海外赴任時に必要な予防接種や健康診断が可能な全国のクリニックを紹介しております。
[NEWS]バングラデシュの危険情報【危険レベル継続】(外務省 海外安全ホームページ)
2017年07月20日
【危険度】
●首都ダッカを含むバングラデシュ全土
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(テロに対する特別警戒)(継続)
【ポイント】
●日本人7名を含む20名以上の死者を出した2016年7月のダッカ襲撃テロ事件後,治安当局によるイスラム過激派に対する摘発等のテロ対策が進められているものの,依然として全土にテロの脅威があります。
●バングラデシュを訪問する際には,テロに対する特別な警戒が必要です。以下の点に留意してください。
・目立たないように行動し,行動パターンを固定しない。また,外出時の移動は車両を利用するとともに,早朝・夜間の外出,移動は控え,日中の時間帯に用事を済ませる。
・テロの標的となりやすい場所(※)は訪問を控える。訪問の必要がある場合は滞在時間を短くする。
※外国人が多く集まるレストラン,欧米関連施設,政府施設,公共交通機関,観光施設,宗教施設,ショッピングモール,公立学校,市場など
・ラマダン等の宗教行事期間中や集団礼拝のある金曜日など,注意を要すべき時期等には外出を控える。
☆詳細については,下記の内容をよくお読みください。
1 概況
(1)テロ・誘拐等
ア 2016年7月1日(現地時間),ダッカ市内グルシャン地区のレストラン「ホーリー・アーティザン・ベーカリー」において,数名の武装グループが人質を取って籠城し,日本人7名を含む20名以上を殺害,多数を負傷させる襲撃テロ事件が発生しました。その後,本件について「ISIL(イラク・レバントのイスラム国)バングラデシュ」を称する組織が犯行声明を発出しました。
この事件の発生を受け,現地当局は同事件に関係した国内のテロリストの捜査を進めるとともに,これまで多数の容疑者を逮捕・殺害する等,国内のイスラム過激派組織の摘発を現在も継続しています。
イ バングラデシュでは,上記テロ事件以外にも,2015年以降,日本人を含む外国人を狙ったテロ事件が複数回発生している他,宗教的少数派や世俗主義者等を狙ったテロ事件も発生しています。今年3月にはダッカの空港付近等で爆発物を用いた複数のテロ事件が発生しました。イスラム過激派からは,同テロ事件を称揚したり,さらなる攻撃を行うよう唆したりするメッセージが,映像や雑誌等の様々なメディアを通じて発出されています。こうしたメッセージが邦人に対し直接具体的な脅威を示すものではないとしても,更なるテロの実行を呼びかけるものとして,最大限の注意を払う必要があります。また,過激派の摘発が続く中で,摘発に抵抗するために用いられた強力な爆発物により一般市民を含む多数の死傷者が出たり,爆弾等を製造することができる原材料等が過激派拠点から大量に押収されており,今後もテロ事件が発生する可能性が排除されず,引き続き警戒が必要です。
ウ 以上のとおり,現在もバングラデシュでは大規模なものを含め更なるテロ事件が発生する可能性がありますので,同国を訪問する際には,引き続き特別な警戒が必要です。具体的には以下の点に留意してください。
[行動]
●行動予定を関係者以外に知られないようにし,目立たないように行動する。
●通勤や買い物等には同じ経路や時間帯を使わず,日常の行動パターンをできるだけ固定化しないようにする。
●状況や場所に応じて警備員を配置したり,移動に際して帯同する。
●外出時の移動は車両を利用する。その際,交通渋滞となっている場所や渋滞になりそうな場所は迂回するなど,自らの安全確保を念頭に慎重な行動をとる。
●早朝・夜間の外出,移動は控え,日中の時間帯に用事を済ませる。
●車両駐車時,特に車両昇降時には,車両に不審者や不審車両(バイク等を含む)が近づいていないか慎重に周囲の状況を確認する。
[訪問場所]
●最新の治安情勢について情報収集に努め,滞在先や個別の訪問先の治安状況や警備体制を常に確認する。
●テロの標的となりやすい場所(※)は訪問を控える。これらの場所を訪問する必要がある場合には,滞在時間を短くする,避難経路を確認しておく等の安全対策を必ず講じる。また,周囲の状況には常に注意を払い,不審な状況を察知したら,速やかにその場を離れる。
※外国人が多く集まるレストラン,欧米関連施設,政府施設,公共交通機関,観光施設,宗教施設,ショッピングモール,公立学校や市場など
[時期等]
●ラマダン,イード等の宗教行事,選挙等の政治イベント,季節的な行事や大規模イベントの際は,不要不急の外出は控え,人混みには近づかない。
