギゼル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めて下さい。(引き下げ)
これらの地域では,過去に宗派間対立の激化により,治安が悪化し,同地域を訪問していた邦人を含む外国人旅行者が足止めを受けることがありました。また,2013年6月,GB地域のナンガ・パルバット山麓で外国人旅行者等が滞在する宿泊施設が武装勢力に襲撃され,ウクライナ人,中国人等の複数の外国人を含む死傷者が出る事件が発生しました。同事件以降,これらの地域では,テロリスト等の武装勢力の一斉捜索活動が定期的に実施された他,現地治安当局により検問所を域内複数箇所に設置し,特に陸路でGB地域へ入退域する外国人を含む全ての訪問者への身分確認を実施しています。こうした措置により,2012年8月以降,同地域では,宗派間衝突等は発生していない他,2013年7月以降,テロ事件も発生していません。
上記状況を踏まえ,同地域の危険情報を「レベル3:渡航を止めて下さい。(渡航中止勧告)」から「レベル2:不要不急の渡航は止めて下さい。」に引き下げます。しかし,同地域では,過去に上記のような重大事案が発生していることを考慮し,不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず同地域へ渡航する必要がある場合には最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに,安全確保のための準備を十分に行い,不測の事態に巻き込まれないよう注意してください。
(6)イスラマバード首都圏,パンジャブ州,KP州のアボタバード郡,バタグラム郡,ハリプール郡,コヒスタン郡,マンセーラ郡及びトルガル郡,カラチ市を含むシンド州(ジャコババード郡を除く),バロチスタン州(アフガニスタン及びイランとの国境付近,デラ・ブグティ郡,コールー郡及びクエッタ市を除く), AJK(LOC付近を除く),GB地域(アフガニスタンとの国境付近及びLOC付近を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めて下さい。
これらの地域では,テロ・誘拐事件のほか,強盗,窃盗事件や発砲事件等の一般犯罪も発生していますので,不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する場合には,現地の最新の治安状況について情報収集に努めるとともに,十分な安全対策を行い,不測の事態に巻き込まれないよう特別な注意を払ってください。また,下記3.の注意事項に留意し,デモ等人の多く集まっている場所や人通りの少ない道の通行は避ける等,十分注意して行動して下さい。
ア イスラマバード首都圏
イスラマバード市は,警察当局による捜索や取締り,検問所での車両検査等の治安対策措置が最も強化された都市です。しかし,政府庁舎や要人,外国資本の商業施設等を標的としたテロや外国人誘拐のリスクは常に存在します。同市内ではこれまでもテロ未遂事件が複数発生しており,2014年には市内の複数箇所で死傷者を伴う爆発事件,2016年1月には,市内中心部の住宅街に所在するテレビ局を狙った爆発事件が発生しています。
また,近郊のラワルピンディ市においては,陸軍司令部等の軍関連施設が多く,過去に同施設や軍関係者を狙ったテロ事件が発生しています。
この他,これまで政府に対する大規模な抗議活動も発生しており,2014年以降も負傷者を伴う治安部隊との衝突が起きています。このように,テロ以外の要因により急激に治安が悪化する可能性があることも踏まえ,常に最新の関連情報の収集に努めてください。
イ ラホール市
ラホール市は,治安当局が監視を強めておりますが,反政府勢力による警察・警察関連施設,宗教関連施設・行事,デモ等対するテロ事件等が毎年数件発生しており,注意が必要です。最近発生した事件は以下のとおりです。また,テロかどうかは不明なるも,爆発事案も複数発生しています。
○2016年3月,市内に所在する公園で行われたキリスト教関連行事を狙った自爆テロが発生し,約70名が死亡,200名以上が負傷。
○2017年2月,市内中心部で実施されていた抗議活動の最中に自爆テロが発生し,13名が死亡,80名以上が負傷。
○2017年4月,軍関係者等を狙った自爆テロが発生し,6名死亡,15名以上が負傷。
○2017年7月,マーケットにおいて自爆テロが発生し,少なくとも25名が死亡,50名以上が負傷。
ウ パンジャブ州(ラホール市,イスラマバード市近郊を除く地域)
治安は全般的に安定していますが,一部地域では襲撃事件や爆弾テロがこれまでも発生しており,滞在にあたっては特段の注意が必要です。
パンジャブ州南部は,同地域を拠点とするイスラム過激派がKP州やバロチスタン州との境界付近で活動しているため,テロや誘拐の脅威があります。同地域に渡航する場合には,事前に現地情勢を確認し,必要な警備措置を講じる等万全な態勢を敷く必要があります。