●イスラム教では,金曜日が集団礼拝の日とされており,その機会を利用してテロや襲撃が行われることがあるので,モスク等宗教施設やデモ活動が行われている場所,その他テロの標的となりやすい場所には不用意に近づかない。また,ヒンドゥー教,キリスト教,仏教等の宗教行事についても,十分な警戒を怠らない。
(2)政治情勢
バングラデシュでは2018年末~2019年1月にかけ,第11回総選挙が行われる予定です。主要政党間では選挙に向けた準備が既に始まっており,選挙戦が今後過熱することも予想されます。2014年1月に行われた総選挙に際しては,選挙の1年ほど前から野党によるハルタル(ゼネラルストライキ)や抗議集会がダッカを始めとする全国各地で実施されるようになりました。特に,選挙が近づくにつれてこうした抗議活動は激しさを増し,手製小型爆弾の爆発やバス等公共交通機関への放火などにより多数の死傷者が出る事態となり,こうした事態は政党関連施設周辺のみならず,邦人を含む外国人が多数居住する地域においても発生しました。最近は,政党間の対立に基づき治安が悪化する事態は殆ど見られず,また,次回選挙に向けて前回選挙時の時と同様の事態が発生する兆候も今のところ見られませんが,今後の情勢については十分注視していく必要があります。
(3)一般犯罪
政府軍・治安当局の取組は一定の成果は上げているものの,一般犯罪は多発しています。特に近年,ダッカ市内では,銃器を使用した殺人や強盗等の事件が急増しています。また,邦人旅行者や出張者などの短期滞在者が人的被害を受ける強盗事件も多数発生していますので,滞在にあたっては十分な注意が必要です。
2 地域別情勢
首都ダッカを含むバングラデシュ全土
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(テロに対する特別警戒)(継続)
(1)全土(首都ダッカを含む)
ア 2016年7月1日(現地時間),ダッカ市内のレストラン「ホーリー・アーティザン・ベーカリー」において,数名の武装グループが人質を取って籠城し,日本人7名を含む20名以上を殺害,多数が負傷する事案が発生しました。上記「1(1)テロ・誘拐等」の通り,特別な警戒が必要です。
イ この他,最近では以下のような事件が発生しています。
(2015年)
・ダッカ市内におけるイタリア人殺害事件(9月28日)
・ロングプールにおける邦人殺害事件(10月3日)
・ダッカ市内におけるシーア派モスクでの爆発事件(10月24日),
・ダッカ近郊における警察官殺害事件(11月4日)
・ロングプールにおけるバハーイ教徒銃撃事件(11月9日)
・ロングプールにおける聖廟管理者殺害事件(11月10日),
・ディナジプールにおけるイタリア人神父襲撃事件(11月18日)
・ボグラにおけるシーア派モスク襲撃事件(11月26日)
・アフマディア派モスクにおける自爆テロ事件(12月25日)
(※以上,いずれも「ISILバングラデシュ」を称する組織が犯行声明を発出)
・ダッカにおける元電源開発委員会会長殺害事件(10月5日。JMB(ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ)が犯行声明を発出)
・ダッカにおける出版関係者殺害事件(10月31日。AQIS(インド亜大陸のアルカイダ)が犯行声明を発出)
・ディナジプールにおけるヒンドゥー教僧侶襲撃事件(11月30日)
・ディナジプールにおけるヒンドゥー教寺院等での爆発事件(12月5日及び10日。)
(2016年)
・ジナイダにけるホメオパシー施術者殺害事件(1月7日,3月14日)
・ガイバンダ及びポンチョゴルにおけるヒンドゥー教徒及び聖職者殺害事件(2月8日及び21日)
・クリグラムにおけるキリスト教改宗者殺害事件(3月22日)
・ラジシャヒにおける大学教授殺害事件(4月23日)
・タンガイルにおけるヒンドゥー教徒殺害事件(5月1日)
・バンダルボンにおける仏教僧及び仏教徒殺害事件(5月14日,6月30日)
・クスティアにおけるホメオパシー施術者殺害事件(5月20日)
・ガイバンダ及びパブナにおけるヒンドゥー教徒殺害事件(5月24日,6月10日)
・ナトールにおけるキリスト教徒殺害事件(6月5日)
・ジェナイダにおけるヒンドゥー教僧侶殺害事件(6月7日,7月1日)
・ダッカ襲撃テロ事件(グルシャン地区での飲食店襲撃)(7月1日)
・ノルシンディにおけるヒンドゥー教徒殺害事件(8月23日)
(※以上,いずれの事件も「ISILバングラデシュ」を称する組織が犯行声明を発出)・ダッカの大学院生(世俗主義的ブロガー)殺害事件(4月6日)
・ダッカにおける性的少数者向け雑誌編集者殺害事件(4月25日)