エ KP州のアボタバード郡,バタグラム郡,ハリプール郡,コヒスタン郡,マンセーラ郡,トルガル郡
これらの地域は,現在の治安情勢は比較的安定していますが,過去にバスに対する襲撃や過激派による無差別襲撃事件が発生していることもあり,注意が必要です。
オ シンド州カラチ市
カラチ市では宗派間抗争,政治対立及び民族対立等に起因する爆弾・銃撃テロ事件が多発しており,過去に起きた代表的なものは以下のとおりです。
○2014年6月,カラチ国際空港敷地内において,TTP等と治安部隊との間で銃撃戦が発生し,空港職員等を含め28名が死亡,多数が負傷。その翌日,空港警備隊に対する銃撃事件が再度発生し,3日間にわたり空港機能が麻痺。
○2015年5月中旬,シーア派教徒の乗ったバスが武装集団に襲撃され,乗客45名が死亡。
○2016年5月中旬,中国人技師の乗った車両に対する爆弾テロ事件が発生し,同技師が負傷。
2013年9月以降,政府はレンジャー部隊を投入して取締りを強化してきており,発生件数に関しては,2016年は,2014年に比べ,80%以上減少しました。
しかし,上記のテロ事件に加え,ギャング間の抗争等を含めると,カラチ市では年間500件以上の殺人事件が発生している他,銃器を使用した強盗等の一般犯罪が後を絶ちません。更に,富裕層を狙った身代金目的の誘拐事件が依然として発生していることから,警戒が必要です。
こうした状況を踏まえ,カラチ市への渡航・滞在については,真に必要な渡航・滞在を除き控えてください。渡航・滞在される場合も,民間警備会社による警備等十分な安全対策を講じるとともに,最新の治安情報の入手に努めた上で,行動してください。
カ シンド州(カラチ市,ジャコババード郡を除く)
ハイデラバード市郊外や同州内陸部においては,警察による武装強盗団(ダコイト)の取締り強化及び高速道路警察隊による幹線道路のパトロール強化が実施されていますが,依然として強盗等の凶悪犯罪が発生しています。陸路で移動せざるを得ない場合は夜間の移動を避け,常時複数の武装警備員をつける等の安全対策を必ず取ってください。また,カラチ等都市部に比べ,治安機関による警備が手薄であることから,時折大規模なテロ事件が発生することがあります。2017年2月中旬には,ダドゥ郡の聖者廟において,70人以上が死亡する自爆テロ事件がありました。
キ バロチスタン州(アフガニスタン及びイランとの国境付近,デラ・ブグティ郡,コールー郡及びクエッタ市を除く)
バロチスタン州においては,パキスタンからの独立や同州の自治拡大を目的とする組織等による反政府活動が盛んに行われており,治安機関へのテロ攻撃や,特にパンジャブ州からの移住者を狙った攻撃が発生しています。また,同州からアフガニスタンに向かう幹線道路では,米国やNATO駐留軍への補給物資輸送車両が襲撃される事件が発生するなど,治安状況は極めて不安定です。
こうした状況を踏まえ,パキスタン外務省は,いかなる外国人も適切な警備措置なくバロチスタン州に渡航することは極力避けるよう呼びかけています。
ク アザド・ジャンム・カシミール(AJK)(LOC付近を除く)
AJK全域は旅行制限地域となっており,AJKに立ち入るためにはパキスタン内務省の許可を取得する必要があります。
ケ GB地域のギルギット郡,フンザ・ナガル郡,スカルドゥー郡,ガンチェ郡(アフガニスタンとの国境付近及びLOC付近を除く)
これらの地域においては,外国人が被害に遭う事案は発生していません。2012年4月,宗派間対立の激化により,ギルギット市内に外出禁止令が出され,邦人を含む外国人旅行者が留め置かれる事態が発生しましたが,それ以降,同地域では,宗派間衝突等は発生していません。
しかし,GB地域では,2013年6月,ナンガ・パルバット山麓で外国人旅行者等が滞在する宿泊施設が武装した何者かに襲撃され,複数の外国人を含む死傷者が出る事件が発生していることを踏まえ,不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず同地域へ渡航する必要がある場合には,特別な注意を払い,十分な安全対策を取ってください。また,最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに,安全確保のための準備を十分に行い,不測の事態に巻き込まれないよう注意してください。
3.渡航・滞在にあたっての注意
パキスタンに渡航する際の一般的な注意事項,主要都市の犯罪傾向については,「安全対策基礎データ」(http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=011 )も御参照ください。
(1)渡航者全般向けの注意事項
ア 夜間の単独での外出は避けてください。パキスタンでは性犯罪も多発しており,特に女性は注意が必要です。
イ 夜間に陸路を移動する場合には,短距離であっても,タクシーや路線バスを利用せず,自家用車や信用のおける運転手付きレンタカー等の安全で確実な交通手段を確保してください。