(※これらの事件にはAQISバングラデシュ支部が犯行声明を発出)
・ガジプールにおける元刑務所看守殺害事件(4月25日)
・ラジシャヒにおけるピール(スーフィズム導師)殺害事件(5月6日)
(※これらの事件にはJMBが犯行声明を発出)
(2017年)
・ダッカ空港至近の治安機関拠点に対する自爆テロ事件(3月17日)
・ダッカ空港前検問所における自爆テロ事件(3月24日)
・シレット管区の過激派拠点近くにおける爆発攻撃事件(3月25日)
(※以上,いずれの事件も「ISILバングラデシュ」を称する組織が犯行声明を発出)
ウ バングラデシュでは二大政党間の根強い対立関係が常態化しており,今後とも治安情勢の変化に注意する必要があります。また,2013年4月,ダッカ市郊外サバール地区にて,複数の縫製工場や商店が入ったビルが倒壊し,多数の労働者らが死傷する事故が発生しました。この事故を受け,労働者の待遇改善に関する国内外の圧力が高まり,これに伴い,労働者の権利,安全基準,火災に対する安全性,最低賃金引き上げなど,労働者の待遇改善を求める散発的な抗議デモが,縫製工場が多数所在する地域を中心に各地で発生しており,道路封鎖,車両や工場への投石や襲撃事件も発生しています。突発した抗議デモに巻き込まれ,邦人が負傷する事件も発生しています。
(2)チッタゴン丘陵地帯(カグラチャリ県,ランガマティ県,バンドルボン県)
ア 南東部のインド及びミャンマーと国境を接するチッタゴン丘陵地帯には,13の仏教系モンゴロイド少数民族が約100万人居住しています。バングラデシュ独立後,同地帯では,自治権要求運動の盛り上がりや新たに入植してきたイスラム系ベンガル住民との対立を背景に少数民族で構成する反政府組織が結成され,多くの死傷者を出す抗争が度々発生しました。しかし,1997年に「チッタゴン丘陸地帯和平協定」が締結されて以降は,同抗争は沈静化しました。
イ 一方,2009年,同協定に基づき,駐屯陸軍部隊の一部撤退が決定されましたが,少数民族と入植者間の未解決の土地問題を抱え,また協定の履行が遅れ,民族対立の原因の根本的解決の見通しが立っていないことから,現地の治安情勢は依然不透明な状況が続いています。
ウ 例えば,2013年8月には,カグラチャリ県において,民族問題に起因すると見られる放火事件が発生し,50件以上の家屋が全焼しました。また,2017年6月には,与党連盟系青年組織のリーダーが路上で死亡しているのが発見され,嫌疑をかけられた少数民族コミュニティーが,ベンガル人入植者により民家や商店を放火されるなどの事案が発生しました。和平協定締結20周年を迎えてもその具体的成果が見られない状況に対し,現地の情勢は流動性が高まっており,引き続き注意が必要になっています。
エ 2016年10月にバングラデシュに隣接するミャンマーのラカイン州で〔ロヒンギャ(ラカイン州に居住するベンガル系イスラム教徒)〕がミャンマー国境警備隊を襲撃する事件が発生しました。これを受けてミャンマー当局による対〔ロヒンギャ〕掃討作戦が行われ,多数の〔ロヒンギャ〕が新たにバングラデシュ側に避難しました。バングラデシュには,それ以前からミャンマーから逃れてきた多数の〔ロヒンギャ〕避難民が居住していますが,現在こうした避難民の多くはコックスバザールに設置されたキャンプでの生活を余儀なくされています。こうした不安定な状況が現地の治安悪化を招く可能性もあり,今後の動向を注視する必要があります。
ついては,上記情勢を踏まえ,バングラデシュへの渡航・滞在を予定されている方は,不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する必要がある場合には,上記1(1)エの注意事項のとおり特別な警戒に努めてください。
3 渡航・滞在に当たっての注意
滞在中は以下の情報及び注意事項に留意の上,危険を避けるようにしてください。また,日本国外務省,在バングラデシュ日本国大使館,現地関係機関,テレビなど各種報道等から最新の情報を入手するよう努めてください。
海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は,大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet )
3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )
(1)テロ等に対する注意