ウ バスを使った長距離移動については,武装強盗等に襲撃される危険性があるので極力控えて下さい。鉄道も,安全・確実な移動手段とは言えないので,できる限り避けて下さい。
(2)滞在者向けの注意事項
ア 海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は,大使館又は総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet )
3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )
イ 自宅や職場,滞在場所の周辺で不測の事態が起きた場合は,事態が収まるまでその場に待機するとともに,安否について在パキスタン日本国大使館又は在カラチ日本国総領事館まで連絡してください。
ウ 使用人が手引きする犯罪も発生していますので,滞在場所で使用人を雇う際は,身元の確かな人物を雇用することをお勧めします。解雇する場合は,私怨をかわないよう,円満な形で解雇することが重要です。
(3)テロ・誘拐対策
パキスタンに渡航・滞在される方は,テロや誘拐事件に遭遇したり,巻き込まれたりする危険を避けるよう,上記情報に加え,次の点に十分留意して行動するよう,常に心掛けてください。また,以下も併せご参照ください。
○海外安全パンフレット・資料
(http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph.html )
ア テロ
○テロの標的となりやすい場所(※)を訪れる際には,滞在時間を可能な限り短くし,常に周囲の状況に注意を払い,不審な状況を察知した場合には,速やかにその場から離れる。特に,軍,警察等治安当局施設(含む車両)には近づかない。
※政府機関,検問所,宗教関連施設,宗教行事開催場所,報道機関,駅,有名ホテルやファースト・フード店を含む欧米関連施設,大型商業施設,レストラン,マーケット等
○ホテルのフロント等,不特定多数の人の立ち入りが容易な場所での滞在時間は最小限にする。
○訪問先の情報に十分な注意を払い,必要な場合には十分な警備態勢をとる。
○渋滞の多い検問所付近の通行は極力避ける。
○銀行の利用に関し,現金の引き出し等が集中しがちな月初め,中旬,月末や祝祭日前後には,多数の人が集まり,これを標的としたテロも発生する可能性があるので,極力避ける。
イ 誘拐
誘拐を防ぐためには,自分自身と家族の安全を守る心構えとして,「目立たない」,「用心を怠らない」,「行動を予知されない」の三原則を念頭に,次のような対策をとり,習慣化することが有効です。
○日常の行動パターンを画一化しない。通勤や買い物等に同じ経路や時間帯を使うのではなく,数パターンを使い分ける。
○行動予定を不特定多数に知られないようにする。
○買い物等で外出する際も含め,常時,身近で信用のできるパキスタン人と一緒に行動する。
○人目の少ない場所の通行を避ける。
○外出中は,周囲に不審者,不審車両等がいないか注意する。
○車両で移動する場合は,必ず窓を閉めてドアを施錠する。 移動・降車時にも不審者,不審車両がいないか確認する。
詳細については,下記の内容をよくお読みください。
引用元:外務省 海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2017T072.html
●レベル4:退避を勧告します。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
・アフガニスタンとの国境付近一帯
・連邦直轄部族地域(FATA)全域及び郡隣接部族地域
・ハイバル・パフトゥンハー州(旧北西辺境州。以下「KP州」)のスワート郡,アッパー・ディール郡,ローワー・ディ-ル郡,マラカンド郡,マルダン郡,チャルサダ郡,ブネール郡,シャングラ郡,コハート郡,バンヌー郡,ハングー郡,デラ・イスマイル・カーン郡,カラック郡,ラッキ・マルワット郡及びタンク郡
・インドとの管理ライン(以下「LOC」)等付近一帯
●レベル4:退避を勧告します。渡航は止めてください。(退避勧告)(真にやむを得ない事情で現地に残留せざるを得ない場合は,政府機関,所属団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)(継続)
・KP州のペシャワル郡
●レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(滞在中の方は,不測の事態に巻き込まれないよう退避を含め危険回避を常に心掛けてください。)(継続)
・KP州のノウシェラ郡及びスワビ郡
・バロチスタン州のデラ・ブグティ郡及びコールー郡
・シンド州のジャコババード郡
●レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
・イランとの国境付近一帯
・バロチスタン州のクエッタ市
・KP州のチトラル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く)
●レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き下げ)
・ギルギット・バルチスタン地域(以下「GB地域」)のディアメル郡,アストール郡及びギゼル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く)
●レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
・イスラマバード首都圏
・パンジャブ州
・KP州のアボタバード郡,バタグラム郡,ハリプール郡,コヒスタン郡,マンセーラ郡及びトルガル郡
・カラチ市を含むシンド州(ジャコババード郡を除く)
・バロチスタン州(アフガニスタン及びイランとの国境付近,デラ・ブグティ郡,コールー郡及びクエッタ市を除く)
・パキスタン側カシミールの一部でアーザード・ジャンムー・カシミールと呼ばれる地域(以下「AJK」)(LOC付近を除く)
・GB地域(アフガニスタンとの国境付近及びLOC付近を除く)
【ポイント】
●全土にテロ・誘拐の脅威があります。最新の関連情報の入手に努め,適切で十分な安全対策を講じるよう常に心がけてください。
●国内各地で政府,社会不満等によるデモや集会が頻繁に行われています。これらには絶対に近づかないようにしてください。
●一部に危険情報「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」及び「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」が発出されていますので,これらの地域への渡航は,どのような目的であれ止めてください。
☆詳細については,以下の内容をよくお読みください。
(本文)
1.概況
(1)パキスタンにおいては,パキスタン・タリバーン運動(TTP)等のイスラム過激派勢力によるテロが発生しています。テロ事件の多くは,アフガニスタンとの国境地帯,連邦直轄部族地域(FATA),ハイバル・パフトゥンハー(KP)州,バロチスタン州を中心に,軍や警察等の治安当局及びその関連施設等を標的として発生しています。
(2)上記以外の地域では,治安当局の他,宗教行事や礼拝所,デモ等に対するテロが年間を通じて発生しているほか,外国人が標的になることもあります。外国人が多く渡航・滞在するパンジャブ州ラホール市等では,治安当局や宗教関連行事等を狙ったテロ事件がこれまで散発的に発生しています。2014年には,TTPが外国人投資家,多国籍企業,外国の航空会社に対してパキスタンでの商業活動を中止し撤退するよう警告するとともに,外国企業も攻撃の対象となる旨の声明を発出しており,引き続き注意が必要です。
(3)テロ以外にも,全土において銃器による強盗等の犯罪やデモ・集会に注意が必要です。特に,カラチ市においては,治安当局関係者等を標的とした殺人事件や,ギャングによる抗争等が年間数百件以上発生しています。デモに関しては,政府の政策等に対する抗議活動が各地で頻発しており,過去に幾度となく参加者が暴徒化し,死傷者が出たこともあることから,絶対に近づかないでください。また,デモに限らず,人の多く集まる場所では不測の事態に巻き込まれる危険性が高まります。
その他,インドとの管理ライン(LOC)の付近では,パキスタン軍とインド軍の衝突が過去に起きていることから,これに巻き込まれる恐れもあります。
(4)全土に誘拐の高い脅威があり,これまで外国人も被害に遭っています。誘拐事件は長期化することもあり,被害者が殺害されるケースもあります。
(5)パキスタンでは,2014年10月に,TTPの元関係者がISIL(イラク・レバントのイスラム国)に対する忠誠を表明する等,ISILの活動に呼応する動きも見られ,2015年1月,ISILがアフガニスタン,パキスタン及びその周辺の土地を含む地域に「ホラサーン州」の設立を宣言しました。その後,バロチスタン州クエッタ市等をはじめ,各地で爆発や誘拐等に関連して,「ISILホラサーン州」の名で犯行声明が出されるなど,今後も,こうした組織の動向にも注意が必要です。
(6)近年,シリア,チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,英国,フランス,ドイツ,ベルギー,トルコ,インドネシア,フィリピン等,日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。
2.地域別情勢
(1)アフガニスタンとの国境付近一帯,FATA全域及び郡隣接部族地域,KP州のスワート郡,アッパー・ディール郡,ローワー・ディ-ル郡,マラカンド郡,マルダン郡,チャルサダ郡,ブネール郡,シャングラ郡,コハート郡,バンヌー郡,ハングー郡,デラ・イスマイル・カーン郡,カラック郡,ラッキ・マルワット郡及びタンク郡,LOC等付近一帯