バングラデシュに渡航・滞在する際は,テロに対する特別な警戒が必要であることを認識し,外務省が発出する海外安全情報及び報道等により,治安情勢等,渡航・滞在先について最新の関連情報の入手に努めるとともに,改めて危機管理意識を持つよう努めてください。テロ,誘拐等の不測の事態に巻き込まれることのないよう,特にイスラム過激派の標的となりやすい場所(上記「1.(1)テロ・誘拐等」で指摘した場所)を訪れる際には,周囲の状況に注意を払い,不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる等,安全確保に十分注意を払ってください。
(2)ハルタル(ゼネラル・ストライキ)に対する注意
近年では大きな混乱を伴うハルタルは殆ど発生していませんが,2014年1月の総選挙前後に発生した,ハルタルでは,道路封鎖や抗議団体によるデモ等に伴い,交通にも大きな支障が出たり,デモ隊と治安部隊との衝突に至り,投石や車両の破壊などに発展することもあり,多くの場合,ハルタルは事前に予告されるため,外出を控えるなどして回避することが可能ですが,突発的に行われることもあります。万一,ハルタルによる暴動等に遭遇した際は,巻き込まれないように,直ちにその場から離れるなど,身の安全を第一に考え行動してください。
(3)抗議デモ参加者による道路封鎖に対する注意
工場の労働者が未払い賃金の支払いや賃上げを要求してデモを起こし,時には道路を封鎖したり,投石したりする事態が発生することがあります。道路封鎖解除までに半日以上を要することがありますので,不自然な渋滞に遭遇した場合には迂回する等の措置を講じてください。2013年には,邦人企業関係者が暴徒化したデモ隊の襲撃を受け,車両を破壊された上,人的被害を受けた事件も発生しました。近年では当時に比べ,大規模な抗議デモが発生することは少なくなっていますが,こうした状況が確認された場合には,通過を含め,同地域への立ち入りを控えるなどの注意が必要です。
(4)一般犯罪への注意
邦人の一般犯罪被害として,深夜や早朝に空港と市内の間を移動中の強盗,リキシャ(自転車を利用した人力車)・オートリキシャ(小型のオート三輪)・タクシー等で市内を移動中,又は降車時の強盗やひったくり,長距離バスで移動中の集団強盗,ホテルの部屋に侵入されての盗難等の被害例が報告されています。また,空港や博物館などの観光名所で親しげに声を掛けてきた人物に半ば強引に荷物等を運ばれて金銭を強要された事例や,睡眠薬強盗被害も発生しています。つきましては,被害の未然防止の観点から,以下の対策を講じてください。
○夜間及び早朝の外出は極力控える。オートリキシャ及びリキシャ等を利用しない。近距離であっても,移動には可能な限り車両を利用する。走行時は,窓を閉め,ドアは確実に施錠する。
○英語を流暢に話したり,片言の日本語で近づいてきたりする「リキシャ引き」には慎重に対応する(強盗グループの一味である可能性がある。)。
○強盗に遭遇した際は,犯人が刃物等の武器を所持している可能性が高いことから,抵抗したり大声で叫んだりせず,自身の生命を第一に考え,冷静に相手の指示に従うようにする。
○女性は脚を出す等の露出度の高い服装を避ける。
○不測の事態に巻き込まれないよう,政治集会,不審車両,宗教関連施設,バスターミナル,市場,映画館など人の多く集まる場所には近寄らない。
○空港や観光名所で親しげに声を掛けてくる人物にはついていかない。また,荷物を運ばせない。
○旅先で出会ったバングラデシュ人の家に招待された際は十分に警戒する。また,安易に査証(ビザ)発給のための保証人にならない。
○信頼できる警備会社に警備を依頼する。
(5)雨季と洪水
通常,6月から10月頃にかけての雨季には,しばしば洪水や地滑りが発生し,各種伝染病が流行することもあります。2007年11月には大型サイクロンがバングラデシュ南部に上陸し,死者・行方不明者4,000人以上という大きな被害をもたらしました。この季節にバングラデシュに渡航する場合は,気象情報にも十分注意してください。
(6)海外旅行保険への加入
バングラデシュ滞在中に事件・事故に巻き込まれたり,病気になったりするなどして病院を利用する方が増えています。症状が重とくな場合には,医療施設の整った近隣国への緊急移送,あるいは日本への搬送が必要となります。保険に加入していない場合は,高額の費用を自己負担しなくてはならないため,万一に備え,緊急移送サービスを含む海外旅行保険への加入をお勧めします。
4 その他
近隣国のインド,ネパール,ブータン及びミャンマーにもそれぞれ危険情報が発出されていますので,ご留意ください。
☆詳細については,下記の内容をよくお読みください。
引用元:外務省 海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2017T061.html