レベル4:退避を勧告します。渡航は止めてください。(退避勧告)
ア アフガニスタンとの国境付近一帯,FATA及び郡隣接部族地域
これらの地域では,アフガニスタンの悪化する治安状況の影響と両国間国境の管理の難しさもあり,タリバーン,ISILホラサーン州等の反政府武装勢力が潜伏していると見られます。同地域では,2014年6月以降,パキスタン軍による大規模な軍事掃討作戦が行われており,これに対して,武装勢力による報復活動も起きています。不測の事態に巻き込まれる可能性が極めて高いことから,これらの地域への渡航は止めてください。
なお,FATAは,パキスタン建国以来,同国の法制度が行き渡っておらず,外国人旅行者に何か問題が生じた場合でも,パキスタン政府当局の迅速な対応は期待できません。また,パキスタン・アフガニスタンの陸路での横断は,襲撃等に遭遇する可能性が極めて高いため,止めて下さい。
イ KP州のスワート郡,アッパー・ディール郡,ローワー・ディール郡,マラカンド郡,マルダン郡,チャルサダ郡,ブネール郡,シャングラ郡,コハート郡,バンヌー郡,ハングー郡,デラ・イスマイル・カーン(以下「DIカーン」)郡,カラック郡,ラッキ・マルワット郡及びタンク郡
これらの地域では,治安当局をはじめ,大学や法曹関係者を狙ったテロが発生しています。また,外国人の誘拐や武器,爆発物の不法所持は後を絶ちません。
特に,スワート郡のミンゴラ等は,かつて多くの観光客が訪れる観光地であったことから,この地域を含むツアーを企画・実施する旅行会社も見受けられますが,同地域の治安は上述のとおり不安定な情勢ですので,渡航は止めてください。
ウ LOC等付近一帯
同地域には,LOC等を挟んでパキスタンとインドの両国軍が展開しています。2014年7月以降,両国の国境警備隊による銃撃戦等が続発し,双方の民間人も被害に遭っています。LOC等付近一帯の情勢は引き続き不安定ですので,渡航は止めてください。
(2)KP州のペシャワル郡
レベル4:退避を勧告します。渡航は止めてください。(退避勧告)
(真にやむを得ない事情で現地に残留せざるを得ない場合は,政府機関,所属団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)
同地域は,2014年,陸軍関係学校が襲撃され100名以上の死者を出した事件に代表されるように,治安当局等に対する攻撃が発生しています。また,市民を狙ったテロも発生しており,政府関係施設,治安関連機関の他,マーケット,公共交通機関,学校等も標的となる可能性が極めて高い状況です。その他,大量の武器・弾薬等が押収され,身代金を目的とした誘拐事件も発生しています。
このように同地域は非常に危険ですので,渡航は止めてください。真に止むを得ない事情で現地に滞在する場合には,不測の事態に巻き込まれることのないよう必要かつ十分な安全対策をとってください。
(3)KP州のノウシェラ郡及びスワビ郡,バロチスタン州のデラ・ブグティ郡及びコールー郡,シンド州のジャコババード郡
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)
(滞在中の方は,不測の事態に巻き込まれないよう退避を含め危険回避を常に心掛けてください。)
これらの地域では,反政府武装勢力が存在する可能性があり,治安当局だけでなく一般市民もテロの被害に遭う事件が発生しています。
特に,バロチスタン州の該当地域においては,地雷による被害があり,治安が回復する兆しは見られません。パキスタン外務省は各国外交団に対し,最近の現地の治安情勢を受け,いかなる外国人も適切な警備措置なくバロチスタン州に渡航することは極力避けるよう呼びかけています。
上記の状況を踏まえ,これらの地域への渡航は止めてください。止むを得ず滞在する場合には,不測の事態に巻き込まれないよう退避することを含め危険回避を常に心掛けてください。
(4)イランとの国境付近一帯,バロチスタン州のクエッタ市,GB地域のディアメル郡,アストール郡及びギゼル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く),KP州のチトラル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)
ア イランとの国境付近一帯
スンニ派武装勢力が活動しており,シーア派巡礼者を狙った攻撃の他,外国人を狙った誘拐事件も発生しています。2007年には,同地域を通過し陸路でイランに入国した日本人短期渡航者が誘拐された他,2013年にはイランから同地域に陸路で入ったチェコ人旅行者が誘拐されました。(いずれも後日解放)
イ バロチスタン州のクエッタ市
スンニ派武装勢力によるシーア派への攻撃に加え,パキスタンからの独立やバロチスタン州の自治拡大を目的とする反政府組織等による治安当局をはじめとするパキスタン政府及び治安当局に対する攻撃が頻発しており,多くの犠牲者が出ています。加えて,特にパンジャブ州からの移住者や外国人に対する襲撃・誘拐も発生しています。
同市での外国人被害に関しては,2012年の赤十字国際委員会(ICRC)の英国籍イエメン人医師の誘拐・殺害事件,2017年6月の中国人教師の誘拐・殺害事件(ISILホラサーン州が犯行を主張)が例として挙げられます。こうした状況を踏まえ,パキスタン外務省は,いかなる外国人も適切な警備措置なくバロチスタン州に渡航することは極力避けるよう呼びかけています。
ウ KP州のチトラル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く)
同地域では,アフガニスタンの悪化する治安状況の影響と両国間の国境管理の難しさもあり,タリバーン等の反政府武装勢力が,アフガニスタンとの間で越境を繰り返したり,潜伏したりしていると見られます。
上記の状況を踏まえ,不測の事態に巻き込まれないよう,これらの地域については,アフガニスタンとの国境付近以外であっても,パキスタンからイランへの陸路入国を含め,渡航は止めてください。
(5)GB地域のディアメル郡,アストール郡及びギゼル郡(アフガニスタンとの国境付近を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めて下さい。(引き下げ)
これらの地域では,過去に宗派間対立の激化により,治安が悪化し,同地域を訪問していた邦人を含む外国人旅行者が足止めを受けることがありました。また,2013年6月,GB地域のナンガ・パルバット山麓で外国人旅行者等が滞在する宿泊施設が武装勢力に襲撃され,ウクライナ人,中国人等の複数の外国人を含む死傷者が出る事件が発生しました。同事件以降,これらの地域では,テロリスト等の武装勢力の一斉捜索活動が定期的に実施された他,現地治安当局により検問所を域内複数箇所に設置し,特に陸路でGB地域へ入退域する外国人を含む全ての訪問者への身分確認を実施しています。こうした措置により,2012年8月以降,同地域では,宗派間衝突等は発生していない他,2013年7月以降,テロ事件も発生していません。
上記状況を踏まえ,同地域の危険情報を「レベル3:渡航を止めて下さい。(渡航中止勧告)」から「レベル2:不要不急の渡航は止めて下さい。」に引き下げます。しかし,同地域では,過去に上記のような重大事案が発生していることを考慮し,不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず同地域へ渡航する必要がある場合には最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに,安全確保のための準備を十分に行い,不測の事態に巻き込まれないよう注意してください。
(6)イスラマバード首都圏,パンジャブ州,KP州のアボタバード郡,バタグラム郡,ハリプール郡,コヒスタン郡,マンセーラ郡及びトルガル郡,カラチ市を含むシンド州(ジャコババード郡を除く),バロチスタン州(アフガニスタン及びイランとの国境付近,デラ・ブグティ郡,コールー郡及びクエッタ市を除く), AJK(LOC付近を除く),GB地域(アフガニスタンとの国境付近及びLOC付近を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めて下さい。
これらの地域では,テロ・誘拐事件のほか,強盗,窃盗事件や発砲事件等の一般犯罪も発生していますので,不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する場合には,現地の最新の治安状況について情報収集に努めるとともに,十分な安全対策を行い,不測の事態に巻き込まれないよう特別な注意を払ってください。また,下記3.の注意事項に留意し,デモ等人の多く集まっている場所や人通りの少ない道の通行は避ける等,十分注意して行動して下さい。
ア イスラマバード首都圏
イスラマバード市は,警察当局による捜索や取締り,検問所での車両検査等の治安対策措置が最も強化された都市です。しかし,政府庁舎や要人,外国資本の商業施設等を標的としたテロや外国人誘拐のリスクは常に存在します。同市内ではこれまでもテロ未遂事件が複数発生しており,2014年には市内の複数箇所で死傷者を伴う爆発事件,2016年1月には,市内中心部の住宅街に所在するテレビ局を狙った爆発事件が発生しています。
また,近郊のラワルピンディ市においては,陸軍司令部等の軍関連施設が多く,過去に同施設や軍関係者を狙ったテロ事件が発生しています。
この他,これまで政府に対する大規模な抗議活動も発生しており,2014年以降も負傷者を伴う治安部隊との衝突が起きています。このように,テロ以外の要因により急激に治安が悪化する可能性があることも踏まえ,常に最新の関連情報の収集に努めてください。