●首都ダッカを含むバングラデシュ全土
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(テロに対する特別警戒)(継続)
【ポイント】
●日本人7名を含む20名以上の死者を出した2016年7月のダッカ襲撃テロ事件後,治安当局によるイスラム過激派に対する摘発等のテロ対策が進められているものの,依然として全土にテロの脅威があります。
●バングラデシュを訪問する際には,テロに対する特別な警戒が必要です。以下の点に留意してください。
・目立たないように行動し,行動パターンを固定しない。また,外出時の移動は車両を利用するとともに,早朝・夜間の外出,移動は控え,日中の時間帯に用事を済ませる。
・テロの標的となりやすい場所(※)は訪問を控える。訪問の必要がある場合は滞在時間を短くする。
※外国人が多く集まるレストラン,欧米関連施設,政府施設,公共交通機関,観光施設,宗教施設,ショッピングモール,公立学校,市場など
・ラマダン等の宗教行事期間中や集団礼拝のある金曜日など,注意を要すべき時期等には外出を控える。
☆詳細については,下記の内容をよくお読みください。
1 概況
(1)テロ・誘拐等
ア 2016年7月1日(現地時間),ダッカ市内グルシャン地区のレストラン「ホーリー・アーティザン・ベーカリー」において,数名の武装グループが人質を取って籠城し,日本人7名を含む20名以上を殺害,多数を負傷させる襲撃テロ事件が発生しました。その後,本件について「ISIL(イラク・レバントのイスラム国)バングラデシュ」を称する組織が犯行声明を発出しました。
この事件の発生を受け,現地当局は同事件に関係した国内のテロリストの捜査を進めるとともに,これまで多数の容疑者を逮捕・殺害する等,国内のイスラム過激派組織の摘発を現在も継続しています。
イ バングラデシュでは,上記テロ事件以外にも,2015年以降,日本人を含む外国人を狙ったテロ事件が複数回発生している他,宗教的少数派や世俗主義者等を狙ったテロ事件も発生しています。今年3月にはダッカの空港付近等で爆発物を用いた複数のテロ事件が発生しました。イスラム過激派からは,同テロ事件を称揚したり,さらなる攻撃を行うよう唆したりするメッセージが,映像や雑誌等の様々なメディアを通じて発出されています。こうしたメッセージが邦人に対し直接具体的な脅威を示すものではないとしても,更なるテロの実行を呼びかけるものとして,最大限の注意を払う必要があります。また,過激派の摘発が続く中で,摘発に抵抗するために用いられた強力な爆発物により一般市民を含む多数の死傷者が出たり,爆弾等を製造することができる原材料等が過激派拠点から大量に押収されており,今後もテロ事件が発生する可能性が排除されず,引き続き警戒が必要です。
ウ 以上のとおり,現在もバングラデシュでは大規模なものを含め更なるテロ事件が発生する可能性がありますので,同国を訪問する際には,引き続き特別な警戒が必要です。具体的には以下の点に留意してください。
[行動]
●行動予定を関係者以外に知られないようにし,目立たないように行動する。
●通勤や買い物等には同じ経路や時間帯を使わず,日常の行動パターンをできるだけ固定化しないようにする。
●状況や場所に応じて警備員を配置したり,移動に際して帯同する。
●外出時の移動は車両を利用する。その際,交通渋滞となっている場所や渋滞になりそうな場所は迂回するなど,自らの安全確保を念頭に慎重な行動をとる。
●早朝・夜間の外出,移動は控え,日中の時間帯に用事を済ませる。
●車両駐車時,特に車両昇降時には,車両に不審者や不審車両(バイク等を含む)が近づいていないか慎重に周囲の状況を確認する。
[訪問場所]
●最新の治安情勢について情報収集に努め,滞在先や個別の訪問先の治安状況や警備体制を常に確認する。
●テロの標的となりやすい場所(※)は訪問を控える。これらの場所を訪問する必要がある場合には,滞在時間を短くする,避難経路を確認しておく等の安全対策を必ず講じる。また,周囲の状況には常に注意を払い,不審な状況を察知したら,速やかにその場を離れる。
※外国人が多く集まるレストラン,欧米関連施設,政府施設,公共交通機関,観光施設,宗教施設,ショッピングモール,公立学校や市場など
[時期等]
●ラマダン,イード等の宗教行事,選挙等の政治イベント,季節的な行事や大規模イベントの際は,不要不急の外出は控え,人混みには近づかない。
●イスラム教では,金曜日が集団礼拝の日とされており,その機会を利用してテロや襲撃が行われることがあるので,モスク等宗教施設やデモ活動が行われている場所,その他テロの標的となりやすい場所には不用意に近づかない。また,ヒンドゥー教,キリスト教,仏教等の宗教行事についても,十分な警戒を怠らない。