イ ラホール市
ラホール市は,治安当局が監視を強めておりますが,反政府勢力による警察・警察関連施設,宗教関連施設・行事,デモ等対するテロ事件等が毎年数件発生しており,注意が必要です。最近発生した事件は以下のとおりです。また,テロかどうかは不明なるも,爆発事案も複数発生しています。
○2016年3月,市内に所在する公園で行われたキリスト教関連行事を狙った自爆テロが発生し,約70名が死亡,200名以上が負傷。
○2017年2月,市内中心部で実施されていた抗議活動の最中に自爆テロが発生し,13名が死亡,80名以上が負傷。
○2017年4月,軍関係者等を狙った自爆テロが発生し,6名死亡,15名以上が負傷。
○2017年7月,マーケットにおいて自爆テロが発生し,少なくとも25名が死亡,50名以上が負傷。
ウ パンジャブ州(ラホール市,イスラマバード市近郊を除く地域)
治安は全般的に安定していますが,一部地域では襲撃事件や爆弾テロがこれまでも発生しており,滞在にあたっては特段の注意が必要です。
パンジャブ州南部は,同地域を拠点とするイスラム過激派がKP州やバロチスタン州との境界付近で活動しているため,テロや誘拐の脅威があります。同地域に渡航する場合には,事前に現地情勢を確認し,必要な警備措置を講じる等万全な態勢を敷く必要があります。
エ KP州のアボタバード郡,バタグラム郡,ハリプール郡,コヒスタン郡,マンセーラ郡,トルガル郡
これらの地域は,現在の治安情勢は比較的安定していますが,過去にバスに対する襲撃や過激派による無差別襲撃事件が発生していることもあり,注意が必要です。
オ シンド州カラチ市
カラチ市では宗派間抗争,政治対立及び民族対立等に起因する爆弾・銃撃テロ事件が多発しており,過去に起きた代表的なものは以下のとおりです。
○2014年6月,カラチ国際空港敷地内において,TTP等と治安部隊との間で銃撃戦が発生し,空港職員等を含め28名が死亡,多数が負傷。その翌日,空港警備隊に対する銃撃事件が再度発生し,3日間にわたり空港機能が麻痺。
○2015年5月中旬,シーア派教徒の乗ったバスが武装集団に襲撃され,乗客45名が死亡。
○2016年5月中旬,中国人技師の乗った車両に対する爆弾テロ事件が発生し,同技師が負傷。
2013年9月以降,政府はレンジャー部隊を投入して取締りを強化してきており,発生件数に関しては,2016年は,2014年に比べ,80%以上減少しました。
しかし,上記のテロ事件に加え,ギャング間の抗争等を含めると,カラチ市では年間500件以上の殺人事件が発生している他,銃器を使用した強盗等の一般犯罪が後を絶ちません。更に,富裕層を狙った身代金目的の誘拐事件が依然として発生していることから,警戒が必要です。
こうした状況を踏まえ,カラチ市への渡航・滞在については,真に必要な渡航・滞在を除き控えてください。渡航・滞在される場合も,民間警備会社による警備等十分な安全対策を講じるとともに,最新の治安情報の入手に努めた上で,行動してください。
カ シンド州(カラチ市,ジャコババード郡を除く)
ハイデラバード市郊外や同州内陸部においては,警察による武装強盗団(ダコイト)の取締り強化及び高速道路警察隊による幹線道路のパトロール強化が実施されていますが,依然として強盗等の凶悪犯罪が発生しています。陸路で移動せざるを得ない場合は夜間の移動を避け,常時複数の武装警備員をつける等の安全対策を必ず取ってください。また,カラチ等都市部に比べ,治安機関による警備が手薄であることから,時折大規模なテロ事件が発生することがあります。2017年2月中旬には,ダドゥ郡の聖者廟において,70人以上が死亡する自爆テロ事件がありました。
キ バロチスタン州(アフガニスタン及びイランとの国境付近,デラ・ブグティ郡,コールー郡及びクエッタ市を除く)
バロチスタン州においては,パキスタンからの独立や同州の自治拡大を目的とする組織等による反政府活動が盛んに行われており,治安機関へのテロ攻撃や,特にパンジャブ州からの移住者を狙った攻撃が発生しています。また,同州からアフガニスタンに向かう幹線道路では,米国やNATO駐留軍への補給物資輸送車両が襲撃される事件が発生するなど,治安状況は極めて不安定です。
こうした状況を踏まえ,パキスタン外務省は,いかなる外国人も適切な警備措置なくバロチスタン州に渡航することは極力避けるよう呼びかけています。
ク アザド・ジャンム・カシミール(AJK)(LOC付近を除く)
AJK全域は旅行制限地域となっており,AJKに立ち入るためにはパキスタン内務省の許可を取得する必要があります。
ケ GB地域のギルギット郡,フンザ・ナガル郡,スカルドゥー郡,ガンチェ郡(アフガニスタンとの国境付近及びLOC付近を除く)
これらの地域においては,外国人が被害に遭う事案は発生していません。2012年4月,宗派間対立の激化により,ギルギット市内に外出禁止令が出され,邦人を含む外国人旅行者が留め置かれる事態が発生しましたが,それ以降,同地域では,宗派間衝突等は発生していません。
しかし,GB地域では,2013年6月,ナンガ・パルバット山麓で外国人旅行者等が滞在する宿泊施設が武装した何者かに襲撃され,複数の外国人を含む死傷者が出る事件が発生していることを踏まえ,不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず同地域へ渡航する必要がある場合には,特別な注意を払い,十分な安全対策を取ってください。また,最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに,安全確保のための準備を十分に行い,不測の事態に巻き込まれないよう注意してください。
3.渡航・滞在にあたっての注意
パキスタンに渡航する際の一般的な注意事項,主要都市の犯罪傾向については,「安全対策基礎データ」(http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=011 )も御参照ください。
(1)渡航者全般向けの注意事項
ア 夜間の単独での外出は避けてください。パキスタンでは性犯罪も多発しており,特に女性は注意が必要です。
イ 夜間に陸路を移動する場合には,短距離であっても,タクシーや路線バスを利用せず,自家用車や信用のおける運転手付きレンタカー等の安全で確実な交通手段を確保してください。
ウ バスを使った長距離移動については,武装強盗等に襲撃される危険性があるので極力控えて下さい。鉄道も,安全・確実な移動手段とは言えないので,できる限り避けて下さい。
(2)滞在者向けの注意事項
ア 海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は,大使館又は総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet )
3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )
イ 自宅や職場,滞在場所の周辺で不測の事態が起きた場合は,事態が収まるまでその場に待機するとともに,安否について在パキスタン日本国大使館又は在カラチ日本国総領事館まで連絡してください。
ウ 使用人が手引きする犯罪も発生していますので,滞在場所で使用人を雇う際は,身元の確かな人物を雇用することをお勧めします。解雇する場合は,私怨をかわないよう,円満な形で解雇することが重要です。
(3)テロ・誘拐対策
パキスタンに渡航・滞在される方は,テロや誘拐事件に遭遇したり,巻き込まれたりする危険を避けるよう,上記情報に加え,次の点に十分留意して行動するよう,常に心掛けてください。また,以下も併せご参照ください。
○海外安全パンフレット・資料
(http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph.html )
ア テロ
○テロの標的となりやすい場所(※)を訪れる際には,滞在時間を可能な限り短くし,常に周囲の状況に注意を払い,不審な状況を察知した場合には,速やかにその場から離れる。特に,軍,警察等治安当局施設(含む車両)には近づかない。
※政府機関,検問所,宗教関連施設,宗教行事開催場所,報道機関,駅,有名ホテルやファースト・フード店を含む欧米関連施設,大型商業施設,レストラン,マーケット等
○ホテルのフロント等,不特定多数の人の立ち入りが容易な場所での滞在時間は最小限にする。
○訪問先の情報に十分な注意を払い,必要な場合には十分な警備態勢をとる。
○渋滞の多い検問所付近の通行は極力避ける。
○銀行の利用に関し,現金の引き出し等が集中しがちな月初め,中旬,月末や祝祭日前後には,多数の人が集まり,これを標的としたテロも発生する可能性があるので,極力避ける。
イ 誘拐
誘拐を防ぐためには,自分自身と家族の安全を守る心構えとして,「目立たない」,「用心を怠らない」,「行動を予知されない」の三原則を念頭に,次のような対策をとり,習慣化することが有効です。
○日常の行動パターンを画一化しない。通勤や買い物等に同じ経路や時間帯を使うのではなく,数パターンを使い分ける。
○行動予定を不特定多数に知られないようにする。
○買い物等で外出する際も含め,常時,身近で信用のできるパキスタン人と一緒に行動する。
○人目の少ない場所の通行を避ける。
○外出中は,周囲に不審者,不審車両等がいないか注意する。
○車両で移動する場合は,必ず窓を閉めてドアを施錠する。 移動・降車時にも不審者,不審車両がいないか確認する。
詳細については,下記の内容をよくお読みください。
引用元:外務省 海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2017T072.html
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