(2)政治情勢
バングラデシュでは2018年末~2019年1月にかけ,第11回総選挙が行われる予定です。主要政党間では選挙に向けた準備が既に始まっており,選挙戦が今後過熱することも予想されます。2014年1月に行われた総選挙に際しては,選挙の1年ほど前から野党によるハルタル(ゼネラルストライキ)や抗議集会がダッカを始めとする全国各地で実施されるようになりました。特に,選挙が近づくにつれてこうした抗議活動は激しさを増し,手製小型爆弾の爆発やバス等公共交通機関への放火などにより多数の死傷者が出る事態となり,こうした事態は政党関連施設周辺のみならず,邦人を含む外国人が多数居住する地域においても発生しました。最近は,政党間の対立に基づき治安が悪化する事態は殆ど見られず,また,次回選挙に向けて前回選挙時の時と同様の事態が発生する兆候も今のところ見られませんが,今後の情勢については十分注視していく必要があります。
(3)一般犯罪
政府軍・治安当局の取組は一定の成果は上げているものの,一般犯罪は多発しています。特に近年,ダッカ市内では,銃器を使用した殺人や強盗等の事件が急増しています。また,邦人旅行者や出張者などの短期滞在者が人的被害を受ける強盗事件も多数発生していますので,滞在にあたっては十分な注意が必要です。
2 地域別情勢
首都ダッカを含むバングラデシュ全土
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(テロに対する特別警戒)(継続)
(1)全土(首都ダッカを含む)
ア 2016年7月1日(現地時間),ダッカ市内のレストラン「ホーリー・アーティザン・ベーカリー」において,数名の武装グループが人質を取って籠城し,日本人7名を含む20名以上を殺害,多数が負傷する事案が発生しました。上記「1(1)テロ・誘拐等」の通り,特別な警戒が必要です。
イ この他,最近では以下のような事件が発生しています。
(2015年)
・ダッカ市内におけるイタリア人殺害事件(9月28日)
・ロングプールにおける邦人殺害事件(10月3日)
・ダッカ市内におけるシーア派モスクでの爆発事件(10月24日),
・ダッカ近郊における警察官殺害事件(11月4日)
・ロングプールにおけるバハーイ教徒銃撃事件(11月9日)
・ロングプールにおける聖廟管理者殺害事件(11月10日),
・ディナジプールにおけるイタリア人神父襲撃事件(11月18日)
・ボグラにおけるシーア派モスク襲撃事件(11月26日)
・アフマディア派モスクにおける自爆テロ事件(12月25日)
(※以上,いずれも「ISILバングラデシュ」を称する組織が犯行声明を発出)
・ダッカにおける元電源開発委員会会長殺害事件(10月5日。JMB(ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ)が犯行声明を発出)
・ダッカにおける出版関係者殺害事件(10月31日。AQIS(インド亜大陸のアルカイダ)が犯行声明を発出)
・ディナジプールにおけるヒンドゥー教僧侶襲撃事件(11月30日)
・ディナジプールにおけるヒンドゥー教寺院等での爆発事件(12月5日及び10日。)
(2016年)
・ジナイダにけるホメオパシー施術者殺害事件(1月7日,3月14日)
・ガイバンダ及びポンチョゴルにおけるヒンドゥー教徒及び聖職者殺害事件(2月8日及び21日)
・クリグラムにおけるキリスト教改宗者殺害事件(3月22日)
・ラジシャヒにおける大学教授殺害事件(4月23日)
・タンガイルにおけるヒンドゥー教徒殺害事件(5月1日)
・バンダルボンにおける仏教僧及び仏教徒殺害事件(5月14日,6月30日)
・クスティアにおけるホメオパシー施術者殺害事件(5月20日)
・ガイバンダ及びパブナにおけるヒンドゥー教徒殺害事件(5月24日,6月10日)
・ナトールにおけるキリスト教徒殺害事件(6月5日)
・ジェナイダにおけるヒンドゥー教僧侶殺害事件(6月7日,7月1日)
・ダッカ襲撃テロ事件(グルシャン地区での飲食店襲撃)(7月1日)
・ノルシンディにおけるヒンドゥー教徒殺害事件(8月23日)
(※以上,いずれの事件も「ISILバングラデシュ」を称する組織が犯行声明を発出)・ダッカの大学院生(世俗主義的ブロガー)殺害事件(4月6日)
・ダッカにおける性的少数者向け雑誌編集者殺害事件(4月25日)
(※これらの事件にはAQISバングラデシュ支部が犯行声明を発出)
・ガジプールにおける元刑務所看守殺害事件(4月25日)
・ラジシャヒにおけるピール(スーフィズム導師)殺害事件(5月6日)
(※これらの事件にはJMBが犯行声明を発出)
(2017年)
・ダッカ空港至近の治安機関拠点に対する自爆テロ事件(3月17日)
・ダッカ空港前検問所における自爆テロ事件(3月24日)
・シレット管区の過激派拠点近くにおける爆発攻撃事件(3月25日)
(※以上,いずれの事件も「ISILバングラデシュ」を称する組織が犯行声明を発出)
ウ バングラデシュでは二大政党間の根強い対立関係が常態化しており,今後とも治安情勢の変化に注意する必要があります。また,2013年4月,ダッカ市郊外サバール地区にて,複数の縫製工場や商店が入ったビルが倒壊し,多数の労働者らが死傷する事故が発生しました。この事故を受け,労働者の待遇改善に関する国内外の圧力が高まり,これに伴い,労働者の権利,安全基準,火災に対する安全性,最低賃金引き上げなど,労働者の待遇改善を求める散発的な抗議デモが,縫製工場が多数所在する地域を中心に各地で発生しており,道路封鎖,車両や工場への投石や襲撃事件も発生しています。突発した抗議デモに巻き込まれ,邦人が負傷する事件も発生しています。
(2)チッタゴン丘陵地帯(カグラチャリ県,ランガマティ県,バンドルボン県)
ア 南東部のインド及びミャンマーと国境を接するチッタゴン丘陵地帯には,13の仏教系モンゴロイド少数民族が約100万人居住しています。バングラデシュ独立後,同地帯では,自治権要求運動の盛り上がりや新たに入植してきたイスラム系ベンガル住民との対立を背景に少数民族で構成する反政府組織が結成され,多くの死傷者を出す抗争が度々発生しました。しかし,1997年に「チッタゴン丘陸地帯和平協定」が締結されて以降は,同抗争は沈静化しました。
イ 一方,2009年,同協定に基づき,駐屯陸軍部隊の一部撤退が決定されましたが,少数民族と入植者間の未解決の土地問題を抱え,また協定の履行が遅れ,民族対立の原因の根本的解決の見通しが立っていないことから,現地の治安情勢は依然不透明な状況が続いています。
ウ 例えば,2013年8月には,カグラチャリ県において,民族問題に起因すると見られる放火事件が発生し,50件以上の家屋が全焼しました。また,2017年6月には,与党連盟系青年組織のリーダーが路上で死亡しているのが発見され,嫌疑をかけられた少数民族コミュニティーが,ベンガル人入植者により民家や商店を放火されるなどの事案が発生しました。和平協定締結20周年を迎えてもその具体的成果が見られない状況に対し,現地の情勢は流動性が高まっており,引き続き注意が必要になっています。
エ 2016年10月にバングラデシュに隣接するミャンマーのラカイン州で〔ロヒンギャ(ラカイン州に居住するベンガル系イスラム教徒)〕がミャンマー国境警備隊を襲撃する事件が発生しました。これを受けてミャンマー当局による対〔ロヒンギャ〕掃討作戦が行われ,多数の〔ロヒンギャ〕が新たにバングラデシュ側に避難しました。バングラデシュには,それ以前からミャンマーから逃れてきた多数の〔ロヒンギャ〕避難民が居住していますが,現在こうした避難民の多くはコックスバザールに設置されたキャンプでの生活を余儀なくされています。こうした不安定な状況が現地の治安悪化を招く可能性もあり,今後の動向を注視する必要があります。
ついては,上記情勢を踏まえ,バングラデシュへの渡航・滞在を予定されている方は,不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する必要がある場合には,上記1(1)エの注意事項のとおり特別な警戒に努めてください。
3 渡航・滞在に当たっての注意
滞在中は以下の情報及び注意事項に留意の上,危険を避けるようにしてください。また,日本国外務省,在バングラデシュ日本国大使館,現地関係機関,テレビなど各種報道等から最新の情報を入手するよう努めてください。
海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は,大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet )
3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )
(1)テロ等に対する注意
バングラデシュに渡航・滞在する際は,テロに対する特別な警戒が必要であることを認識し,外務省が発出する海外安全情報及び報道等により,治安情勢等,渡航・滞在先について最新の関連情報の入手に努めるとともに,改めて危機管理意識を持つよう努めてください。テロ,誘拐等の不測の事態に巻き込まれることのないよう,特にイスラム過激派の標的となりやすい場所(上記「1.(1)テロ・誘拐等」で指摘した場所)を訪れる際には,周囲の状況に注意を払い,不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる等,安全確保に十分注意を払ってください。
(2)ハルタル(ゼネラル・ストライキ)に対する注意
近年では大きな混乱を伴うハルタルは殆ど発生していませんが,2014年1月の総選挙前後に発生した,ハルタルでは,道路封鎖や抗議団体によるデモ等に伴い,交通にも大きな支障が出たり,デモ隊と治安部隊との衝突に至り,投石や車両の破壊などに発展することもあり,多くの場合,ハルタルは事前に予告されるため,外出を控えるなどして回避することが可能ですが,突発的に行われることもあります。万一,ハルタルによる暴動等に遭遇した際は,巻き込まれないように,直ちにその場から離れるなど,身の安全を第一に考え行動してください。
(3)抗議デモ参加者による道路封鎖に対する注意
工場の労働者が未払い賃金の支払いや賃上げを要求してデモを起こし,時には道路を封鎖したり,投石したりする事態が発生することがあります。道路封鎖解除までに半日以上を要することがありますので,不自然な渋滞に遭遇した場合には迂回する等の措置を講じてください。2013年には,邦人企業関係者が暴徒化したデモ隊の襲撃を受け,車両を破壊された上,人的被害を受けた事件も発生しました。近年では当時に比べ,大規模な抗議デモが発生することは少なくなっていますが,こうした状況が確認された場合には,通過を含め,同地域への立ち入りを控えるなどの注意が必要です。
(4)一般犯罪への注意
邦人の一般犯罪被害として,深夜や早朝に空港と市内の間を移動中の強盗,リキシャ(自転車を利用した人力車)・オートリキシャ(小型のオート三輪)・タクシー等で市内を移動中,又は降車時の強盗やひったくり,長距離バスで移動中の集団強盗,ホテルの部屋に侵入されての盗難等の被害例が報告されています。また,空港や博物館などの観光名所で親しげに声を掛けてきた人物に半ば強引に荷物等を運ばれて金銭を強要された事例や,睡眠薬強盗被害も発生しています。つきましては,被害の未然防止の観点から,以下の対策を講じてください。
○夜間及び早朝の外出は極力控える。オートリキシャ及びリキシャ等を利用しない。近距離であっても,移動には可能な限り車両を利用する。走行時は,窓を閉め,ドアは確実に施錠する。
○英語を流暢に話したり,片言の日本語で近づいてきたりする「リキシャ引き」には慎重に対応する(強盗グループの一味である可能性がある。)。
○強盗に遭遇した際は,犯人が刃物等の武器を所持している可能性が高いことから,抵抗したり大声で叫んだりせず,自身の生命を第一に考え,冷静に相手の指示に従うようにする。
○女性は脚を出す等の露出度の高い服装を避ける。
○不測の事態に巻き込まれないよう,政治集会,不審車両,宗教関連施設,バスターミナル,市場,映画館など人の多く集まる場所には近寄らない。
○空港や観光名所で親しげに声を掛けてくる人物にはついていかない。また,荷物を運ばせない。
○旅先で出会ったバングラデシュ人の家に招待された際は十分に警戒する。また,安易に査証(ビザ)発給のための保証人にならない。
○信頼できる警備会社に警備を依頼する。
(5)雨季と洪水
通常,6月から10月頃にかけての雨季には,しばしば洪水や地滑りが発生し,各種伝染病が流行することもあります。2007年11月には大型サイクロンがバングラデシュ南部に上陸し,死者・行方不明者4,000人以上という大きな被害をもたらしました。この季節にバングラデシュに渡航する場合は,気象情報にも十分注意してください。
(6)海外旅行保険への加入
バングラデシュ滞在中に事件・事故に巻き込まれたり,病気になったりするなどして病院を利用する方が増えています。症状が重とくな場合には,医療施設の整った近隣国への緊急移送,あるいは日本への搬送が必要となります。保険に加入していない場合は,高額の費用を自己負担しなくてはならないため,万一に備え,緊急移送サービスを含む海外旅行保険への加入をお勧めします。
4 その他
近隣国のインド,ネパール,ブータン及びミャンマーにもそれぞれ危険情報が発出されていますので,ご留意ください。
☆詳細については,下記の内容をよくお読みください。
引用元:外務省 海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2017T061.html
- 海外赴任ガイドのご購入
- セミナー研修のご案内
- 海外赴任ブログ
国内トラベルクリニック(予防接種実施機関)リスト
海外赴任ガイドのSNS